別枠表示
エリー(オマージュver)
さようなら、エリー、失われ続けることを諦めない、その意思を留めることもない、その、濁りを拒否し続ける澄んだ瞳で、流暢なアクセントを追い求る様子を、ただ眺めている、エリー、その継続的な姿勢の、美しい曲線について語る霊たちを、拒む理由はきっとないだろう、エリー、夢見る場所はいつも水に関わっていて、海を歩く君の、意外に広い歩幅が、大粒の雨の波紋の例えとなって、ときおり目覚めの理由となる、エリー、そのようにして、気まぐれに慰められるためのメロディーが奏でられた。 音律が、音もなく整う 足跡は猫のそれに更新され 世界は気ままな 等間隔の四足歩行になる それでもなお 君は水面における直線で 白いドレスは濡れて収斂し 僕は、透明な楽器を携えるだろう エリー、僅かな克明を残し、あとは幽霊のようにぼやけてしまった君の残骸について、古びた歴史について、エリー、君はそれでも粗い糸で紡ぐようにして語り継ぐだろう、吟遊詩人という絶命を、殲滅を、新たに定義する個人的な活動の、寂しさは言葉にできないと知りながら、エリー、そんなことはもちろん言葉以前のお話で、君は四足歩行で見知らぬ土地を、いつまでも歩き回るのだろう。 エリー、君は言葉を尽くすことよりも、見知らぬ土地をたくさん歩くことで、失いを、喪失を、寂寥を、更新して打ち壊すことを、僕にありありと教えるから、エリー、世界の語源を知ることは、世界の原則と相対し続けることだと、語る君の声が僅かに、誰も気づかないほど僅かに震えていたことを、僕はいつか忘れてしまう、エリー、君もそのことを既に知っていて、それをきっと、憎しみと呼ぶのだろう。 混ざり合った情念が 分裂して二人になる その数年に一度の瞬間は 体温のせいで冷凍できない 君は、君の歴史を吟遊する時 涙という押し殺した一筆を 必要とする時がついにあって 透明という語りの存在を示した 寂しいなら寂しいと言えよ、通りすがりの猫が澄ました顔でそういうと、僕たちは、そうだね、と返す、海を離れて、泥だらけだねと他人事のように、それでも、エリー、君の迷いという夾雑物を漂白しきった、ある種の信念としての戦争について、僕はそれを、塀を駆け足で駆けるわがままな黒猫のように肯定する、それをきっと、憎しみと呼ぶのだろう。
エリー(オマージュver) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1363.8
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 9
作成日時 2021-05-08
コメント日時 2021-05-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 9 | 9 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 4.5 | 4.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
投稿者より 今作はとあるアマチュア詩人が書いた詩(それもオマージュなのですが)のオマージュです。 ・全体の骨格(散文詩→行詩→散文詩→行詩) ・特定の人名への呼びかけの繰り返し が主なオマージュ要素です。完全なオリジナル詩ではないため、コメント欄をお借りして明記させていただきます。
0先ほど、花火を読んだんですよね。で、作者さんの過去作品も読んでみたくなって読んだんですけど、こちらもいいなあって思ってコメントしました。オマージュということなんで、元のリスペクトされている作者さん作品、わかりませんけども、単体として読んでもわたし的にはよかったです。
0すみません、作者さんの過去作品にもコメントを以前していましたね。 その、、作者名義を忘れていても印象に残るぐらい、書けるの羨ましくなります。
0お久しぶりです。 私のほうこそ、名前(表記?)が変わられていたのでなかなか気づけませんでした。 半年ほど前ですかね。すごく重要な感想(批評)をいただいて嬉しかった記憶があります(詩を書くのが今よりもっと怖かった時期でした)。 「花火」に続いてこちらも読んでいただけて嬉しいです。オリジナルではなくオマージュの形だとしても書きたくなった作品なので。 こっちの詩も喜んでいると思います。ありがとうございます。
0良い詩ですね。私は保守的で皆さんの投票状況に追随するような感じで、投票してきましたが、稀にはこうやって、まだ投票されて居ないような作品に対しても投票します。エリーに対する語り掛けがそのまま詩になって居るような、そんな感じがしました。ポイントも入れたいと思いました。
1「花火」に引き続きこちらも読んでくださってありがとうございます。 >エリーに対する語り掛けがそのまま詩になって居るような、そんな感じがしました。 →エリーが人なのか猫なのか、なにをしているのか私には(確かには)わかりませんが、たくさんのエリーに対する語りかけがあって、それが集約されて詩になった感じは、私もします。ああでも「憎しみ」なんだ、と書いた時に自分でも思った気がしますが。 オマージュとしての詩なので反応は少ないかな?と予想していたので、ご感想いただけて嬉しいです。ありがとうございました。
0