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実験02
心の写真がちぎれていく 朝の噴水は夢を見ている 歌を歌う木の枝に小鳥たちが羽を休めている 涙を流す岩石 苦痛にのたうち回る有刺鉄線の夥しい棘が 切断されて優しくなる 地面に眠る芋は苛立っている 落書きたちがひとりでに踊り始めるとき 横たわる葡萄の喧騒に絵が破れていくとき 星を抱き抱えて死んだ少年が星になるとき 人影が外の光を浴びようと出掛けるとき 倦怠の苦味を吸い尽くした地球儀が成長したとき そのつまらない鼓動が部屋中に広がったとき 暖炉の前の掌が燻みはじめたとき 謎はどれもみな酸っぱかった 謎はどれもみな酸っぱかった 増える鉄塔 S極の花が咲き 痛みを欲しがる蝶々たちが乱舞する 青色の血が流れて涼やかな匂いが立つ 嗚咽しはじめた蛇口の喉に言葉は棲まるだろう 綺麗な意味ほど突き刺さるのはなぜ 僕らは僕らを模倣して 小さくなっていく 胃袋の中に溜まった手紙たちは どれもみなインクが滲んでいる 涙よりも重いものを僕は知らない 風が鉛色だ だからと言って全てが絶望的というわけじゃないけど 蟻たちは血を流しながら死んでしまう 木の枝から逃げ出した風船よ やがては現実に戻るだろう 僕は知っていた 留守番電話の前で4時間も立ち尽くした悲しみを
実験02 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1684.9
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 4
作成日時 2020-12-20
コメント日時 2021-01-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
抽象と具象が混ざり合って、曖昧でありながらも痛烈な感情が底に感じられました。 わたしの感受性がもっともっと豊かだったなら、わたしの読解力がもっともっと鋭かったなら、この詩をより理解できたのだろうかと、寂しく想うほど。 ほんとうに素敵な詩だと思います。 素人の稚拙な感想で失礼しました。
0萼さん、コメントありがとうございます。 僕は詩を書き続けて14年位になります。趣味の範囲内ですが、16歳の頃から書き続けてきました。こういった形式の詩が書けるようになったのはごく最近の事です。痛烈な感情、僕の人生は痛烈なものです。詩は人生かもしれません。
0初読ではただただ語句と文が悲しく美しいなあと思って読ませていただきました。 私の勝手な読解ですが、 ー歌を歌う木の枝に小鳥たちが羽を休めているー、 の節では、対象と作用が逆転したような文から、自分の心身が乖離してくような感覚を生んでるのかなと思いました。 ー人影が外の光を浴びようと出掛けるときー、 の節では、そんな乖離した自分が消えてなくなってしまうような感覚を覚えたと思います。 そんな痛烈な感情そのものを植え付けられた後、 ー僕は知っていた 留守番電話の前で4時間も立ち尽くした悲しみをー この最後の行で現実に引き戻されると同時に、それまでに描写された感情群が一気に同期されて、悲しみの底に突き落とされたのだと思います。 詩は人生かもしれない、と仰られていることから却って失礼かもしれませんが、こんな詩を書いてみたい、美しいと、読みながら思いました。
0ささらさん、コメントありがとうございます。 深く読み込んで頂けて感謝です。即興で書いたものですが次に選ぶ言葉で私の中身が曝け出されているような気がします。心の→写真が→ちぎれていく。悲しい方に行ってしまうのは人生経験による影響が大きいかなと、そういった意味で詩は人生かもしれないと、そうコメントしました。即興なので意図らしきものは一切入っていません。ただただ自分の感情の赴くままに書きました。良いと仰って頂けて感謝感謝です。
1涙よりも重いものを僕は知らない ぼくも知らないと思いました。
0田中宏輔さん、コメントありがとうございます。 泣き虫なので、人の涙に敏感です。
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