まなざしの鋳造 - B-REVIEW
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まなざしの鋳造    

不均質な 流砂がさらさら 落ちる さなか 溶けていく きみのまなざしの 熱量の 時間積分が 溶かすのです あちらこちらに 気をとられ うつろう 一秒毎が 溶かす 不均質は まなざしを 媒介に きみの 半生を つぶさに 集め 凝縮し 粘っこい 液体として きみの手で 丹精を込め 作りあげられた抜け道に ぼたりぼたりと 落ち 不恰好な 成長を 遂げ てらてらと 不均質な 固形物となるのです ゆらいだ 不安定な 連続した 暖色の まなざしで きみこそが 鋳造する いびつに かくかくと そびえる もはや 流れる必要 なんてない 固い固い不均質



まなざしの鋳造 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1584.6
お気に入り数: 1
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2021-03-09
コメント日時 2021-03-28
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/09現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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音韻00
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閲覧指数:1584.6
2025/04/09 13時23分09秒現在
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    作品に書かれた推薦文

まなざしの鋳造 コメントセクション

コメント数(4)
百均
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(2021-03-22)

白川ロイヨさん こんにちは。 「不均質な流砂」ってフレーズなんですが、着眼点っていうんですかね。タイトルなんか見ると、正に「着眼点」みたいな所の話というか象徴的な比喩みたいな物かなと思っちゃうんですが、流砂の一粒一粒って遠目で見ると均等な砂が落ちているイメージしかないんですよね。でも実際マクロな視線とミクロな視線で物を見た時に物の見方って変わると思うんですよね。顕微鏡で見る世界みたいな事でもいいんですけど、要は目という機構が捉える世界は所詮視界であって、視力によって見え方みたいなのって変化する訳ですよね。 という所で色々考えたんですが、作者像みたいな考え方があったりします。語り手ともいったりしますけど、この場合は像の方が結構重要な要素なので、あえてこういってしまいますね。日本語の形というのは一人称の語りに適した構造をもともともっているなと思っていて、三人称の語りといっても語りて目線からの物の申し方という構造になってしまうので、結果的に神の視点という言われ方をするようにある一点からの語りという側面を拭いきれないものだなと思っています。そういう意味でいうと、語りそのものを対象化して語るのが苦手だよなとも思っているので、ある物事を説明するときに作者の意図みたいな物を排除しながら語るのって逆に難しかったりするのかなと思ったりもするのですが、ある目線の中において何かを語ろうとするときは結構便利だなと思ったりします。 と言った話を持ち出したのは、簡単に言ってしまえばまなざしの鋳造ってどういう事なんだ等と思ったときに、行ってしまえば目線を鋳造しているのかなと言った感じです。読み手が本作を読んだ時にどういった効果が得られるのかという話題で読むと、個人的には面白いなと思います。 本作の始まり方を見てみると、いきなり目線というか物の見方の話をしているんですよね。具体的には多分すっごいミクロな物の見方から始まっている。 >不均質な >流砂がさらさら >落ちる >さなか >溶けていく >きみのまなざしの >熱量の >時間積分が >溶かすのです 不均質って言葉が面白いですね。 これ、僕だったら不均等って言葉を使ってしまいます。流砂って多分遠目からしたら細かい砂が地面の中に吸い込まれていくような現象の事を指していて、で、落ちていく砂そのものにフォーカスって当てないと思うんですよね。言って仕舞えば砂時計の砂って均等で、均質な砂の粒が一定の時間内に、一定の質量の同じ物体が落下するので時間を図る事のできる装置だと思うんですけど、そういったものの見方を否定していますし、もっと目を凝らしなさいみたいな話をしているとおもうんですよね。という所の終着としてまなざし多分おいえていて、まなざすという事はその対象を見つめる目線がある訳ですが、そこに二人称を使っているというのが面白いですね。その目線を見ている私がいるという語りによって、一人称の語りでは見にくい目線の分をここで像に起こしています。 というのと、そのまなざしの時間積分が、不均等な物質を溶かしていって、溶けてしまうという事は言ってしまえばその不均質さが溶けて均一になってしまうってことですね。で、これがまなざしの力だよねって話だと思うんですけど、この着眼点って面白いなと思います。つまり、不均質な物はまなざしによって溶かされ、液体となる訳ですが、その液体の均質性って個体であったときに比べてならされると思うんですよね。そして、やっぱり個体が液体になるためには基本的に熱が必要であって、その熱を持つためには時間が必要みたいな事を言っているんですが、それっていいなと思いました。言って仕舞えば、まなざしが不均質な物を溶かす時には時間が必要であって、時間が不均質な物を溶かすっていってるんですね。 >あちらこちらに >気をとられ >うつろう >一秒毎が >溶かす >不均質は >まなざしを >媒介に >きみの >半生を >つぶさに >集め >凝縮し >粘っこい >液体として っていうのがここまでの読みですね。熱量によって溶かされた君の言って仕舞えば語りとでもいうんでしょうかね。自分の半生を言葉に起こして語る時に、言って仕舞えば余計な部分はそぎ落とされて単純化されていくみたいな感じ。若い頃の自分はこうだったみたいな自慢話を想像するとわかりやすいでしょうか。そういう語りをするときに、多分綺麗な物語の部分だけが提供されて、過去の自分が語りたいそれは熱量を持って生きていた生の実感の部分だけを切り取るような語りの中に自分のまなざしを投影して書き起こす時みたいな感じですかね。とはいってもそんな綺麗なニュアンスの事を本作が語っているかというとそうではなくて、これの続きそれから本作の持つ粘り気のある文体や行訳のリズムがそれを許していないので、まだ先がある所が面白い訳ですね。 >きみの手で >丹精を込め >作りあげられた抜け道に >ぼたりぼたりと >落ち >不恰好な >成長を >遂げ >てらてらと >不均質な >固形物となるのです >ゆらいだ >不安定な >連続した >暖色の >まなざしで >きみこそが >鋳造する >いびつに >かくかくと >そびえる >もはや >流れる必要 >なんてない >固い固い不均質 これ面白いのが、液体になると多分均一になるのかなと思っているんですけど、それをある種の鋳型に綴じこめると質の異なるもの蛾出来上がるって言ってるんですよね。 つまり、液体になった瞬間は液体状になった物の中は均一になるけれども、それが鋳型へ地層が積もるがごとく、ぼたぼたと堆積していけば、その層毎によって質感が異なる物体が積み重なった物が出来るみたいな事を言っています。 ここら辺は直感的な読みになりますが、言って仕舞えば人生のステージ事によって語る自分の半生の話し方というのは、そのステージ事によって切り出される瞬間は均質な語りであるけれども、それの堆積物というのは人生を振り返ってみてみると、多分中身が変化していく。それは10代の頃に見ていた世界や自分のとらえ方と、30代になって見えてくるものの捉え方が変化するようなものです。もちろん変わらないものもあるし、根本は同じ鋳型の中に落とされる語り(まなざし)であるのですが、それは流砂の中に落ちていく砂粒の質感によって左右されますし、はもう既に固まった固形物と同じ綱粒が常に落ちて生きている訳ではない訳からですね。ただ、その微細な変化に君が気が付いている訳ではないように思います、なので、私というかきみのまなざしを見つける語り手が本作には必要だったのかなと思います。 みたいな感じの事を思いました。少し強引に読んだ所もありますが、こんな感じで読んだので破綻みたいなのは感じませんでしたし、読み味もすっきりしました。使われている語彙も、若干難しかったり、連訳されていない所から区切って読むのが難しいという印象も持たれかねない所もありますが、こうして示している通り、僕が読んだ範囲内ではこの文体やこの形式や選ばれた理由は、語りの質感の選択としてあっている事からそこら辺の文句はぶっちゃけいちゃもんに近い感じですね。 という訳で寸感程度のものですが、僕の読みは以上になります。 ありがとうございました。

