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砂糖菓子とブレスレット
すきというすきに入り込まれているひとが いたのですが、誰かの肌色すらにじんでき てしまって 排水溝が詰まったままのせい で アパートの生活感。どうにか繰り返せる 時はゆっくりと、沈みゆく 巻き戻してま た言葉を探すように 話しかけたあなた に もう 壁も 床も 棲めないくらいに 汚れているみたいなんだ 細胞を巻き込んでしまい 台風みたいに荒 れくるっておりまして過ぎさるまでおだや かさを 外で待っていました 溢れたものが、からだのすみずみまでにみ ちたりてそればっかりに きをとられてい るものだから たべたりのんだりできなか った 食べたときには食べたものの記憶にさいま れてしばらくのたうちまわり意識をなくす くらい そうでした 死に向かうあいだかんがえて いたこと そう、いや実際死んでしまって いて かなしいことにあなたに 触れるこ とや鼓動のはやさに驚いたり、もうなにも かもを あたえあえない サイボーグのからだ かりてでも あなた に会いに行った滑稽なことにあなたが戸惑 ったりせずに 鉄のからだを、わたしだとわかったので、 泣いてしまっていたのわたしは、 もうかよわくなく あんな仕草は できない のに 強靭な、機能的ですばらしいサイボーグみ たいな からだを 見せられなかったの だってわたしは、とこ ろどころに色味がついていたかなしいけれど それも それでも 手を繋いで帰りたかった それから すこしでもきれいにみせたくて ブレスレットをつけて セックスをして傷つけてしまったことを 謝りたかっただけなのにね。 わたしには 肉体だけがありませんでした。 ああこれはいけないと 何かわからない素 材の鉛筆であなたのからだを 塗りつ ぶしていたら 肌が白く抜けてしまってい た 空白をうけいれながらひとびとはやがて 死に向かう 死にたくないと言うと そう だねと共感してくれたからあなたは神父で すかと、尋ねると くたびれはてた その 日を終えがたくなってしまった(なぜなら 熱が残るからだに浴びせることばがないからだ) ただひとりの にんげんです ただの に んげんです とこたえたので ああそうなんだ とこたえた 死んでしまうまでの時間を過ごし た きれいあなたは なぜ きれいなカーテンを纏って いた汗など吸わないでしょう 水分は疲れたからだの体温を下 げてしまいますから もう おて んばなことをするのをやめなさい 「外にいけないから日を一瞬でも かんじていたいの。」 みちにあふれているごみをみていると わたしがすてたものでないのに みち てきてしまう感じが、 ぞくぞくしてしまう わたしが欲張りであるのだと 思い知らされてしまうの 廃棄されたごみがわたしのものかと錯 誤してしまってもう わたしはすでに とりかえしがつかないくらい 汚れてるのかもしれない 食欲も 睡眠欲も 性欲も 目の前に 積み重ねられたものがわたし のなかに倒れこんできて窒息をくりかえ しているそれなのに 道はひろくひろ く小さな道を また広げていているから なにかをきっかけに 立ち止まったりしてしまうの 壊れ たバンパー。わたしはあなたが そうし たいなら 転んだままだってかまわない 誰かとあなたを繋ぐ番にだってなりた いもの おとなをからかってはいけない んですが おてんばなこと をしてるだけ です (もうやめますからね。)
砂糖菓子とブレスレット ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1253.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-28
コメント日時 2017-07-09
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ストレートな言葉を用いながらも、何処か浮遊している感じがしました。肉感的だけれど虚無的でもあるというか、現代を生きる人間が抱く感情にリンクしている気がしました。 また、「みちにあふれているごみをみていると わたしがすてたものでないのに みちてきてしまう感じが、ぞくぞくしてしまう」は言葉遊びや罪悪感と欲望の入り交じった複雑な感情を表していて印象的でした。
