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熱っぽい夜の終わり
水たまりをはげしく踏み散らした 君の足よ! ほっそりとしたすべての指よ! 魚に変われ! と念じた夜に うっすらと恐竜の影はスローモーションで 生まれては死んでゆくのだ ひとごとのように過ぎてゆく 熱っぽい夜しかないが そこにあると思った途端 すべて消え失せそうだから ぼくはまだ不安なまま散歩する 風の強い街でぼくらは たしかに生まれ変わるけど 流れ星にはなれないから 安心してサヨナラしたいね まぶしい青春はギラついた刃 カナヅチのぼくを待ち構えている間 君は血まみれの太ももで 泣きながら大人になっていた ところで君 ただ花を握って 歩いてきたんだね いつか一点に収束する 砂浜の途中で
熱っぽい夜の終わり ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2096.9
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 25
作成日時 2019-04-03
コメント日時 2019-05-06
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 8 | 6 |
前衛性 | 2 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 5 | 1 |
音韻 | 3 | 1 |
構成 | 4 | 2 |
総合ポイント | 25 | 14 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.3 | 1 |
前衛性 | 0.3 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0.2 | 0 |
技巧 | 0.8 | 0 |
音韻 | 0.5 | 0 |
構成 | 0.7 | 0.5 |
総合 | 4.2 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
次々と生み出されてつながってゆく感嘆すべき詩句の数々。 タイトルをどうするか難しい詩だと思う。 最後に、それまで動きの激しかった調子から転調するようにして『ところで君/ただ花を握って 歩いてきたんだね』とあり、こう話しかけられた読者はとても癒される。
0>ところで君 >ただ花を握って 歩いてきたんだね この二行の見事さに感嘆しました。 全体を通じ、いい意味で衒いのない真っ直ぐな「青臭さ」が爽快でした。 こういうリリシズムは今日び貴重だと思います。御作をこれからも楽しみにしています。
0南雲 安晴 さん、感想ありがとうございます。 タイトルは確かに、自分もどうつけようか迷いました。 >ところで君 >ただ花を握って 歩いてきたんだね は、南雲さんのおっしゃったように、それまでのネガティブな詩句からの転調をねらったものです。 この転調と「熱っぽい夜」が終わることを考えてこのタイトルに決めました。 石村利勝 さん、感想ありがとうございます。 >ところで君 >ただ花を握って 歩いてきたんだね の部分は一番考えたところです。それが良い印象を与えたようで嬉しいです。
0拝見しました。 個人的にはとてもお気に入りの作品です。 素晴らしい点をいくつか。 まず1連目とタイトル。「熱っぽい夜」と、ややイメージの纏まりやすい言葉(私は最初性的な詩か、と考えました)をタイトルにどかんと持ってくることで、1連目にすんなり導入出来るようになっています。タイトルと1連目の絶妙なマッチ具合も良いです。 >ひとごとのように過ぎていく >熱っぽい夜しかないが やや難解な1連目と比較して、かなり直接的な2連目冒頭に工夫とセンスを感じます。 刃、間、の韻踏みも、丁度いい部分に差し込まれています。 >君は血まみれの太ももで 筆者はよくグロ方向の表現をされますが、本作もまたそのバランスがいいと思いました。グロ的な表現も同じ詩で多用してしまうと、場合によっては効果が薄れます。本作は割と明るめの表現が続く中で突然出てくるため、いいインパクトとなっています。 読み解こうとしても読み取れない、ふわふわした詩ではありましたが、むしろ分からないからこそ本作は素晴らしいとも感じました。
0本作を拝読させていただいている間、常時涙腺が刺激されていた。 ラスト、 「ところで君 ただ花を握って 歩いてきたんだね」 という描写で遂には涙が溢れそうになった。 その理由について自分なりに考えたが、理由は良く分からない。端的に言って、抒情的な詩だ、ということかもしれない。好きな詩です。タイトルから青い。タイトルは如何なものかと思って読み始めただけに、この詩の青さを詩が補強しているのだと思うとまた感慨深い。ただ一点、 「うっすらと恐竜の影はスローモーションで 生まれては死んでゆくのだ」 という箇所がこの詩がひたすらに抒情的であろうとするのを阻んでいるように感じた。これより適切な言葉が、この詩にはあると思います。 「!」の後だからかもしれませんが「はいはい」といった、没個性的な感想を煽られました。 でも、好きな詩です。
0ふじりゅうさん、感想と解釈ありがとうございます。 「刃」と「間」の韻は、言われて初めて気付きました。まったくの偶然です。 「最初性的な詩かと考えた」とふじりゅうさんはおっしゃっていますが、性的な断片は確かに入れてあります。その断片というのは4連目の >君は血まみれの太ももで ここです。ふじりゅうさんはグロテスクだとおっしゃいますが、それでも構いません。性的なのもグロテスクなのも、どちらも大体一緒だとぼくは考えています。 あらためて、新鮮な解釈、ありがとうございました。 左部右人 さん、感想と批評ありがとうございます。 この詩には「青」と思うものをふんだんに入れました。たとえば、「水たまり」、「夜」、「不安」とか。「刃」も青白く見えます。 >うっすらと恐竜の影はスローモーションで >生まれては死んでゆくのだ ここは「熱っぽい夜」に見る夢を言葉でなんとか表そうと思ったのですが、なかなかうまい具合には当てはまりませんでした。
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