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小夜瑠璃物語
夏の夜空にはあらゆる歴史の数だけのイノチの星座があるといいます 借金取りのかぐや姫に骨でしたらすぐに用意出来ますとすがりつく大地 流星狩りに出かけてきますと書き残して兄がいなくなった夏休み ニク同士弾けるためのお祭りに卑猥な花火が夜のガラスをぶち破る ぴすとる型の万華鏡で歴史から色彩だけを奪っていった戦争を母の母が静かに語る 正義とはきみを殺すことだ悪とはあなたを生かすことだお構いなくヤらせてください わたしというナルシスは骨密度から親密度を計り体温から自分への愛を温存させています 地球代表ではなくて国として宇宙に旗を立てたがる宇宙飛行士のなぞの行動 名前とは墓石に刻まれるためにあるのだと書かれた本の背表紙にまた名前 知らずに傷つけ知らずに犯し知らないうちに殺してる不名誉な平和に賞はいらない 拳ほどに育った胎児は両親に伝えますクラシックよりあなたの夢をお聴かせください 美人も生ものですから彼女たちの痛々しい若さのニクが近所のスーパーで買えますよ 糸のないミシンを踏むネオン看板の暗がりで妖しく茂る都会の森の赤ずきんたち 私は高いわよといっていたぼくのただの恋人がいつか有料で安く買われてゆく アンドロイドは電気羊の群れのなかで働きものの普通の羊をなぜ見つけられるのだろうね デジタルな赤い糸を指がもげるほどの愛情に飢えたぼくたちにください 水底の水底の水底まで足を伸ばすことは簡単だけど意識の底からきみは誰をみているの 初恋のカラダはもう初恋ではないのだね彼女は恋を知っていてすでに経験済みだそう いつか想いが冷めるのは生まれつきのままの体温を保てないぼくらの愛の宿命なのです 蒸し暑いほどの夏の蜜のなかで彼女は今も誰かに瓶詰めされているのでしょうか 地平線からウインクする夕方の光を目蓋の奥で感じたあとに目を開けたら凪 両親の息と息との行進で育まれたぼくの命はすでに鮮度を失っている 運転手さん古い空気のバス停から行方不明の兄がいる肺色の惑星まで何光年かかりますか 銀河鉄道グループの本社は太陽です定額料金でフレンドリーに宇宙を循環いたします 心はただのサービスでぼくのカラダは初回無料キャンペーン中に親が契約したものだった 今ご契約されますと兄弟が無料で付いてきますスマイル0挨拶キャンペーンも実施中です 夜よりも夜の果てに沈んでいった者たちの果てしなき千夜一夜物語 ぼくたちの幕をおろす黒子の数だけ生命体はこの世に存在しています この歌は青く燃える惑星の萌える若葉の恋人たちに今を託する覚悟で書いた信号です 兄は子宮へ帰りました子宮はすでに宇宙でした宇宙は兄そのものでした
小夜瑠璃物語 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1001.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-08-03
コメント日時 2017-08-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
結構、書けるし読める人なんだろうな、と思うのでシンプルにかきます。 「世界」を認識しようとする「身体」。際限なく「希求」できるものとして世界は広がっていくのだが、それを認識するインターフェイスとしての「肉体」は、限りなく広がる世界と相反するように「虐殺」されてゆく。 「希求」と「虐殺」というパラレルな形で進められるこの「作品」は、だが、本質的にはなにかを「犠牲」にすることが必要となる点において、同じと言わざるを得ない。 もちろん、際限なく広がってゆく「希求」を、「過去」へとベクトルをねじまげ、 >夜よりも夜の果てに沈んでいった者たちの果てしなき千夜一夜物語 内面化してゆく「虐殺」が終わるころに >ぼくたちの幕をおろす黒子の数だけ生命体はこの世に存在しています それを支える生命が見えてきたあとに >兄は子宮へ帰りました子宮はすでに宇宙でした宇宙は兄そのものでした 拡がった「希求」の行きつく先が「虐殺」されてゆく「身体」とつながる、という単純な構図なのだが、結局のところ、「世界」「身体」のインターフェイス、あるいは境界面が変質していく瞬間をオートポイエーシスとして記述し続けることのできないので、「スタイル」そのものが確立されていないように感じてしまう。もったいない。
