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ラジオ体操第一
優しくなれない理由はわかってる そんなものずっとずっと、ずっと前からわかっていた 悪いほうの自尊心が胸のあたりでばたばたもがいている 貨物列車がまっくらな農道を 光のあらしとともに駆け抜けていく そんな暴力を使いたい もしわたしが小説を書くなら 「雪がまったく降らなかった日、 からはじめる 不活性な自分を殺したいし好きだから生きていくわ 挨拶はできなくても 分け合ったことにして 振りきってゆく その重かったこと 趾ですべてを踏み潰していきます おれの弱さも誰かの弱さも この一歩が消す ずっとずっと昔に描いた けん・けん・ぱ は地球が終わっても残るよ 獣たちがひとより早く生きていく にごった瞳や乾いた骨をさらす まだ肉球はやわらかい このひとが家族だとわかるだけでは ひとは生きていけないので 怒りより上等な哀しみを知った 煙突の煙でハンバーグを食べたのはわたし 後部座席からぺちゃんこの猫を 必死にさがしたのもわたし きっと脳髄に易しい宇宙を貼り付けた あなたがいるのを知っている やまいだれの先に転がっていく わたしたちへのあぶみ 目を瞑っちゃってごめんね 細部にしか宿らない心が視えないからあなたは口をすべらすのね? 明日なにかを観にゆこう 腐葉土に半身をうずもれて あらゆるかなしさなど透徹して 明日観たものがすべてになるように あなたがストーブのまえに いられるように
ラジオ体操第一 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1347.7
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2020-12-30
コメント日時 2021-01-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
作品の導入部についてなのですが、 >優しくなれない理由はわかってる >そんなものずっとずっと、ずっと前からわかっていた >悪いほうの自尊心が胸のあたりでばたばたもがいている と独り言なのか判別し難い、あるいは全体から途中を千切ったような詩文により唐突に始められる、こうした作品はめずらしくないようですね。そのようにしなければいけない、あるいはそうした一つの修辞、作法などが存在する、界隈で見受けられる印象があります。 よくわかりませんが。次の、 >貨物列車がまっくらな農道を から書き始められてもおかしくはないと思うのですが。 上記に上げた本作品の冒頭三行には意味なり効果なりがあるのかどうか、説明的な印象を与えかねないのではないか、そうしたことを思いました。 光のあらし、雪、地球、獣、宇宙、腐葉土、などの語が惹きつけるようでした。
0湯煙さん、コメントありがとうございます。 そうした作品、周りに観察の目が向いていないのが要因でしょうか。少なくとも自分はそういった状態だったように思います。 ご指摘下さった箇所に関しては、当初流れとして必要だと思っていたのですが、今改めて見てみると野暮かもしれません。 説明的な印象を与えかねないというのは、書こうとしたときの内面の凝縮不足であると思います。削ぎ落とす覚悟を持たねばならない、と思わされました。 いくつかの語句は惹きつけるようとのこと、皮一枚繋がった心持ちです。 いただいたコメントを契機に、見通しのよい視点から振り返ることができた気がします。とても助かりました。 重ねて、コメントありがとうございました。
0>ずっとずっと昔に描いた >けん・けん・ぱ >は地球が終わっても残るよ この箇所が大変印象に残りました。 あまりないリズムであり、心地い内容でもあったので。 なので即興で長歌を(五・七・五・七・五・七と続けていって七・七で締める平安時代によくやられていた形式です)。返詩として。 けん・けん・ぱ いなくなっても 誰かやる けん・けん・ぱって 脳髄に 残り続ける 生きている あなたとわたし けん・けん・ぱ けん・けん・ぱって 光のあらし けん・けん・ぱって
0> 不活性な自分を殺したいし好きだから生きていくわ > 細部にしか宿らない心が視えないからあなたは口をすべらすのね? この二箇所が印象的でした。 内的世界の深いところ深いところへと進む中でふと外側を垣間見る様子にハッとさせられました。 >悪いほうの自尊心が胸のあたりでばたばたもがいている >貨物列車がまっくらな農道を ごく個人的な感覚ですが、この二行の間に空行を入れてしまいたくなりそうな気がするなと感じました。
0羽田恭さん、コメントありがとうございます。 印象に残った点を挙げてくださり、なおかつ返詩まで。 どの箇所がうまく響いていたのかを、率直にかんじることができました。 リズムに関しては、外れるほうに魅力を感じる性分なのですが、そもそもどこから外れるのか、というとおそらく下さった返詩にも用いられている七五調なのでしょう。 格を感じさせるような破格、というのが理想かもしれません。 再考のきっかけを頂きました。 重ねて、ありがとうございました。
0白川ロイヨさん、コメントありがとうございます。 印象に残った部分を挙げて下さいました。やはり力のある文は、ものごとに対する態度、まなざしとイコールのように思えます。少しでも強く世界を見られていたらよいのですが、近ごろは精神的な視力が衰えているように思えてなりません。なんとか戦っていきたいと思っております。 空行、ひいては文章全体の形態については適切な形状を選べていないことがまだ多い気がします。改めて意識を向けたいです。 とても参考になりました。ありがとうございました。
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