0北原灰色様 読んでくれてありがとうございました。おっしゃるとおりに欲望や罪悪感など そして現代を生きる人間が抱く感情というのは、 わたしの作風というかテーマであり、正直言うと書きたいものなのですが、欲望が入り混じるとなにごとも純粋というか汚しちゃいけないというかそういう失ってしまう感覚もあるのかなと 最近悩み始めた処でした。そのあたりの試行錯誤は、していきたいなと思います。 お目汚しにならなかったら幸いです。 投稿してコメントいただき、かなり乗り越えられれたところがありました。 ありがとうございます。
0村田麻衣子さん、こんにちは。 冒頭の抽象的な言葉遊びのような書き出しが、すぐに「アパートの生活感」に繋がるとは思いませんでした。 > わたしには > 肉体だけがありませんでした。 と書きながら、徹頭徹尾肉体の詩なんですね。言葉が衛星のように詩中の肉体を回っているように思うのです。 ブレスレットで傷つけたことを詫びたくてロボットになってやって来ても、ブリキの肉体はタンパク質の複合体よりも、もっと突出して「体」です。 どこまでも「おてんば」な振る舞いをして、「体」とその付属物としての「心」の駆動範囲を確認しているように思えるのです。 この詩はそのレポートとして存在しているのかな?そんなふうに思います。 素直に読めば「あなた」の喪失の詩なのですが、「あなた」の存在は希薄で、「わたし」の肉体だけが一方的に輝きを放っているのです。 僕はいつの女性の詩のほうに、男性のそれにはない魅力を感じるのですが、それには詩における肉体の存在感が関係しているのかもしれませんね。 何か、とても甘い詩でした。
0花緒さん >わたしが逆立ちしても手に入らない種類の技術力を感じました。 花緒さん しかし、わたしはあなたの聡明さに逆立ちしても敵いません。 昨日よく考えてみたのですが 救いの存在が、詩の中にないのはもしかしたら不自然なことかもしれないからです。読者のなにかにしがみつくまでは行かなくても、いやもしくは何かS字のホックなどを引っかけるようなさりげなさで、 何かひとつでも寄り添っていく手段になりうるのではないか と。うーん。ちょっとまた書いてみます。笑 できるかな。どうかな。がんばります。 それからこんなに素敵な場所を作ってくれて、素晴らしい評までつけていただき感謝いたします。精進します。
0すきというすきに入り込まれ、他人のような肌になってきた「あなた」が生活感に溶け込むような描写から始まっています。「棲めないくらいに汚れている」「溢れたものが、からだのすみずみまでにみちたりて」あなたとアパートの部屋にぼかしてかかっているような言葉が、わたしの人生を鮮やかに映し出していると思います。 好きな人に会いに行くとき、時たまサイボーグのような気分になることよくわかります。それは決戦の日だったり、その人が分からない日だったりしますが、会う前からうまくいかないことがわかっている日が確かにあります。 おそらく病室の窓際なのだろうと思うのですが、日の光が身体を照らし、それは確実に生を後退させていく。そんな様子でしょうか。死を前にした二人をつなぐ「神父」という単語が、生あるわたしと死にゆくあなたを平均化するような、二人の関係性において生き死にを超越させるような効果をもっているようで、僕は好きです。 「目の前に、積み重ねられたものがわたしのなかに倒れ込んできて」わたしが選び取ってきた人生が、わたしを苦しめる。首も回らないような生活のなかに、ふっと生きれそうな道が見えたりする。嫌なことがあるといいことがあります。そしてそんな道でも、選ばないことだってできる。あなたとともにいると生き急いで死に向かうのではなく、いまこの瞬間を生きようと思える。「転んだままだってかまわない」そんな気分でしょうか。 ゆらりと読者をかわして行く村田さんの作品は、何が正解かよくわからなくて、でも、自分なりにそういう感じわかるなって思わせてくれるので、読ませていただいて、嬉しいです。とても勉強になりました。 好き勝手に読ませていただきました。ありがとうございました。
0生/死、肉体/サイボーグ、わたし/あなた いずれも両極端なコントラストが書かれているのだが、そのどれもが仮構されたもののように捉えられるのは、その両端をめぐってなされる過剰な「視線」の往還が、いずれも「目的」を持つものでもなく、また「完了」に達することもなく、ことごとく意味を見失いながら宙づりにされ、意味を特定されない「身振り」にすらなれないからだ。 また、「~でない。」「~できないし、~もできない。」(たべたりのんだりできなかった 食べたときには…意識をなくす/あんな仕草は できない のに 強靭な、… からだを 見せられなかった)という否定に次ぐ否定においても、それが直接的とならないのは、その依るべき視線の主が「意識をなくす/そればっかりに きをとられてい る/死に向かうあいだ 実際死んでしまって いて(死ぬ瞬間が抜け落ちている)」というように主体となりえずその間接性を際立たせているからだろう。