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飛込み
アドバルーンを上げている 列車で人が死んだ朝は茫洋として 新聞紙を掴む 手達 そしてまたMPG音源の音 縛り上げられてゆく暖気の名残 回転する山手線に かすめられる昼食時 紅茶が暖まる ゼンマイがほぐれてゆく 玩具のように 擦切れたスニーカーの穴から また唐突に呼吸が始められる ボタン と ワイシャツ 列車のドアが閉まります
飛込み ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 907.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-07-01
コメント日時 2017-07-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ごめんなさい。勘違いしていたようです。大変失礼しました。
0それでは、また来月にコメントを入れましょう。
0早とちりしました、もう、来月、になっていましたね・・・ アドバルーンが上がっている、ではなく、上げている、という能動から始まる。都市、が上げているのか。童心をくすぐるような、どこか懐かしい、心温まる単語が置かれた後に、他者、であるはずの死が語られる。他人の物のように動く手(腕や体、顔は記憶から抜け落ちる)に焦点が当たり、他は消え去ってしまったかのような不思議な空間。灰色の空間に、白い手だけが蠢いているように感じます。語り手の心眼が見た世界が描かれることによって、やわらかく流動していた心が(他者の死、によって)固まり、動きが鈍る、全体を把握できなくなって、一部の動きにのみ目が留まる。そんなどうしようもない状態を描きとっているように感じました。 自分に関係ない、と物事をきっぱり切り捨てたり、流したり、忘れたりすることが上手にできる人は、そもそも、詩など書かなくても生きていけるのかもしれません。 〈縛り上げられてゆく暖気の名残〉ここが、よくわからなかった・・・人の気配や温もりのようなものが、縛り上げられ、片づけられていくような感覚、でしょうか・・・〈かすめられる昼食時〉ここも能動ではなく受動ですね。(他者の死、によって、自分にはどうしようもない、不可抗力にも関わらず)食欲のわかない昼時が、他人の時間のように自分の外側を過ぎ去っていく感覚を描いているように感じました。 〈ゼンマイがほぐれてゆく/玩具のように〉ここは、唐突感を感じる読者も多いかもしれません。 私は常々、人間の内部にいのちのゼンマイのようなものがあって、それが動いたりゆるんだり巻き戻ったり・・・する、と感じているので、自分に引き付けた読み方になりますが、この部分に違和感は覚えませんでした。 他者の死によって、固まってしまっていたこころがようやくほどけて、またゼンマイも動き出す、その瞬間、のような・・・動き出した心に連動して、体にまた、息吹が戻って来る。まずは足から。スニーカーの穴から〈また唐突に呼吸が始められる〉息詰まっていた身体が、また息を吹き返すような感覚が伝わってきました。ボタン、は、バタン、という擬音にも似ている、けれど・・・それは関係ないのかな・・・ボディーにまで、息づく体、息づく時間、が戻って来たような感覚がありますね。 そしてまた、列車は何事もなかったかのように動き出す・・・。 水面の微細なさざなみを記録していくような、そんな繊細な手つきを感じます。言葉が抑制されているので、ドラマティックな展開や壮大な空間を望む読者には物足りないかもしれません。でも、言葉にしえない、微妙な心身の感覚を静かに見つめて、その繊細さのままに描き出そうとした、そんな意欲を感じる作品でした。
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