たたきわる - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

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たたきわる    

夜が瞼を閉じる頃 青紫の山影が 白い朝霧をつれてくる 朝がまどろむ夜明け頃 夢の水面が ひとりと揺れた 赤にゆらめく紫の ひかりに濡れる白い眼は 秋の涙をひそかにうつす いつかの夜の落ち葉に見えた たおやかにのびた 細指が ぼこんとふくれた 胎を見つめて ひたりひたりと なでていた 青紫の山影が 秋の涙を連れてくる すやすや眠る 稚い季節は 今か今かと 待っている 薄い胎を喰い破り 白い殻をばきりと割って 明日を観る日を待っている またふたつ 時が進み 秋は甘やかに微笑みながら 夏の生き血をすすっている


たたきわる ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 5
P V 数 : 1017.3
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-10-17
コメント日時 2017-10-21
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1017.3
2025/04/10 21時46分46秒現在
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    作品に書かれた推薦文

たたきわる コメントセクション

コメント数(5)
波野nenio
(2017-10-20)

はじめまして。リズムがよく、何度も読むにつれ、情景が色濃くなっていく印象です。 そして何度読んでも、「秋は甘やかに微笑みながら 夏の生き血をすすっている」に、ドキっとします。最後の2段が生命力に溢れている気がします。

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まりも
(2017-10-20)

〈夢の水面が ひとりと揺れた〉一人、という意味が薄れて、不思議な擬態語のような音感に聞こえてくるのが面白いと思いました。色彩が鮮やかですね。 夜と朝の境目、夏と秋の境目。めいっぱい秋を「孕んで」いる、夏。すやすや眠る、胎児の秋。〈薄い胎を喰い破り/白い殻をばきりと割って〉現れ出るもの・・・それが秋、であるのなら・・・「秋の涙」は、いったい、誰が、どこで流すものなのか。作品の内部におけるロジックを徹底させることによって、特異な感覚で捉えられた季節の変わり目の斬新な変化のイメージ(たとえば、季語の「今朝の秋」のような)が、より鮮明に伝わるような気がしました。

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あきら@ちゃーこ
(2017-10-21)

まりもさん。 おお。そのように取られるのですね。大変におもしろいです。実はですね、一回も言葉としては出てきてはいないのですけれど、これは秋が冬を孕んでいるわけですね。 秋の涙は自分も夏を食い破ってきたのだから、自分も当然、この胎の中の愛しい子、冬に食い破られるとわかっているわけです。子供が生まれる喜び、そして自分の死の予感。それのない交ぜになった涙なのです。 また秋が戻ってきた時に、自分の子供がしていたように、自分も親の生き血をすすり、生まれるということですね。

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斉藤木馬
(2017-10-21)

山あいで新しい季節が孵化する瞬間を、息をひそめて目撃したようでした。季節は繰り返すのではなく連綿と生まれ変わっていく連続。青紫、白、赤などの色名があえて明示されていることで、ちぎり絵のような大胆さや力強さが付与されているように感じます。

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まりも
(2017-10-21)

おお、冬を「秋が」孕んでいる、と・・・。なんで誤読したのでしょうね・・・ 〈たおやかにのびた細指〉が、たくましい夏、のイメージから、竜田姫の秋の指先、と感じてしまう、ところなのかな、とか、最後の二行、かもしれないですね・・・ 夏、の季節の中に、細指の気配を感じた瞬間を思い起こして、夏の指と感じ取れるようにする、とか、〈ひたりひたりと なでていた〉のを、秋の腹と分るように(でも直接的に書くと、興ざめですし、難しいですね・・・) 秋が抱えている、白い殻を被った冬、その中に、氷雪のイメージ、霜で凍てついた息が巡っているようなイメージを取り込む、など・・・してみると、イメージがより、鮮明に伝わるかもしれない、と思いました。

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