道路に一枚だけ落ちていた枯れ葉を
気付かずに
前輪で押しつぶしてしまった、らしい
タイヤにこびりついた枯れ葉が
ペダルをこぐたびに、一定の、リズムで
視界に入っては消えていく
雨が降っている
ともだちが
負けたけど美味しいもの食べたいと言って
銘柄がぜんぶ違う大瓶四本とパックの寿司を
買ってるのを私は写真で見た
これじゃあ祝勝会みたいだねとリプライして
ほんとうの
祝勝会の雰囲気やそこにいる人たちの顔を
想像しようとしたけどできなかったから私も
発泡酒を買って宅配のピザをとった
ちゃんと飲んで、ちゃんと食べた
ともだちもきっと
ちゃんと飲んで、ちゃんと食べた、はず
アルコール、六パーセント
今日の結果、五十五パーセント
ビールとか発泡酒とかの好きなところは
初めて飲んだ時に感じた苦味をいつも新鮮に
思い出しているような気分になれるところ、
最近はやってない親戚の集まりで飲んだ時の
うまく説明する言葉を見つけられない感じを
思い出してまた言葉を探したくなるところ、
それを見つけるまでビールのほんとうの味を
まだぜんぶ分かってはいない
と思えるところ
梅雨が明けきる前に
何かで勝ちたいと思って
久しぶりに競馬をやってみたけど、ガミった
ガミるのは買い方がおかしいから、ハナから
やり方が間違ってるから、ちゃんとやったら
勝てなくても、負けはしない
と居酒屋でマスターが言ってた
そうか、ちゃんとやったら負けはしない、
勝てなくてもいいと思って納得したけど、
勝てなかったら、負けてしまう
ことだけが、今日分かった
考えごとをしながら自転車に乗っていると
人がほとんど通らない、小さい信号を見逃す
別に構わないと思うけど、
この前通りすがりの現場系のおじさんに
こどもが真似するだろと言われたことが
すこし、胸にひっかかっていて気が咎める
私の生活を動かす人たちもこどもは真似する
こどもは選べないから真似するしかないから
でも、私は選べる
選ばないことも、許されてる
何回もやり直せる福引きのくじみたいに
欲しい結果が出るまでしつこく
嫌がられるくらい粘ってみたい
このあたりで一番大きい交差点を
緊急車両がけたたましく走り抜けていく
足をついて、通り過ぎるのを待ってから
追いかけられるところまで追いかけてみる
最近はほとんど運動もしなくなったから
すぐに息切れしてしまった
雨はまだ降っている
もう長いこと、緊急が続いているけど
次の季節、あたらしい結果を見るまで私は
回し続ける
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 1595.4
お気に入り数: 1
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作成日時 2020-07-08
コメント日時 2020-08-12
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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2024/12/22 02時20分55秒現在
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書こうとされているものを想像するのはご法度ですがとてもいい雰囲気を持った詩だなあと思いました。團伊玖磨(だんいくま)さんという作曲家をご存じでしょうか。「パイプのけむり」という随筆を長期に渡って書かれています。使われている言葉に「当時」の言葉が出てこないので50年近く、あるいは50年以上経った今も全く内容が古びて見えないし、書いてある内容はしっかりと伝わります。機会があればご一読いただけたらと思います。差し出たことを書いてしまい申し訳ありません。
1かずやさん コメントありがとうございます。良い雰囲気を感じていただけて良かったです。 團伊玖磨については、『筑後川』の合唱曲で親しみがあります。その随筆は知らなかったので、読んでみますね。
1餡がたっぷり入った円筒型の、地域によっては今川焼とか大判焼とか呼ばれる菓子が、当方では回転饅頭と呼ばれていたものですから『回転鯛』とは何と目出度い!などど思ってしまいました。そこまで甘くはなかったか。 普通の言葉を使って詩を作るのが難しいのは、普通に書くだけでは日常にしかならないから。ですが。その日常の物事を、どこか新しく感じさせるところが実に良い。僕は競馬は判らないし、ビール嫌いでハイボール好き、自転車ももう乗れなくなったし、趣味は合わないけれどこれは良いなと。
1萩原さん コメントありがとうございます。 回転饅頭、小さい頃食べました。 今回まさに、普通の言葉を使って詩を作る、という意識だったので、とてもありがたいコメントです。
0様々な場面をベースに詩文が挟まれるような形で書かれていて、物語ともいえず、完全に詩ともいえず、という位置づけを狙って書かれているように感じます。ただ、正直に申しますとやや冗長に感じました。何故かを考えるに、構成や場面の説明がきっちりし過ぎているのだと考えます。 その丁寧さは恐らく筆者の性格によるものとは思うのですが、あえて丁寧にしないこと、あえて霞ませること、わざと書かないことを要所で差し込む事によって、文章全体がキリっと纏まってくるように思います。
0ふじりゅうさん コメントありがとうございます。 そうですね、たしかに、冗長と言われれば否めません。 何をどれくらい説明するか、というところを考えてみたいと思います。 参考になりました。
0こんばんは。 こちらの作品へのコメントでなくて大変恐縮ですが、該当作のコメント欄は閉じてしまっているのでこちらへ参りました。 6月のウトイさんの投稿作「ぷろてすとたん」の朗読許可をいただきたいです。 フォーラムの6月の大賞発表はご覧になられましたか? https://www.breview.org/forum_blog/archives/1028 私の個人賞に「ぷろてすとたん」を選びました。つきましては、ぜひ作品を朗読させていただきたいです。 フォーラムのほうに朗読の可否を書き込んでいただけるとありがたいです。 どうぞよろしくお願いします。
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