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着順は知らない
虫も殺せないどころか 電球すら交換できないあなた 強くなるのよと告げて 家から追い出した あたしは気晴らしに 近くにある競馬場に行ってみる 走る馬の速いこと速いこと 空気の振動とともに 目の前をゴーッと 大きな画面には小さなあなたの姿 いつ騎手になったのかしら 秋の陽を浴びてキラキラと光る カコニイミナドナイという馬名の 手綱をとりムチで容赦なく叩く 馬は芝を蹴り上げ土塊をとばす 観衆のざわめきのなか あなたの馬がゴール板を通過する
着順は知らない ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 4816.1
お気に入り数: 4
投票数 : 15
ポイント数 : 27
作成日時 2020-11-01
コメント日時 2020-12-10
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 6 | 5 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 6 | 5 |
エンタメ | 4 | 3 |
技巧 | 5 | 4 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 4 |
総合ポイント | 27 | 22 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1 |
前衛性 | 0.3 | 0 |
可読性 | 1.5 | 1 |
エンタメ | 1 | 0.5 |
技巧 | 1.3 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1.3 | 1 |
総合 | 6.8 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
- 選評文ー『着順は知らない』 (ピム)
詩文の文はちょっとまだ粗いと思いましたが、中身は良いと思いました。 過去に意味など無い、という言葉をゆっくりと読ませ、またその言葉を馬の名称として物体化させていかにも速く壮快に走らせるところ、すばらしいです。 ひといきに読んだ後、タイトルに戻ると、着順は知らない、とあり、またそのふっきれた言い方に感銘を受けました。
1詩文の文はちょっとまだ粗いと思いましたが、中身は良いと思いました。 過去に意味など無い、という言葉をゆっくりと読ませ、またその言葉を馬の名称として物体化させていかにも速く壮快に走らせるところ、すばらしいです。 ひといきに読んだ後、タイトルに戻ると、着順は知らない、とあり、またそのふっきれた言い方に感銘を受けました。
0これは素晴らしい ストーリー性もあり、なんといってもラストの爽快感だ
1読ませていただきました。 騎手になる前の人物に、自分を重ねていました。 最後にあんなふうにも強くなれるといいなと。 とてもいい結末でした。
1電球すら変えられない背の低さが その後の騎手になることへの伏線になっているのですね。 電球の部分が好きです。
0文に粗さがあるとの指摘、自分でも少し自覚があり、推敲不足だったり、もうちょっといい言葉遣いがあったかなと思います。反省します。 タイトルも良いと仰って下さり、ありがとうございます!
0みなさんありがとうございました。
0ストーリー性を特段意識したわけではないですが、拙作の試みとして、映像(描写)を重視した意図があります。 しかしこれは私が以前やっていた小説の書き方を限界まで削り込んだもので、詩ではないと思うのですが、どうなのでしょうか。とりとめのない話になってしまいましたが、ありがとうございました。
0説明や理屈をすっとばしたところは、自分でもどうかなと心配したところではあったので、諧謔味や爽快感があると言っていただいて安心しました。 推敲段階で、語り手が夫の馬に賭けることも考えたのですが(一着になってお互いウインウインみたいな)、作品の勢いみたいなものが停滞してしまうのを感じてやめました。結果的に良かったです。
0社会的にだめな人が成功する、いわゆるシンデレラストーリー?は好きではないというか、社会的な成功はあくまで副次的なものであって、大事なのは、その人がその人らしく生きることだと思います。 拙作ではそれが描けてるか非常に怪しいというか、(不器用な人を無理に矯正することなく、肯定したり受け入れることがこの世界本来のありようであると思います)描けてないので、話が変わってしまうのですが… 虫も殺さない人が馬をムチで容赦なく叩けるようになったということを書いて、その人らしさを極力損なうことなく(着順はビリのほうがリアリティがあったでしょうか)、精神面で強くなったというところを強調したかったです。 ありがとうございました。
