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太陽と原発と八時十五分に寄せて 二編
【太陽と原発と八時十五分】 太陽は自然に存在する核だ 原発は人がみつけた核だ 戦艦は戦う箱で 沈没した船に死蝋の屍が きっと今も眠っている 生前となにひとつ違わぬ姿で 戦艦とともに眠る人が いまも居るに違いない 船室の蓋をあけたら まばゆい光を放ち 生きている姿で現れるのだ 蓋が開かないかぎり だれも彼らの姿を見ることがない 蓋が開くと ほんの僅かな瞬間 生前の笑みを浮かべ 亡骸と化すのだ 弟に会いたい 父に会いたい 祖父に会いたい そして今年も八月になったら 私は、平和公園で祈りを ささげるのだ 公園に横たわり あの日 逝った大勢を想っていた私の弟 弟の輪郭をもとめて 私は祈る 今年もきっと 暑いに違いない 【境界が無い】 風がすこし強まるたびに 指先が ちりちりする 八月の八つ手の葉に手を伸ばしたはずだった 生きるものの蒸散 水の珠の美しさに触れようとした指 ふるふると ふるえて まるまっていた ちいさな雫に ふれようとしていた はず 指先が ちりちりする 朝日が昇り蝉が鳴いていたが どういうことわりか わたしの指は ちりちり燃えていル 手をひろげ 風をからだ 体が飛んでいる ひるがえり ひろがり 赤だの黄色だのちりちり火の粉が全身を走り きれいだ きれいに消えようとしている指先のきれいは 溶けて いル うらんでいルとか いないとかの区別がつかない なんもかも みさかいなしに飛んでいル おんどりあすんどりあ いきりたった目をした 真っ黒な入道雲 中心軸を おちてゆく懐中時計 いつまでも燃えながら※八時十五分 ※いうまでもないことだが、広島に原爆が投下されたのは八月六日八時十五分である
太陽と原発と八時十五分に寄せて 二編 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1740.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 7
作成日時 2019-06-10
コメント日時 2019-06-19
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 7 | 7 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0.5 | 0.5 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
太陽以外は、すべて人間の過ち。原発も、核兵器も、戦争も。しかし時間が 経つと、人間はなにもかも忘れてしまう。何かにして残しておかないと、再 び同じことが繰り返される。次の瞬間に、同じ惨劇が降りかかってくるかも しれない、という事を知らせるために。あの東北の大震災では、(これより下 に家を建ててはならない)という石碑がありました。人間は、それをなぜ忘れ たのでしょうか。詩人は詩として残すという、素晴らしい詩だと思います。
0わたしの詩に心をかけてくださってありがとうございます。 新潟山形において 強い地震が あったようですね。原発はどうであるかという報道が、まず報じられました。東北の大震災の石碑や わたしの住んでいる広島の土砂崩れ地域にも地名などに 昔の方のチチ忠告はあったのですが なかなか生かすことができずに後になって嘆くのですよね。まずは 新潟山形の方々の生活が安定されることを願ってやみません。
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