0切りつめられた詩情が、凝縮されて連ねられている。そんな読後感でした。 自由律短歌の連作を読んだ時の感覚に近いのですが・・・このように断片を連ねて「詩作品」となす場合、6連の構成に、もう少しドラマティックな構成を加味した方が良いような気もしました。あるいは、3、4連の挿入エピソードのような「転」の部分を、一字下げにする、など・・・ 1、2、5、6連。具体的な「戦争」という事ではないのでしょうけれど、経済戦争を行っている「社会」に出て行って、殺されてしまった兄・・・に重ねながら、同じように殺されていった読者諸氏への哀悼歌であるようにも感じます。 五行一連の構成の美しさ、形式性が生み出す整然とした秩序のイメージ。枠を設定することによって、逆に予想外の言葉が引き出される可能性・・・は大事にしたいけれど、今回の作品に関しては、もっと自由に崩してもよかったのではないか・・・若干、無理やり引き出した行があるようにも思われ・・・本筋から離れることで意識を逸らしつつ、また本筋に戻る、といった、エクスカーションの楽しみを与えてくれる行でもありますが・・・そのエクスカーションが、あまりに頻繁だと、読者に煩雑な印象を残しはしないか。そんな感想を持ちました。
0「なにこれ気持ち悪い」と、率直に感じました。 不都合な存在には、憤怒をしつこく練り上げて渡せば、黙るとでも思っていのでしょうか。 いかにも爬虫類的な心の有り様を見てしまい、とても残念でした。
0感情で立ち向かえば、感情であしらわれてしまいますから、… そういった対人関係のしがらみから目を離してほしいと切に願います。 m(__)m
0渚鳥sさんへ ユニークな解読をなさいますね。この作品に、この作品を「用いて」不都合な存在を黙らせようとする・・・意図は、私には読み取れませんでした。 それから、率直な感想や批評のやり取りを奨励する場ではありますが、否定的、批判的コメントを伏すとき、気持ち悪い、というような感覚的で短文のコメントは、思わぬ誤解を生むことがあるかもしれません。 もし、渚鳥sさんが、まだ未読でいらっしゃるようでしたら、マナーガイドラインをご一読頂ければ嬉しいです。http://breview.main.jp/index/guideline/
0コメントを伏す➡コメントを付す、の誤記です。編集機能が無いので、こちらで訂正しておきます。
0こんにちは。コメントを少しばかり書かせていただきます。 一連一連が一つの詩句として完成されている。 それは、意味のつながりだけではなくて、音のリズムがよいからだろう。 そして、その完成された一つ一つが、語のイメージによって 流れるようにつながれていく。 そのイメージのつながりによって、我は我は誘導されるようにして、 次へ次へと読まされていく。 特に二連目以降は、独白とかたりかけが混在しているように感じられ、 読むものよっては、自らへの語りかけとも、自らの叫びともなるような そういう書かれ方をしていると感じました。
0まりもさんへ (ガイドラインは更新される度ごとにその旨をトップページに掲載するものではありませんか…?) では、上記2件の私のコメントを訂正致します…。 改めて再読いたしました。 ぼくたちの幕をおろす黒子の数だけ生命体はこの世に存在しています この部分だけが、妙に引っ掛かりました。 何が何でも、沈む船だろうとも、手にするパーセンテージは日々、大きく変わりますから。 緩急自在にはいきませんが、 舵(カジ)をなくしたから「幕をおろす」というのは、短絡的で。 再読後は、悪い印象は有りませんでした。 何だかちょっと哀しいな、という印象です。
0東川原 来夏さんへ 申し訳ございませんでした。 作品の根幹に触れもせずに、軽はずみなコメントをしました。 以降、二度と無いように、気を付けて参ります。 東川原さんの哀調ただよう筆致を、これからもお大事にされてください。 花緒さんへ 申し訳ございませんでした。 B-REVIEWに土足で踏み込むような真似をしましたことを、心から謝罪いたします。 私は暫くコメントを自主謹慎いたします。 ご忠告を、有り難うございました。
0まりもさんへ ご忠告いただいたにも関わらず、ふてぶてしいレスポンスをしました私の無礼をお詫びいたします。 再度、作品に注意を向けさせていただきまして、有り難うございました。
0えっ、これ短歌集じゃないのか? と思ったのですが。 私は普通にユーモラスな現代短歌として読めました。浅井さんはstyleが完成されていないと言っていたけど、私はむしろstyleが明瞭すぎるような感じがした。 この作者の粘着的なものの見方(渚鳥さんはそこを気持ち悪いと仰っていたのでしょうか)、ナルシシズムは強く感じられるけれども、中にはポロリとこんな首も見えて。 名前とは墓石に刻まれるためにあるのだと書かれた本の背表紙にまた名前 こういうメタフィクション的な首も評価の遡上に載せるなら、styleとしては〈私〉を追求するあまり〈私〉の埒外に出る〈私〉の存在、というのが垣間見えて、面白く読めます。
