世界はいつか終わってしまう
小さな世界も消えてしまう
影は奥に行ったり手前に来たり
左にも行って右にも向かった
そんな影たちを何度も集めて遊んでいた
不思議を相手に戯れていた
体育座りをしながら床ばかりを気にして
体育館のテカテカした木の床に
手のひらを付けたり離したりして
影の集約する不思議に触れていた
集会のときのことだったか
一人の世界で腕の上げ下げを繰り返し
しばらくして頭の上に目を向けてみても
広い天井の照明たちが眩しいばかりで
手元の不思議は色濃いままで
先生の話だって聞こえないほど
世界に一人だけだった
世界に独りだけ
思い出されるのは重なり合った影の色
私一人の影の色
集まってきた影の色
ひとつだけ青みがかっていたような
ひとつだけ何かを透かしていたような
指がぶっといやつもいれば
手首がほっそいやつもいて
消えちゃいそうなやつもいるし
なんだかしつこいやつもいる
そんな気もするようないろ
わたしひとりのかげのいろ
ただいまって言ってみたくなりました
誰に頼みましょうか
行ってらっしゃいと追い出してください
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 1651.4
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2020-07-29
コメント日時 2020-08-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
閲覧指数:1651.4
2024/12/22 02時15分37秒現在
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手の影で遊びながら遊びのなかに入って行く身体、ふと子供時代に戻ったような気がしました。終盤で漢字を平仮名に開いていく部分、イメージの世界のなかで幼児に退行しているような気がしましたが、一方でそれが決して戻れない過去の世界であることも同時に感じられました。失われてしまった過去への感情、郷愁を感じます。 世界―小さな世界は自分の外部―内部を表しているのだと思いました。「ただいま」と言いたくなって誰かに「行ってらっしゃい」と追い出してもらおうとする最後ですが、これは外から内へ潜って行く自分なのか、内から外へ向かおうとする自分なのかで意味が変わるような気がして面白かったです。
0僕は、行ってらっしゃい と、 人に、言いづらい。 おはよう、 こんばんは。こんにちは、 もう月末です。 人が生きている間中に揺らめく何かは なんでしょうか。 はじめまして。 お酒が飲みたくなりました
0コメントありがとうございます。 返信が遅くなってしまいました。 いやあ作者としてはとても嬉しいご感想をいただけました。書いて良かったです。 最後の連に関しては、正直に申しますと私自身も、どこに帰りたくてどこに送り出してほしいのか分かっていない状態で書いていました。 どんな結論に向けて書こうとしてもこうじゃないと納得出来ず、最終的にあの様な締めを選びました。私自身も含め、読んだ人が読んだ時の気分で感じ方が変わるような詩になれば良いなと思った次第です。 ですので「意味が変わるような気がして面白い」と評していただけたのは本当にとても嬉しいです。 読んでいただきありがとうございました。
0コメントありがとうございます。 返信が遅くなってしまいました。 確かに私も「行ってらっしゃい」とはリアルでは何年も言ってない気がします。 お酒私も飲みたい、というかこの返信を打つ前に少し飲んでました。酔っぱらったときの揺らめきは童心にちょびっと似ているのかもしれない、とふと思っています。 読んでいただきありがとうございました。
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