間接性が際立つにつれ「わたし」の「行動」そのものは「視線の往還」そのものに還元されてしまう。 だが、その意味が特定されていない単なる「視線の往還」であるにすぎないものは、身ぶりとして意味をもつことなく潰えるかといえばそうではなく、反復して使用される身振りは、そばにいる「あなた」に対して言葉を重ねてゆき方向性をととのえてゆく。「動詞」に否応なしにつきまとう未完了の部分、過剰な部分は「あなた」とつながることによって整うかのように見える。「わたし」は理解しようとする相手の発話の一語一語の上に、自分が答えるはずの一連の言葉を積み重ねてゆく(ただひとりの にんげんです ただの に んげんです とこたえたので ああそうなんだ とこたえた)しかし「わたし」は「あなた」にかけられたとおぼしき言葉を引用し、(おて んばなことをするのをやめなさい「外にいけないから日を一瞬でも かんじていたいの。」)そこに新しい意味を含ませながら、なおその意味がすでにもっていた意味を保持して(おとなをからかってはいけない んですが おてんばなこと をしてるだけ)言葉のなかに対立する感情も同時に包含させてゆくのだが、そのいずれの試みも わたしが欲張りであるのだと 思い知らされてしまうの 廃棄されたごみがわたしのものかと錯 誤して というように、「行為」そのものが決して完了形となってあらわされることのない。つまり突き詰めてはならないもの(あなた)に触れようとして手を伸ばすけれど、届かず、名残惜しさだけをのこしてふと閉じてゆこうとする(誰かとあなたを繋ぐ番にだってなりた い) その視線のやりとりだけがリアルに感じられる
0migikata様 > わたしには > 肉体だけがありませんでした。 と書きながら、徹頭徹尾肉体の詩なんですね。 あはは 確かに!おっしゃるとおりです。反対に精神に関して、秀でて書いているわけでもなく…なんだか素直に書こうとしているのにここに来てなぜか ひねくれて しまっているのかもしれません。 昔は僕を人称として書いていたのに いつしか女性詩ばかり書くようになってしまいました。 こうした作風を続けていくと風当たりは強いのかなと、まあそう考えすぎるとオリジナリティを失ってしまうかもしれないし あくまで性別も性質であるので 変わろうったって変わらないので あんまり考えないようにしているのですが 笑 女性詩嫌いな人も多いように感じます。 ぐずぐず愚痴りましてごめんなさい。 精神衛生的に かなりの勇気をいただきました。投稿してよかったです。 ありがとうございます。
0fujisakiさんへ 以前どこかで、評をいただいたことがあるのを憶えています。お久しぶりです。 >好きな人に会いに行くとき、時たまサイボーグのような気分になることよくわかります。それは決戦の日だったり、その人が分からない日だったりしますが、会う前からうまくいかないことがわかっている日が確かにあります。 恋ってすばらしいですね。ここわかってくれて、なんだかうれしいです!!!!!! わたしの文体は読む人を選んでしまうと、よく言われるのですがある意味では藤崎さんや読者の想像力にどこか期待して、頼ってしまっているのかもしれませんね。楽しんでくれて、ありがとうございます。書いている身としては、本当に救われます。
0ブレスレットはさりげなく詩の中に出てきますが、砂糖菓子は何かしらと思いつつ、この詩全体を包む恋愛の甘さのことなのでしょうか。 「わたしには肉体だけがありませんでした。」そのままの受け止めならサイボーグだから、あるいはプラトニックにこだわる主人公の心情の描写でしょうか。 汚れたり壊れたりしながら生きていく、ためには砂糖菓子のように甘い恋愛を摂取しなくては。 という女性というよりは、少女の感覚が満ちているなと感じました。 「道はひろくひろく小さな道をまた広げているから」 いつまでも少女のままでいられない、たぶん少年より少女は変わることを求められると思います。 ひらたく言えば、種の保存のために。 自分の少女時代を思い出しますね。私は生き物を殺して食べるのが嫌だと、一時期野菜ばかり食べていましたが、その時の担任の先生に「ほうれん草にも命があります」と叱られた思い出があります。 大人になっても少女はどこかに生きているんですね。