0小夜瑠璃物語、 百均さんが、仰っているような、 やや、くどい一面も垣間見えますが、 敢えてくどくどと書かれたのではあるまいか。 けれども、 タイトルにすべて集約されているとしたなら、作者様にとっては、 「小さい夜」のこととして〈既に消化した〉詩なのだ、と受けとりました。 ドタバタあったものの、既に終わったこととして、私〈作者さん〉は、手記のように一連の物事に判を捺したような、そんな風に私は受けとりました。 ※ 発言を自主謹慎するといいながら、発言いたしますのは、 B-REVIEWのマナーのひとつに 「レスポンスを無視してはダメ」的な内容を見かけたためです、ご容赦くださいませ。m(__)m
0誤記、修正します。 (修正後) ドタバタあったものの、既に終わったこととして、東川原さん〈作者〉は、個人的な手記として、一連の物事(物語)に判を捺した(けりをつけた)のだ、とでもいうような作品。 そんな風に私は受けとりました。
0わたしにとって この作品は、詩作品ではなく詩集でした。一行一行が ひとつの作品であると感じたからです。一行一行が 読者である私のハートという的へ かなりの的中率で当たりました。ときどきは まるで いたずらのように、私のハートには 命中しない(具体的に私のハートに命中しなかった部分とは、アンドロイド……の部分)のですが、そこがまた人間味あふれる詩人と読者の交流のように私には思えて、快感でした。 この詩集には 生死と愛との刹那があります。私自身の記憶の中にもある大切な人との別れが走馬燈のように鮮やかに蘇ることを感じました。 特に、お兄さんのことを表現しておせれる部分に 私の場合は特に惹かれました。それは私自身の弟に対して個人的な喪失感体験を もっているからだと思います。私が持っている痛い気持ち、癒されることのない私の痛みに対して、この詩は なかなかどうしての効き具合だったのです。 この詩集には、せつなる願いがあります。 ≫拳ほどに育った胎児は両親に伝えますクラシックよりあなたの夢をお聴かせください この詩集には、ほんとうに ≫今を託する覚悟で書いた信号 であると思いました。実際に この詩を読み終わった 直後の私が目を閉じたとき、色彩が明滅しました。 この読後感覚は、わたしは少女時代にしかない経験したことのない感覚です。これは、なにか とても心を揺さぶられたときにしか起きない現象です。 しかも、これらの鮮烈なイメージの数々のあとに おとずれる揺らぎは、ゆりかごのように優しい。 ≫地平線からウインクする夕方の光を目蓋の奥で感じたあとに目を開けたら凪 ↑しずかに寄り添う風を 感じさせていただけました。しかも、 ≫銀河鉄道グループの本社は太陽です定額料金でフレンドリーに宇宙を循環いたします ↑広がりのある夢想にも 私を、いざなっても くださいました。 この真夏に、胸が痛いような涼しさを得たこと。この詩集に 出会えたことに感謝します。 ありがとうございました。
0僕はこの詩が好きです。言葉を選ぶセンスと、その選んだ言葉を動かす運動神経が圧倒的にいいのですね。だから主題を批評しようとは思えません。なんて例えようかな、不愉快にさせたら申し訳ないのですが、アイドルのグラビア写真をみているような感じ。微笑んでみたり、ちょっと拗ねてみたり、こちらを睨んでみたり、小犬を抱きかかえてみたり。ひたすらキュートなところがいいのであって、ポーズの意味を考察することに意味はないような気がします。作者が若い女性であることを知っているのでセクハラめいたバイアスがかかった解釈だと取られると困るのですが……。自分としてはそれはないと思います。 ただひょっとしたらこういう女性的な、優れた言語感覚というものだと、この時だけの花として突如消えてしまうのではないか、という不安は感じます。男女問わず、アイドルの魅力が永遠ではないように。その何処か頼りない不安定さも魅力のうちですね。 >蒸し暑いほどの夏の蜜のなかで彼女は今も誰かに瓶詰めされているのでしょうか こういう耽美的な表現、いいですね。ひたすら甘くて既視感もあるけれど、それでも読ませてしまうところが才能ですね。この部分の全体の中での配置の具合もいいと思います。
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