散れ
散ってしまえ
ぼくよ、散ってしまえ
「人が集まるような場所へ行くこと、不要不急の場所へ行くこと
そして、宴会や花見についても自粛を要請します」
花柄のワンピースを着た
少女が階段を駆け上がる
のは、人に会うためであって
あの木から(、もしくは、かれ)は
名が散り落ちてしまった(から、かれ、になる)
(散れ、散ってしまえ、散ってしまって、葉脈を透明にして、その色を、より見せつけられるように、剥ぎ取れ、脈を、剥ぎ取って)
「自粛する前に、自省しろ」
「そうだね、ようせい、だね」
ある映画の主人公である淑女は
自ら服を着ることができないから
付き人に
歌手という名のドレスを着させられていた
(少女ですら、自ら花柄のワンピースを着られるのに、彼女は、まだ、子供だった、名もまた、着させられる)
「散った花びらが綺麗に見えるのは、脈を剥ぎ取って、花びらそのものの色を纏っているからだね、花びらにとって、脈は無駄なんだ、命を落とすために、枝から離れて、色を身につけて、名も落として、そういえば、その花柄のワンピースが綺麗に見えるのは、そのワンピースもまた、命も、名も、落としているからだね」
(ぼくもまた、散り落ちて、色をまとえば、少女に名を呼ばれるか)
作品データ
コメント数 : 2
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作成日時 2020-04-29
コメント日時 2020-05-03
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 5 | 5 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 5 | 5 |
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2024/11/21 21時03分38秒現在
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何を持って良い詩とされているのか、その基準点が気になるところで、それによって二連目がどう映ったのかが、こちらにも見えるところがあります。ただ、「素の美しさへの憧憬」という的を射たような感想をいただき、作者という人間として私自身が日々抱いていることを抜き取られたようで、それがなんだか嬉しくもむずがゆい、改めて思い知らされたことがあったので、感謝いたします。「ようせい」についての解釈は各々に委ねます。
0ご説明いただきありがとうございます。 スタンスの違いがあるため、おそらく平行線を辿りそうなので詳細は避けることを前置きとして、「クラシック音楽を鑑賞しているときに世間の雑音が聞こえてきたかのよう」というたとえはわかりやすく、その通りであると思います。しかし、クラシック音楽はコンサートホールで鳴らされる高尚な音楽だけではなく、それこそ、部屋の中やカフェなど日常の雑音とともに流れる場所もあり、無論コンサートホールのような箱詰めされた世界で聴くのがクラシック音楽を引き立てる方法としてよいことであることを承知の上で、それ以外の聴き方もあるのではないかという提示である、とスタンスを述べておきます。あとは、詩におけるアクチュアリティについて最近よく考えています、とも。
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