0非常に高度な技術をやんわりと感覚で流している ネット詩の中でも好きな方です。韻律の組み込み方が好みと書いた方がいいのかもしれません。 これは感覚での話です。 ねじれの行間、AからBではなく、AかAのようなパート進行。それに伴うノイズ的な濁音をこれほど出さない作者も珍しいです。 また作品をお待ちしてます。
0すみません。訂正箇所。AかAのようなパート進行。 AからAのようなパート進行。 です。
0浅井さんへ おひさしぶりです。評頂き 興奮とともに 激しく動揺しております。浅井さんの作品が熱狂的に大好きです。いかに書いていく勇気や希望をいただいたか計り知れないです。つまりわたしは 浅井チルドレンです。すみません。皆さんは なんだかとても頭がよく優しいし 大好きな浅井さんに評をいただいたので、 調子に乗り過ぎてしました。公然告白をおゆるしください。 >つまり突き詰めてはならないもの(あなた)に触れようとして手を伸ばすけれど、届かず、名残惜しさだけをのこしてふと閉じてゆこうとする チェックメイトです。おっしゃるとおり わたしにとって 他者は 「触れてはいいもの」か「いけないもの」かの二択です。ここで言う「あなた」への思いは、不倫して年下にちょっかいだしてしまった若い人妻の後悔みたいなかんじですね 笑 触れてしまってからしまった!傷つけてしまった! という 後者です。 でもそんなばかなことは辞めてみんなでいつかは 幸せになろうね!って。 そこにきちんとたどり着いているとは自分でも意識していませんでした。 >だが、その意味が特定されていない単なる「視線の往還」であるにすぎないものは、身ぶりとして意味をもつことなく潰えるかといえばそうではなく、反復して使用される身振りは、そばにいる「あなた」に対して言葉を重ねてゆき方向性をととのえてゆく。 だが、その意味が特定されていない単なる「視線の往還」であるにすぎないものは、身ぶりとして意味をもつことなく潰えるかといえばそうではなく、反復して使用される身振りは、そばにいる「あなた」に対して言葉を重ねてゆき方向性をととのえてゆく。 まあ要するに優柔不断なんですが、実りのある遠回りをしているのかどうかわかりませんが。わたしの力量はまだこんなものです。なんだかもう おしゃべりがすぎました。失礼しますね。ありがとうございました☆
0紅茶猫さんへ なんだか素敵な返詩をいただいたみたいで うれしいです。 >「わたしには肉体だけがありませんでした。」そのままの受け止めならサイボーグだから、あるいはプラトニックにこだわる主人公の心情の描写でしょうか。 はっとしたのですが、ああ確かに。触れることを許された他者に対して 肉体的に求めていながら 心まで欲しがってしまっている欲張りな。むしろ、恋愛中に女性ホルモンの血中濃度も高まり、おかしくなって 心が欲しいとか嫌われたくないとか叫んでいるこの複雑な心境は、女の子という現象でしか生まれないんだな。。。。なんて考えちゃいました。タイミングによっては、プラトニックやこころのつながりを重視したくなってしまうのも、女の子の特徴です。肉体も心も欲しいけれど、将来担ってほしいとかそういった関係ではない 諦めてしまっているということがこの詩の抒情なんでしょうが >いつまでも少女のままでいられない、たぶん少年より少女は変わることを求められると思います。 ひらたく言えば、種の保存のために。 この辺にスポットをあてて、もう一篇書きたくなりました。女性ならではのご意見いただいてうれしかったです。ありがとう ございました。
05or6様 こんにちは!レス遅くなりすみませんでした。わたしも 韻律はそうとうなにか こだわりがあるので ご察し頂きうれしいです。 起承転結が詩のなかにあるというよりはやはりAメロBメロサビ的な 歌曲な流れの方が理解しやすいなあと。AからAダッシュだとわたしの思考が、進行せず停滞しているのではないかとはっとしました。今まで言われたことのないことのないことでしたので 参考になりました。ありがとうございます。
0蛾兆ボルカ様 素敵な詩いつも読ませていただいております。どうもこんにちは。 ウクライナのバージョンの千と千尋の神隠しは初めて見ました!わたしもウクライナをさらに越えたヨーロッパに住んでいるのですが、女の子は パワフルですね。そして、彼女は被ばくしてしまったということですが やはり繊細に象られた形式や趣というかがより奥深く感じられて その独特の規則においてまた 込められているものの奥深さへと到達していく 力づよさを 感じました。 生死についても、今後もわたしなりに向き合っていきたいと思います 読んでくれて ありがとうございました。
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