太宰を愛しているから城崎が嫌いだ
たとえ山手線に轢かれても
阪急に轢かれても
城崎には行かないだろう
とはいえ伊豆にも行かない
とはいえどこにも行かない
一人静かに家で沈んでいる
ワンルームの水槽でカーテンの向こう側に想いを馳せている
警告が聞こえてこようとも
耳元で苛む声がしようとも
ただ一人家でじっとしている
壁の紙魚すら数えず
床の焦げ跡すら無象に浸る
いっそ山手に轢かれに行こうかとも
思う
それでもやっぱり家にいる
ここが全ての始まりで終わりであるかのように
振る舞い振るい落ちる
太宰に憧れて本を読めなくなった人生を
達観するつもりもなく消費する飽和酸素濃度
直情すら無くなった気でいる愛好者
それでこそやはり家にいる価値があるというもの
押し固めた臭いを
息を潜めている間だけ嗅がなくて済むのだから
そして逡巡する
「やはり城崎かね」
そうとなれば青春18きっぷを買わねばなるまいよ
作品データ
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P V 数 : 1000.2
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ポイント数 : 6
作成日時 2021-02-08
コメント日時 2021-02-09
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 6 | 6 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 3 | 3 |
閲覧指数:1000.2
2024/11/21 21時06分51秒現在
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