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白川ロイヨ
百均さんへ
(2021-03-27)

百均さん こんにちわ。 またいつもコメントありがとうございます。 正直に言ってしまえば「何も考えないで書くとなんか私はいつも行儀よく書いてしまうなぁ」という想いがまずあって、 本作品はテクニカルな意味で実験してみたという部分がかなりあります。 そういった意味でこの作品は 「手癖で行儀よく語ることは自分の心そのものにきちんと向き合っているのかしら?」 「本当に自由に描写できているのかしら?」という葛藤を感じて、 その自分の心の動きそのものをテーマにしてみた作品かなと思っています。 と、格好つけて書いてはみましたがどこまで明確に自覚できていたかは自信がありませんし、 百均さんの読みで明確化した気もします。ディレクションされたのかも知れません。 ひとまず全体として丁寧に読んでいただけていて感謝しかありません。 日本語についてのお話、かなり同意できました。 私自身そんなにいくつもの言語を巧みに操れる訳ではないのですが、 これまで習ったことのあるいくつかの言語と比較した場合に 日本語はやはりどうしても主観的になりがちかなと思います。 それは受け手に悪し様に取られるリスクがある。 意味不明になりがちなリスクすら溢れている。 ただ反面、受け手が受けとりたい方法で受けとってくれる良さも日本語にはあるかなと思います。 私のこちらの作品がどうかは置いておいて、 一般論として四行なり数行を一連にせずに明確な区切りもなしに、 ただただ書き連ねることで受け手に日本語の元来の構造から来る自由度に加え 区切りの自由度まで委ねてしまうことで最大限の自由のもとで 受け手が最も良いように受けとれるかも知れないなとそんなことを思いました。 それが(定型詩の対義語としての)現代詩の良さなのかも知れないな、とそんなおおそれたことを言いたくなった次第です。 この作品が成功しているとは一切思えないですけれど、それはまぁ仕方ありません。 ありがとうございました。

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雨野小夜美
雨野小夜美
作品へ
(2021-03-27)

 これは、読んでいて幸せな気分になりました。不安定でいびつ、とは書いてあるけれど、語り手は「きみ」が好きなんじゃないかなと。だから流れる必要がないのかなと思いながら読みました。「暖色のまなざし」という言葉に、とても惹かれるものがありました。  何よりも、読んでいて幸せになる詩っていうのは、いいですよね。

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白川ロイヨ
雨野小夜美さんへ
(2021-03-28)

雨野小夜美さん 明るい詩や幸せな詩、いいですよね。 ついつい深刻に書いてしまうなかで明るさや幸せを忘れないでいたいです。 私の書いた言葉がたった一人にでも幸せを届けられるのなら もうそれ以上はなにも要らないかなとすら思います。 というわけで雨野さんが幸せになってくださったのでこの詩は 私の中でとても良いものになりました。 投稿して良かったです。 コメントありがとうございました。

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