0背の低さに気づいていただいてありがとうございます。もっとも電球を変えるのは天井なら踏台を使うとおもうので…まあそのへんは許容くださいという次第です。もうすこし良い表現があったと思うのですが、好きと言っていただいて良かったです。
0作者は r ですが、なぜか作者名が表示されていませんでした。
0きっといつも言われっぱなしで溜まっていたところで追い出されたあなたは、家に戻ることはないのだろうなと思いました。 ゴール板を通過して呼吸を整える場所は追い出された「カコ」ではない、違う所まで走り抜けていくような気がして。 言われるのも辛いですが、何も言われないのもそれはそれで辛いから難しいなと思います。
0上のコメントの最後の文、関係ないから消そうと思ってそのままになってしまいました。すみません。
0>家に戻ることはないのだろうなと思いました。 考えさせられました。これは作品外のことなので、人それぞれ正解があるのだと思いますが、いかんせん私の中で、レース後「あなた」と「あたし」の関係が離れるということは考えていませんでした。でも言われてみると、たしかに「あなた」は家に戻りそうもありません。馬をムチで叩けるようになったからといって、虫を殺せるわけではありませんし、電球の交換など尚更です。 「あたし」は最初から「あなた」を追い出すために、強くなるのよと、適当なことを言ったのかもしれません。つまり「あたし」は「あなた」を受け入れる度量がなかったし、必要ともしていなかった。「あなた」は追い出されて、騎手になったものの、それは家に戻れる(「あたし」に受け入れてもらえる)理由にはなりません。 ああ、別れの詩なのだなと、いま気づきました。
0最初は2人の関係が何なのか気になりますが、電球のところできっと夫婦なんだなとわかりますね。とすると、「虫も殺せない」は普通心優しい人物に使うのですが、この詩ではきっと家に出た虫も殺してくれない役立たず、という意味なのでしょう。 そして、競馬場のモニターで夫を確認するシーンも、なぜ!?と思わせますが、馬名から、「この競馬場自体が比喩の存在なのかな」と思いました。 この辺りの変化が読んでいて面白い。しかも読み手に違和感や疑問を与えながらも、支自体は平易で読みやすいのが素敵だと思います。 自分も普段は妻に小さい存在だと思われているかもしれませんが、いつか見返してやろうと思っています。
0そうですね、ちょっと説明不足でしたが、虫はゴキブリとか害虫を示したつもりでした。 ちょっとシュールな展開ですが、文章自体を平易にすることで緩和されるのかなと、うるりひとさんの感想で改めて気づかされました。 ぜひ見返してやってください。きっと騎手よりももっと良いやり方があるはずです。
0ぼくも電灯の交換ができません。友だちにきてやってもらっています。
0ちょうど今似たような設定の詩を書いているところだったので、興味深く読みました。素敵です。いつまでも余韻が残ります。タイトルにノックダウンさせられました。
0短いですが、その短さがかえってこちらの想像を膨らませるような気がします。とても読後感の良い作品でした。
0生活していて、とつぜん思ってもいなかった困難さに直面することがあります。それが世間的にとてもささいなこととされていても、個人的には屹立するヒマラヤにも思えるものです。
0タイトルにここまで反響があるのは予想外でした。いつも適当につけているキライがあるので、今後はもっと考えたほうが良いと考えさせられました。
0いわゆる行間を読ませるということが、ピムさんには受けたのだと思います。批評文のほうもありがとうございました。
0ハルウララを思い出させました。単勝買い? 馬名にはユニークな名がありますが、それぞれの思いがこめられているように思います。
0ハルウララ懐かしいですね。 馬主さんの色々な思いが込められているのでしょうね。 すこし脱線しますが、ユニークな馬名で調べたら、たくさん出てきました。たとえば… ネルトスグアサ オトナノジジョウ ビックリシタナモー 面白いですね。ちなみに以下は個人的に好きな馬名です。 エガオヲミセテ ブエナビスタ(スペイン語で絶景)
0爽快感がありました。 それでいて、以前のあなたと、今騎手として走るあなたを見つめる、ちょっと湿ったような感情、着順は知らないけど、最後まで見ていた思い、いろいろな感情の移り変わりが、短い詩の中にしっかり収められ、きちんと伝わってくる、読み返せば読み返すほど、心に響く詩でした。
0創作時に、感情の移り変わりという部分までは特段意識していなかったので、宵月さんの言葉ではじめて気づかされました。 ご丁寧な感想ありがとうございます。
0慎ましいというか、こういう詩を久しぶりに読んで、はっと光っておりました。
0はっと光っておりました、という表現がとてもおもしろいですね。 ありがとうございます。
0コントレイルではないですが、競馬をあまり知らなくても馬が伝わって来るような詩だと思いました。
0投稿された直後に読みましたが、読後の爽快感が忘れられませんでした。馬の名前がなんともニクい。
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