自殺の詩 - B-REVIEW
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自殺の詩    

シラサギの 自由落下を妨げない 8月の空は詩歌と呼ばれる 彼らの遠さの行方を知らず 窓際の小瓶は陽光を編む 季節の詩集 『夏の詩』より ーー私は虹の解析を生業とする博士です。 恐らくかの小瓶のプリズムは憧憬であり暗喩でしょう。まるで貴方には届きそうなものがあるように。 また時として私は詩人です。 これは安い話ですが…… 私の心の窓枠の左の端の硬葉樹の下で俯く彼女の瞳の色のその奥の色の色を私は悲しみと定義します。 そしてその悲しみに私は届きません。 これは根っからの博士は 人の心を知らず 根っからの詩人は 悲しみを愛してしまう事実に由来します。 唯一私にできることと言えば この13階の研究室で、綿密に作り込まれた世界中の平時の反戦歌を破り空に投げ捨て それらがいつか彼女が掬う雪となるよう望むだけなのです。 これを人は愚かと定義します。 詩人の貴方になら解して頂けるでしょう。 何かを知ろうとしているのに何も知らず何も触れられず、そして遂には何が何だかこんがらがりコーヒーの味も分かりません。 この話すら収まりがつかなくなる前に反戦歌を撒き散らし彼女に冬をもたらそうと思います。 では貴方様、黙祷をお願いします。 はい、さようなら。


自殺の詩 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 6
P V 数 : 1820.5
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 2

作成日時 2020-04-18
コメント日時 2020-05-04
#現代詩
項目全期間(2025/04/09現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧11
音韻00
構成11
総合ポイント22
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧11
音韻00
構成11
総合22
閲覧指数:1820.5
2025/04/09 12時31分04秒現在
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    作品に書かれた推薦文

自殺の詩 コメントセクション

コメント数(6)
ほば
作品へ
(2020-04-24)

冒頭の詩がいいなぁ。またそれを読む博士であり詩人である誰かの独白というスタイル。書き方としては好きです。 >私の心の窓枠の左の端の硬葉樹の下で俯く彼女の瞳の色のその奥の色の色を私は悲しみと定義します。 このちょっとよみにくくクドい感じの下りは博士のナンセンスな空気感を作ろうとしているのかなぁ、と読んでました。しかし、結局己の心のなかの情景だけで占められていてこの博士はどうにも閉じた世界に生きているのか、そうなってしまったのか。ただタイトルでネタバレしているので最終行あたりにいっても驚きがないのは淋しいですね

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nameⅠ
ほばさんへ
(2020-04-27)

コメントありがとうございます! いやぁ、ほんと中途半端な作品を作ってしまいました! 最初の5.6行だけで投稿すりゃあ良かったなと後悔しています!!!

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まりも
作品へ
(2020-04-28)

シラサギの自由落下、で思い出したのは、宮沢賢治のヨダカの自由「上昇」。あれも、葛藤と、理不尽な強制への「抗い」、戦いを放棄しての「自殺」、美しさへの解消ですよね。 詩を綴るということは、モノローグなのか、ダイアローグなのか。届くことを、願いながら諦めている、それでも綴ってしまう愚かさをまっすぐに見つめているようでもあり。 憧憬を集めて濾過していくこと、それを暗喩に託していくこと、その行為が、悲しみからの「解き放ち」に至りますように、という願いも感じます。 最終行が、あえて軽さへの脱出を図ったような・・・蛇足の感があるのと、題名に、もう一工夫あれば良かったと思いました。 反戦歌という言葉が一般的に指すのは、太平洋戦争など過去の戦争への「反戦歌」なので、8月というワードも、どうしてもそこに結び付いてしまうのですが・・・困難との戦いや苦悩との戦いを強いる、「励まし」の歌への反意へと開いていくことはできないか(反戦=戦争への、という既成概念に、私が毒されているのかもしれませんが)そう考えると、反戦歌というワードについても、今いちど、考え直してみても良いかもしれません。

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萩原 學
萩原 學
作品へ
(2020-04-28)

はい、こんばんは。 アパートの四階にすむ詩人としての見地から、 さらさらの雪を望まれる件には反対致します。 そもそも空港の周辺に於ては、 鳥や豚や少年とぶつかる危険を除くため、 その飲料を厳しく規制するとは、 皆様ご承知のとおりです。 一体成型ポロプリズムが 左目に埋めてあるからといって、 身を乗り出して覗き込むような振る舞いは 二つに割れた王冠を持つ淑女に対して失礼というものでありましょう。 針様樹がガラスの葉を降らせたくらい、 何の驚くことがありましょう。 格好いい死に場所など求めたところで、 何処も彼処も綺麗に消毒されてしまう今日この頃。 最早ラグランジュ点くらいしか存在しません。 中也はかつて皆様に握手を求めましたが、今ではそれもできません。 これも時代ゆえ致し方ありません、 せめては珈琲の豆を炒りましょう。 ジャックが豆から生えてこぬよう、 念入りに炒りましょう。

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nameⅠ
まりもさんへ
(2020-05-04)

コメントありがとうございます! あぁ、よだか、懐かしいです……何か読みたいなぁ。宮沢賢治作品だと『虔十公園林』なんかが、特に好きです。 さて >最終行が、あえて軽さへの脱出を図ったような・・・蛇足の感があるのと、題名に、もう一工夫あれば良かったと思いました。 こちらのご意見ですが、まず最終行について蛇足感があるのは、明らかに ・タイトル=自殺 ・はい、さようなら=自殺 と内容を被らせてしまった私のミスです。まさしく蛇足です。これを蛇足と呼ばずしてなんと呼ぶか。 次に反戦歌についててですが、作中では博士が13階のうんぬんかんぬん…雪を降らすこと、を、「愚か」と定義されていると語ります。 私は愚かなものは何か、と考えた時に、咄嗟に「平時の反戦歌」が浮かびました。 少々説明します。 この反戦歌と言うのはいわゆる戦争や紛争やテロ活動や、戦争と聞いてイメージするものたちに対抗する歌を指します。 反戦歌自体に意味は有りますが、私は「平時の」反戦歌については、とてつもなく無駄なものであると思うのです。 私たちの日常は戦いであって、見えない葛藤や敵に殺され続けています。 その上で平時なんて言う表面上の平和を勘違いして享受している時に「平和が1番!戦争嫌だ!」というような歌をが歌われるのを見ると、なんだかなぁ?????とハテナがいっぱい現れてしまいます。 私は今戦っているし、貴方も戦っているんだぞ、と。 その最中に隣の芝で行われている別の戦争について、反対だ〜!なんて言ってたらお前見えない敵に殺されるぞ、と思うのです。 という訳で、平時の反戦歌は無駄なもののメタファーと言うように使わせて頂きましたが、これが伝わらないのは私の力不足ゆえです。 例えばこの意見をまりもさんがご覧になった後であれば、平時の反戦歌という言葉をどのように用いれば効果的になるか等、ご教授いただきたいです。 現状私の言葉の使い方はかなり下手くそですから、アドバイスなど頂ければ幸いです<(_ _)>

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nameⅠ
萩原 學さんへ
(2020-05-04)

コメントありがとうございます……敬服、敬服致しました、無条件降伏です……叶わねえ……。 思うに萩原さんのコメントのような文を構築できる人が、本当の意味での詩人であって、詩人が高尚と言われる所以なのかなぁと思います……。 いやすごい……もう、大敗、すごい……尊敬します、本当に尊敬します……圧倒的な語彙力と世界がある……だめだ気の利くことなんも返せません……こんなコメント頂けて幸せです、ありがとうございます……。

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投稿作品数: 1