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蜜の匂いが焼けている
ごらん あの家 あの家の窓は 二つしかない 一つは窓が開いて 風でカーテンが揺れている もう一つは 風の入らない窓 まるで はめごろし あの窓と窓の間には、永遠にアップルパイの焼ける匂いのする部屋があるんだよ からだの外に出ていった血は 悪の匂いがするね からだの中にある血は 違うのさ 林檎の果実と話をしている 丁寧に畳んだパイ生地のベットに おしゃべりな林檎を 丁寧に並べながらね 窓の外に 悪の風が吹いていようが うちがわに流れる血は いつでも 林檎の蜜と むつまじい 『空ごらん』 林檎が話かけてくる そらごらんなさい 朝焼け色をした皮が秘めている潤い 蜜 林檎園の涼やかな花の香り はっ! いらない! はいらないで 蜂が、耳の中に蜂が入ろうとしている 羽音の蜂起 蜂よ!さあ さっさと、出で おゆき! あわてて もう一方の耳を手で塞ぐ 蜂よ あなたの好物は ここには ないよ 蜜の匂いは、 焼けているでしょ わたしは 花なんかぢゃあないの
蜜の匂いが焼けている ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1565.2
お気に入り数: 3
投票数 : 3
ポイント数 : 10
作成日時 2022-03-26
コメント日時 2022-04-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 10 | 10 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1.5 | 1.5 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 5 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
技術面、表現力に附きましては、下手の私が宣うには及ばざる水準にて記述されておりますので、 申し上げたき僭越等はございません。熟達を為されていらっしゃると、只仰ぐばかりでございます。 掛詞等、細微に亙って技法を駆使していらっしゃられる。 部屋(林檎を覆うもの)とその窓、頭部(脳髄を覆うもの)とその耳のイメージの重層性等、読めば読む程に、呻らせられました。 以下は、余計事ですが。 亡父がその幼児期に於きまして、耳に蜂が(蜂飼耳じゃねえよ)這入り込んでしまいまして、左側の鼓膜を破られて仕舞い。 聴覚に難ありて。大声を挙げなければ、声の伝わらぬひとでございましたことを、偲び。思い出して居りました。 昆虫の色覚は五原色からなるそうですが、耳朶の容も彼等彼女等には、花と見紛う色にも、見えたのかもしれません。
4この作品が戦争の詩ですって言われたら納得してしまうっすね。ぼくは。
2ごめん。ポイント入れるの忘れてた。
1なんとなく、毒々しい感じがしました。蜂にたかられ、アップルパイにされてる女のセクハラ状況を想像しました。
2蜂の出てくる展開が、楽しく、アクセントになっていると思いました。空間をいろどる 時間の楽しみが感じられ、いい詩だなあと思います。 窓の出てくるところは、ブライアン・エヴンソン『ウインドアイ』(『ミグラード』所収) で、妹を異次元に取られてしまった家の話を思い出します。 女の人の愛だなあと、新しく僕の記憶にきざまれました。
2鷹枕可さんも触れている通り、この作品にある技巧、表現力について何も言えないレベルの上手さがあると思う一方で、口語の調べにやや雑さを感じる。作者さんの過去作と比較した時、作品の完成度、まだ余地があるのではなかろうかと、そういう印象を覚えた。
1私の技巧云々は、ことばによる工作が すこしはできているようなので安心しました。それよりも お父様の耳に蜂が入ったことで鼓膜が破れておしまいになったのです。 じつは、先日 私の耳に蜂が入りかけました。羽音から おそらく蜂のサイズ感でした。その経験をそのまま ことばにしてみました。耳朶の形を昆虫が 見誤る例が、私の経験の他にもあることを知り、驚いています。昆虫の目は 人間の見ることのできない波長の色も識別できるそうです。なので、お父様と私は花に類似した波長の色彩を放つ耳なのかもしれません。 わけのわからないお返事になってしまいましたが、あの耳穴ゲリラ事件の体験が一人だけでなくて、有難いような申し訳ないような気持ちになりつつ、鷹枕可さんのことが 以前よりも身近な方のように思えています。コメントをありがとうございます。
1随所に戦争を想起するように ことばを えらびました。 「羽音の蜂起」の箇所は、書こうか書かずに置こうかと ずいぶん 迷いましたが、 結局は、蜂起という言葉も 挿入してみました。 だから、コメントを嬉しく思いました。ありがとうございます。
1毒々しいモノを書いたとは、自分でも思っています。 関係ない話を ひとつさせてください。 トムとジェリーというアメリカアニメの中に、ジェリーを皿の中に眠るようにうながして、トムがとてもやさしく生地のような おとんをかけて そのふちをやさしく手で押すシーンが、私は忘れられません。おちこんだ日は、主人に パイ包みと言われながら おふとんをかけてもらうことにしているほどです。(なにを言ってるのかわかりませんよね。失礼しました。言いたかっただけです。毒々しいのを書いた反動だと思ってください。)
2この詩の気に入ってくださった点を具体的な書いていただき嬉しく思います。ブライアン・エヴンソン『ウインドアイ』を存じ上げないのですが、 わたしの書いたことから すぐれた作家の方の世界を広げていただけて光栄に感じています。ありがとうございました。
1ご批評ありがとうございました。残念ながら 私の読解力には問題があるのかもしれません。せっかく いただいたコメントの意味が 二点ほど 解りませんでした。 一つは、口語の調べが雑という感覚が 私には、よくわかりませんでした。 文語調の調べに難がある場合は わかりやすいのですが、この詩の口語部分は 話し言葉ですが 話し言葉の調子が雑だったのですね。ラップのように 韻を踏めば回避だきたのかしらと あれこれ考えてはみたのですが、わかりませんでした。 もう一つは、過去作との比較です。どうやら この作品は、過去作との比較すると不出来だったのですね。ここだけの話ですが、三浦果実さんが私の作品を お気に召したことがあるということを 今、初めて認識しました。私の作品は、三浦果実さんにとって どのような作品の書き手なのでしょうか?それがわからずにいるので、せっかくいただいたコメントも、ほぼ 意味が解らなかった。と、いうが正直な気持ちです。 コメントの意味を呑み込むことができずに申し訳ないです。しかし、おかげ様で元気はいただきました。なんやわかららんが、自由に書くしかないという気持ちになっているところです。 ここからが勝負のような気がしてきました。コメントを励ましの言葉として受け取らせていただきます。ありがとうございました。
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