遠雷が鳴る あとかさき
かなかなひぐらし かなしんで
あの遠雷に帽子をかぶせたい
夏のしらせがたくさん奪っていった
なつのせみはるのせみ黙っていった
とおくとおくこえはとおくまたたき
遠い野に落ちる 遠雷 それは運命のようだ
遠い野にみちる蝉の声 ただ遠いだけなのだ
遠い野はただ遠い ただそれだけなのに遠い
かなかなひぐらし かなしんで
丘をひたりのぼり 鉄塔 のぼって
ひえたてつの温かさ こえもなく
手をのばせども手をのばせども
手に絡むのは蜘蛛の糸きれぎれに
雲間に消えていく こえの群れ
もういいのだ と
遠雷に帽子をかぶせて
なかなくていいのだと
遠い野からひきよせて
放ってやりたい
あの遠雷に帽子を被せたいのだ
かなかなひぐらし かなしんで
遠雷にゆれる鉄塔 とどかない
ひえたてつの温かさだけをつかみ
僕はそいつに 帽子をかぶせよう
そうしてこえもなく だれかのみ
みに おちてしまえ そこは遠い野だ
作品データ
コメント数 : 17
P V 数 : 2520.9
お気に入り数: 3
投票数 : 0
ポイント数 : 21
作成日時 2020-08-05
コメント日時 2020-09-06
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 9 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 4 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 1 |
音韻 | 2 | 1 |
構成 | 2 | 1 |
総合ポイント | 21 | 5 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1.5 | 1 |
前衛性 | 0.2 | 0 |
可読性 | 0.7 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0.3 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 3.5 | 3 |
閲覧指数:2520.9
2024/12/04 02時37分32秒現在
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とても印象的なのに 言語化できない。 なにかを感じるのですが、 うまく言葉にできない。 もういいのだ と 遠雷に帽子をかぶせて なかなくていいのだと 遠い野からひきよせて 放ってやりたい ただ、この段落が、 一番に印象的でした。 そして、ラストの行... 曖昧なコメントで申し訳ありません。
0僕自身、言葉に出来ない事がよくありますので、何か感じられたのなら良かったです。遠雷の響きはなんか好きなんですが、耳にするときの心境で、変わって聴こえますね。
1詩を読み書きする時に感じる印象が、何をもって何処から湧いたものか分からない。が、その分からない感想が一概に客観的だという皮肉。 帆場さんの作品に触れると、安定しているな、といつも思うことを書き残していきます。
1どうも。出来れば、その安定から先に抜けたいところです。
0美しいと思いました。繰り返される”遠”が詩と作者と読者に似ているとも感じます。 印象的でした。
0帆場さん、はじめまして。 あまりの暑さに真夜中に目覚めてみたらとても素敵な作品に出会えました。拙いですが受けた印象などなど。 音がぼやけたりシャープになったり、咽び泣いたりしゃくりあげたりする遠雷のかぼそい線香花火みたいな雷光が、間断なく響くカナカナの声に織り込まれて遠い野原の空(たぶん青い夕暮れ)を薄いガーゼみたいに包む、そんな絵が浮かんできました。 そのガーゼの粗い網目はそのまま帽子の目地に繋がる印象。 鉄塔から身を乗り出し不安定な姿勢で帽子を差しだす語り手の姿が優しいのに切実。雷鳴の落ちる先を「だれかのみみ」にと願う、語り手自身は帽子は被せど遠雷の咽びを受けようとはしていない、きっと受けられない、そこに悲しくなるくらいの空間がぽっかり空いていて、カナカナの声がより切なく響いてきました。
雷は古来から恐れられている自然の大きなエネルギーの放出でありながら、 「遠雷」と言われると、どこか他人事のような、孤独を感じるような、儚げであるような、 不思議な言葉だと思いました。
0良いなぁ、と思う部分はすでにあげられているので感想だけですがコメント失礼します。 遠雷は、遠いですねぇ……。 帽子は飛ばされてしまったのでしょうか。陽射しは強いし、お気に入りの帽子ならば尚更、はやく被せてあげたいですね。誰かが行って、被せてやらないといけないのでしょう。でも、遠雷は、遠いのですね。 ずっとずっと、このタイトルについて考えてました。ようやく自分なりの解釈ができました。切ないです。自分もまだまだ何事にも腰が重くて、もっともっとフットワークを軽くしたいです。色々と考えさせられました。
0夏の夕刻って、季節の中でも特に様々なものがゆらぎやすいように感じます。音も感触も気持ちも、距離感も、生死も。そんなゆらぎに身をゆだねて、もどかしさも含めて受け止めながらも、手は伸ばし続けたい。そんな気持ちになれる詩に出会えました。ありがとうございます。
0遠さというか、そうですねあらゆるものと隔てられ距離があるから僕らは外に美しさとか様々なものを感じられるのだと思います。
0遠い野原の空(たぶん青い夕暮れ)を薄いガーゼみたいに包む。ちょむさんのコメントで詩の世界がさらなる拡がりを持ったように思います。ありがとうございます。
0遠雷という言葉の持つ距離感がそのまま儚さのようなものをまとっているように思います。とてつもないエネルギーのはずなのに。不思議ですね。
0タイトルについて触れて頂けたのは嬉しい限りです。距離があってはじめて遠雷ですから、帽子を被せてやりたくても近寄れば消えてしまう蜃気楼のようでもあります。帽子を持つ手はさまようばかりでしょう。それも、まぁ、仕方ないのですけれど。
0あの遠雷に帽子を被せたい そうですね。この一行がすべてと言っても過言ではないのかもしれません。誰もがなにか、誰かともつ距離について思わずにはいられないことがありますね。遠い響きと遠い日々、この遠雷を誰かも聴いているのかもしれません。
0幼い頃は遠雷や夕立、夏の夕にわくわくしていた筈ですがなんだか、揺らぎを感じるこのごろ。しかし、もしかしたら帽子を持ち手を伸ばしたさきに未知の何かがあるのかもしれません。
0帆場さんに言いたいことはたくさんあるんだ。帆場さんは、少なからぬ多くの詩人が自然からの触発でそれを詩的言語へと昇華しようと試みて失敗しているのに対して、あなたは随分自我というものが-いやあるいは無意識と言っていいかもしれない-自然から形成されるし、もっといえば自然からしか詩的な言語は生まれえないと信じてる。そういう現代では稀な感受性なんだからそれを突き詰めていけばいいと思う。同時に自然からの感応がない人たちも大勢いるのでそれについてどう考えるか聞いてみたい。
0アリハラさん、あなたのコメントは僕にとって非常に示唆に富むものです。ありがとう。それだけは伝えておきます。この先は、運営の帆場として通告を行います。 あなたには以前にオレンジカードを発行しており、それはカード発行から60日間のサイト内での活動を禁止するものでした。 https://www.breview.org/forum_blog/archives/1074 そのペナルティーに違反していることからレッドカードを発行させていただきます。詳細は下記のフォーラムをみてください。 https://www.breview.org/forum_blog/archives/1213 作品にコメントいただいております参加者の皆様、お騒がせいたしました。
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