胸に空いた穴を埋めてしまって
平坦なものだったと思い込むもの
山に背を向けながら
山の上に立ちながら
その周りの凹凸を眺めている
それは限りなく広がっている
あれは私が埋めた山
そしてまた立ち去る私
あれも私が埋めた山
だけど今度はここに残るの私
そうするべきだからそうだと言った
私は生きて行くべきだから
当たり前だからそうだと言った
私の成長はここまでだから
そこにいても意味はないと言っている
知っているから知っていると言っている
私はまた一人で死んでいくのを見たくないのに
良いんだ動かない私がこのままだって
それは何処にでもあった
必ず何処にでもあると言っていた
夏は縮み上がっていた
手を突っ込んで抉ってやろうかと思った
陽に当たった傍らで霞みたかった
その穴を広く深く刻まなければと思った
晴天すら憎い衝動も永遠ではなかった
それに入って消えてしまいたいと思った
後ろ足で砂をかけて埋めている
癒しに追われて穴の周りを抉り取り
山を作って立ち去って行くまた一人
思い出すだけです
きっとまた思い出すだけ
山の上に佇んでいるもう一人
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1304.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 10
作成日時 2020-08-11
コメント日時 2020-08-11
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 10 | 10 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 10 | 10 |
閲覧指数:1304.6
2024/11/21 21時56分42秒現在
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拝読させて頂きました。 生との向き合い方について考えさせられるような作品だと感じました。 気まぐれにも見える、立ち去るか残るのか、の選択と、物語の移り行き(永遠ではないもの)が、人生のやるせなさと主体性、傍観性を、とても面白い距離感で捉えていると感じました。
1コメントありがとうございます。 人生の遣る瀬無さ、それを感じて生じた感情が、正しく衝動で本作を書いてしまった根本的な理由になります。 「考えさせられる」との感想を頂けるのは嬉しいものですね。 面白いとも評して頂けて良かったです。とても励みになります。 読んで頂きありがとうございました。
1コメントありがとうございます。 ご指摘を頂いて、「胸の穴を埋める」という言葉の意味を改めて考えてました。 本来その言葉は、胸に穴を空けた出来事、その過去に決別し乗り越えるような意味合いがあるわけなので、本作でその言葉を使うのは適切ではなかったのかもしれません。 実際私は本作を書く動機となった過去について、こうして文章を打っている今でも乗り越えることが出来たとは言えないからです。 余り自分で語るような真似もしたくなかったのですが、本作に置いて「心の穴を埋める」行為は過去からの逃避、忘却のつもりで書いていました。 いつか本当に乗り越えることが出来たら、その境地は確かに詩として書いてみたいものです。 読んで頂きありがとうございました。
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