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蛇
きみの身体の中にはたぶん蛇が詰め込まれている きょろきょろとよく動くかわいい黒目 通ってはいるけど平たい鼻筋 大きく開く唇、それから赤くて長い舌べろ きみの皮膚を切り開いたらそこには臓器なんてなくて かわりに蛇がたくさん住んでいるんだ 肋骨の隙間からゆらゆらと顔を覗かせている、 蛇たちはぎょろりと一斉にこちらを見る 突然明るさに晒された蛇たちは 蠢きながらこちらを威嚇している 手を近付けてみるともっと怒ったようだけれど 噛み付いたり逃げ出すつもりは無いみたいだ きみの節くれだった指があんなに繊細で滑らかに動くのは この蛇たちのおかげかもしれない そう思うと途端に愛しくて 手を伸ばしていた 撫でてやろうと思ったんだ 指先が押しつぶした感触はかたい鱗ではなくて きみの口のなかを思い出すような温かさ 覗き込んだきみのかわいい黒目はうつろに濁って もう蛇はどこにも見当たらない
蛇 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1150.1
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-11-13
コメント日時 2020-11-15
項目 | 全期間(2024/12/31現在) | 投稿後10日間 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
きみ=女性、と読んでの感想です。 愛しい女性の中に蛇が蠢く。 蛇というのが凶暴性とエロティシズムを含んでいて、女性の魅力を多面的に捉え、グロテスクなメタファーで表現していると思いました。 時に愛らしく、時に凶暴な、そんな男にとっては複雑な女性というものを、もう一度見つめると、触れるとやっぱりなんとも愛らしい。 そんな詩なのかなと思って読ませていただきました。
1コメントありがとうございます。 きみ、というのは言ってしまえばどんな人物も当てはめることができるのでしょうが、いとしいひとであることに変わりはありません。素敵な女性を思い浮かべていただいたようで嬉しいです。
0怖いような、愛おしいような、そんな気持ちを書かれた詩かなと思いました。 愛おしすぎて、蛇を見てしまい、触れて見えなくしてしまった、表情のない爬虫類の感情が感じられる詩で、好きになりました。
1コメントありがとうございます。 怖いと思う気持ちよりは愛おしさや魅力がすこし勝っているのかもしれません。 好きと言っていただけて嬉しいです。
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