梅の花が咲く
薄青い眠りに
埋もれた背が
ぴくんと動く
花弁がおちて
ぼこぼことした
幹の根元で
冬が死んでいる
風が吹く
冷えた首筋の奥に
長いまつ毛が震え
閉じた瞼の向こうに
確かな血流がある
紫色の臍帯が
呼吸を紡ぎ
たおれた躰の
胎には手を当てられている
伸びきった皮膚
ぶちぶちとはじけて
肺が膨らむ
咳ひとつ
駆動する神経
握りしめられた赤い掌は
存在を掴んでいる
甘い香り
横たえられた肉は
ぐずぐずと腐ってゆく
虫が群がる
糸は紡がれて
また還ってゆく
首を振る蚕は
葉から落ちた
雪を被った山々
奥から光が差す
白い息を吐いて
熱を髪先に探す
土の上に立つ
堅い種子は
静かに隠されている
ぱちんと殻はじけ
産声を聞く
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 1470.0
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 11
作成日時 2022-03-02
コメント日時 2022-03-19
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 0 |
音韻 | 3 | 0 |
構成 | 2 | 0 |
総合ポイント | 11 | 1 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 1.5 | 1.5 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 5.5 | 5.5 |
閲覧指数:1470.0
2024/11/21 21時51分38秒現在
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自然と私たちの生き死には絶対に連動していて、梅の花も風も無縁なものではない。これを詩句にすれば自明過ぎるために凡庸な作品になってしまう。だからなのだろうか、少なくとも私はそれを避けて何かしらの特異さを書く対象に求める。でも、俳句から詩への文脈を考えれば、その自明な摂理を写生してこそ、技巧がポストモダンを凌駕することだろう。それを増幅させる批評を私たちは書かなくてはと、そのような意で、作者の毎回の新作を読み、コメントにトライするものである。
1ただそこにあるものをそこにあるように書くだけで、詩になるならばそれがもっとも、いいような気がします。
0残酷なものと言うのは時に美しく、その残酷さを十全に書くならば、血肉に充ちた、美しさというものを表さねばならないと思いました。
1自然の在り方に溶け込んでいくようです。まぁ、元よりそのなかにあるんだから当たり前なんだけど。生々しさがちゃんとあって、厳しさも含めてみつめている眼差しが程よく初春のざわめきが伝わってきます。
1人は動物であり、今も自然の中にあります。当たり前のことですが、当たり前のことを書かなければなりません。
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