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星月夜
時間が熔ける。雑ざり気のない融点は良質な蜜蝋を漏出させ硬い窓枠の材質に濃い染みを作る。陰に潜む生き物たちの鼻唄や衣擦れとが交ざりあい夜は猥雑な静寂に埋もれていく。昔ここらは星がよく採れたんだ、と皺だらけの顔に浮かぶ大粒の汗が深い渓谷に流れ込み堆積する砂れきに紛れ結晶し一筋の光の河になる。内外の律の差に滞留と対流をくりかえす渦の煌めき。星間飛行をくりかえすのは銀の鱗を持つ魚。棚田に犇めく不規則はモザイクの色彩。息をひそめて眠る眼差しは極層に埋もれることを拒否することで銀化し尾を翻す。砂にまみれた背はやわらかさを失うことを嫌い、鋭くちいさく砂を弾く。降り積もる夜を振り払い広い台地に星をさがす。遷回するうねりはやがて無数の砂をゆっくりと速く巻き上げ、降り注ぎ、複雑な渦で流動する煌きは未だ見ぬ台地を形成し始める。浚われた光は河から河へ、すべての灯は朝陽のために身を投げる。中心に火は集い、銀は熔け、現象する光の海嘯、営みの陰影を遡上するシルエット、星月と翳の沈黙に調和する、闇はもうひとつの夜を象る。
星月夜 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 915.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-09-13
コメント日時 2017-09-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
- 星月夜 朗読 (三浦果実)
丁寧に丁寧に、幻想空間を作られてるなあと一読して思った。二読目は音読してみたのだけれど、音読すると更に身に入ってくる感があって良かった。おとぎ話が溶けていくという感じ。
0様々なイメージが浮かんでは消えていくのがとても魅力的な詩だと思いました。寝る前にいろんなことがまぶたの裏に浮かぶようなイメージで読みました。そして最後が闇で終わるというのもとても素敵だと思います。とても素敵な詩でした。
0三浦果実さん、お読みくださりありがとうございます。すごく好意的に読んでいただいていて逆に申し訳なくなります 笑 実はしばらく根気よく書く、ということから離れていたのでなかなか思うように書けず愕然としています。読みやすさは常に気にしていますが後半は書きたいイメージを優先させて加えたり消したりしたので音が悪い部分が出てしまっていますし、せっかくコメントまで頂いてるのに申し訳なく思います。もっといいもの書けるように質を高めていきますね。 硝子さん、レスありがとうございます。やっぱりコメントはもらえるとうれしくなりますね。 自分が思うイメージを伝えるためにあーでもないこーでもない、と苦悩しましたが魅力的だとおっしゃってもらえてとても嬉しいです。ただ三浦さんへの返事にも書きましたが、若干(結構、かなり、)感性が曇っていて思い描いたものと実際のものとではズレもあり、もっと感動してもらえるものを書かなきゃ!などと思ったりしているところです。
0花緒さんコメントありがとうございます。 今回はできるだけ物語らないように物語る、をコンセプトに書いてみました。前作は音、というか発話について思うところがあって自分なりの新しいアプローチをテーマに書きました。印象に残ったと言ってもらえて嬉しく思います。失敗したものを投稿したときは苦笑いしてください 笑
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