頭の炭でだけ - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。

硬派な作品

萩原朔太郎や中原中也のエッセンスを感じます。

千治



作品を
別枠表示

頭の炭でだけ    

惑星が ずっと 遠くでまわっている ことを瞼とじたら わかる? 恒星を さえぎって 通りすぎて やっと見えた光 は ぼくらの時間ではない あのとき 昨日どんぐりを 石で砕いて食べていたとき 一昨日たかゆきがまんもすにやられて 一昨々日に息たえたとき 一週間まえには 干ばつの国でれんがを踏んで たおれて 救い主に水をもらってた ひろがる暗やみから じっとひかる 星 は ものさしをしらないせい 時間の味は ひとはだのあじ にんぎょう遊びをつづけてきた いくつものつばさを固めて 恥じらうことが先にあってね にんげんの権能をきり崩してつかってる 棒立ち夕立ちのあとの仲立ち かさをとばしそうな厳風は季節の認印 こどもたちの轍をなでさらう えんじんおん聴こえるか 箱庭のはしにある深海から まきいとを辿ってあいにいくつもりだ 人の形を愛した月曜のあなた は まだ寝ているころです わたしは眠れなかったからこんな 鳥が起きる時間にコンビニまで歩いていく 誰より早い月曜日だなんて 素朴に思ってみてる たぶんなんとかしてこれからも生 きていくという感じがする からもうこれは春なんだね 孤独に散らばって凍死しそうなときだけ 話さずにくっついて 極限に閉め出されつづけて 目が悪くなるはんたいに 木も川も都市も 目に見えない決まりごとさえも透きとおっていって なにも名指せなくなって きみのアパートはいまもどこかで燃えているか 非常階段だけで造られたあの住宅地は 衛星から観ると熊にみえるって本当 名前を呼ぶな 期待してるポーズをもういちどでもしてみろ そうしたらもうひとだと思わない 炭がもえてるよ 輪の代わりに 全員の上に 名前ではない傷の集積を名前で呼ぶな きみだけは この世の誰にもすがるな


頭の炭でだけ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1857.8
お気に入り数: 1
投票数   : 0
ポイント数 : 30

作成日時 2020-07-03
コメント日時 2020-07-30
#現代詩
項目全期間(2025/01/05現在)投稿後10日間
叙情性82
前衛性00
可読性50
エンタメ30
技巧60
音韻30
構成50
総合ポイント302
 平均値  中央値 
叙情性2.72
前衛性00
可読性1.70
 エンタメ10
技巧21
音韻10
構成1.70
総合102
閲覧指数:1857.8
2025/01/05 18時40分24秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

頭の炭でだけ コメントセクション

コメント数(4)
藤 一紀
作品へ
(2020-07-26)

行毎の飛躍の仕方や行末の語の用い方が非常に素晴らしいです。意味的解釈を飛び越えて言葉が奥底に言葉でないもの、言葉にすることを抑えられたものが直接入ってくるありように絶句しました。この言葉体験を言語化することは困難で、まさに言葉にし難いものに遭遇した時に似た感情を呼び起こします。不覚にも鼻がつーんとなるものに出くわしたような「言葉体験」をさせられました。素晴らしいの一言です。

1
ほば
作品へ
(2020-07-30)

正直言いまして、僕の頭では内容や意味についてはとても追えなくて、コメントを悩みました。ただ、読み上げていて非常に個々のフレーズがバラバラであるとは思えないんですよね。なにかはっきりと見えないけれど確かな繋がりが張り巡らされていて、最後まで飽きることなく読めました。多分、時間を置いて読んだ時にはまた違う発見があるのではないかと思える詩ですね。

1
田邊容
藤 一紀さんへ
(2020-08-07)

藤 一紀さん コメントくださってありがとうございます。 否定的な批評を頂くこともあり(それも勿論有難いことです)、要らぬ迷いが生じていたのですが、私自身、この作品をなぜ良いと思ったのか思い出すことができました。どれだけありがたいコメントかわかりません。 私は、書き始めるときに読み手を意識して書く書き手ではありません。 この態度がどれほどの人に否定的に取られるかはわかりませんが、私にとっての自然な言葉の発露は、そうなのです。だから、その言葉をそんな風に受け取って下さったことがわかって、本当に嬉しいです。 コメントを書いて、伝えて下さりありがとうございます。

1
田邊容
ほばさんへ
(2020-08-07)

帆場 蔵人さん コメントくださりありがとうございます。 上のコメントでも正直に申し上げているのですが、書き始めの段階で読み手を意識してはいません。全てを計算して、意識的に何か一つの答えが読み取れるように書けるほどに賢い人間だったらよかったです。ただ、強い感情だったり無意識に通底している私の中の深いところの何かをできるだけ一貫しようとはしていますし、推敲の時点で少なくとも自分には一つのテーマを念頭に読めるように書きました。 その態度が文章だけでも確かに伝わったこと、読み取って下さったことが嬉しいですし、安心できました。 私自身も、時間を置いて読むとどうなるのか、今は楽しみに思えております。 重ねて、コメントありがとうございました。

1

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 1