雲ばかり追いかけていると
心を持っていかれるらしい
真夏のいっときの合間に流れる清しい風に
うなじを撫でられて気持ちがいい
でも、そんなことを口に出すものではないから
いっそ雲に乗ってここから出て行こうかと
わずかに踏み出しただけなのに
小石につまづいて前のめりになる
そんな惰性で小走りに進む私を尻目に
雲は速度を増して過ぎ去っていく
あー、やはり雲には乗れなかった
という呟きは草わらに吸い取られてしまい
足取りが緩んだ私の足は
すっぽりと茂みに沈んでしまった
一瞬、胸を掻き乱される感覚がよぎったのものの
柔らかいのにじっとりとして
且つ、ひんやりとした草束に足を包まれて
こみあげてきた想いに気づき
目を瞑り感じ取る
ここから出なくてもいいから
雲を追いかけるのは明日でもいいし
明後日でもいい
心を持っていかれるのは今ではない
再び吹き抜ける風と共に空の向こうに消える
鳥も青くて泣けるけれど
草わらに埋まりながら今度は公言する
うなじを撫でる風は気持ちがいい
作品データ
コメント数 : 4
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作成日時 2021-07-28
コメント日時 2021-08-31
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 0 |
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2024/11/21 19時33分09秒現在
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爽やかな風の感じとか、夏の空気の感じとか、そういう言葉じゃないものと言葉がそのまま繋がっているような、丁寧にぴったりな言葉を選んでいる感じがとっても好きです。
1コメント、感想ありがとうございます。 こういう感覚はとても稀かなあ?と思いながら書きました。なので、読み手に響かなかったのだろうと思っていたので、そんな風に言って頂けてとても嬉しいです。 気持ちは表せても伝わるように表現するのは難しいですね。
0雲に見とれて、雲には乗れぬ慚愧の念。なんとなく魔女の宅急便の一番初めの場面を思い出すので、ラジオが無ければ、天気予報が無ければと思うのですが、項をなでる風の気持ちよさは、それらが無くても変わりはないような気がします。
1コメントありがとうございます。 「魔女の宅急便」ですか♪そんな意図は含んでいなかったので、そういう視点で感じとられることで詩が広がりを持つようで嬉しいです。
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