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朝のスケッチ
樹々が着がえて うっすらとはにかんでいる 冬のあいだ咲き続けた一輪のアザレアの 傷口の色があふれはじめた赤に埋もれ 静かにその役割を終える 入れ替わる大気の中で ネギを切る 白い同心円からあふれだすつゆが 朝日を吸って暗闇に落ちる 排水管の中を明るませて しずくは海まで行くだろう とどこおり停滞し 壁面にはりついた悔恨を ひきはがし押し流し 流れていく金色のしずく 鍋の生む泡 壁を窓を樹々を さかしまに映しこんで はじける 刻一刻 世界を更新していく渦の中で くすみを削ぎ落していく 絹さやの緑 うすやきたまご 刻む リズミカルに 重い体をふるいたたせて 足を大地から剥がし取る ※3月頃に書いたものです
朝のスケッチ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 830.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-07-21
コメント日時 2017-08-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
樹々が着がえて うっすらとはにかんでいる 冬のあいだ咲き続けた一輪のアザレアの 傷口の色があふれはじめた赤に埋もれ 静かにその役割を終える >樹々が着がえて >うっすらとはにかんでいる >冬のあいだ咲き続けた一輪のアザレアの >傷口の色があふれはじめた赤に埋もれ >静かにその役割を終える 一連目のイメージの焦点の当て方っていうのが初読の段階で難しかったです。樹が着替えてはにかむ。それから、アザレアの花っていう僕にとって初めて対面する花のイメージ。からその傷口の「色」、そして役割を終えるという締め方。 長い一文(に見える、という方が正しいと思いますが)の中で、ちょっとだけ複雑な文の作りになっているというのか、ぼかされて書かれているというのか、そういう始まりから、ネギが出てくる。ここが物凄く新鮮で、なんだろうな、多分今月一番好きだと思います。この二連は至極です。 >入れ替わる大気の中で >ネギを切る >白い同心円からあふれだすつゆが >朝日を吸って暗闇に落ちる >排水管の中を明るませて >しずくは海まで行くだろう >とどこおり停滞し >壁面にはりついた悔恨を >ひきはがし押し流し >流れていく金色のしずく 他の言葉に換言できないですね。最高すぎます。ここの連だけでも多分30分はしゃべれるくらいの偉い密度と、技術とセンスの塊だと、個人的には思ってしまいます。それは、ものすごく勉強になるというか、凄いとしか言えないですね。これは僕にとっては、になってしまうかもしれないのですが、これほどまでに親切な表現であるのに、多分僕には書けないだろうという連想というか、詩の構成というか、語と語の絡み合い、意味のなだらかな変容具合だとかそういう所です。僕は語に纏わるイメージ、あるいは音がグラデーションしていく詩が好きなんですね。その点、この二連は至極絶品です。僕が朝台所でネギをいくら切った所で、それをスケッチしようとした所で、海を持ち出す事はおそらくない。そういう意味で7月の作品ではある意味一番スケールの大きい作品だと思います。 正直、ここでレス仕切れる自信がないので、後日改めて再レスさせていただきたく思います。それはまりもさんの為、というよりは僕が勉強させて頂きたいっていう所が大きいかもしれません。 加えてスケッチっていう所、言葉でスケッチを取るという事の重要性みたいな点について考えさせられました。言葉で何かをスケッチするという事は、その書き手の、詩的視座というのか、あるいは単純に認識、思考と言ってよいのか、わからんのですが、そういう物の追体験が非常にしやすいのではないかと思いました。 どのように語り手はその世界をとらえているのかという部分を視覚的な面ではなく、なんでしょう。ある種イメージによる、余白のある共有というのか、中々僕が本作を読んで体験した事をうまく言葉にできないのですが、その感慨を垣間見れるものなのかなと思いました。 個人的に絶賛する他なく、客観的なレスを書くのは僕には無理です。
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