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星の名前
町の風景はいつもひずんでいる きっと 冬の太陽を背負っていたからだ 夏に道路を走り回っていた 片目のつぶれた猫は 車にひかれて死んでいた 彼女の絶え間ない叫びは 青すぎる夜から身を守っている 毎日 化石をしゃべっている僕ら ある日 白い星々になっていたらいいな という夢で目が覚めた たしかに指は十本あるけど それを武器にはできっこないほど 僕はもろい 誰も見ていない間に砂と化して 水底にたまった想像なんかを 食って生きていたいのに 初めて来た街を 我がもの顔で歩いている人が 不思議だった子供の頃 (迷子になるのが想像するだに恐ろしかった) 彼らは今 一斉に 色とりどりの水蒸気にはじけて どこまでものぼっていくのだ 忘れられた犯罪者の名前を 流れ星にするために ピカピカの窓を音も無く通り過ぎる 卒業生たち 卒業生たち くもり空でも黒曜石のように かがやいているね そしてみんな 群青色のビー玉を 喉までつまらせているね 言いたくて言えなかったことが 実はこんなにすきとおっていたんだね それがうらやましかった 僕はもう骨になったって きれいなものは見つかりっこないのだから
星の名前 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1705.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 14
作成日時 2019-03-19
コメント日時 2019-03-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 9 | 9 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 14 | 14 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2.3 | 2.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.8 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
面白い。 イメージの飛ばし方、実感の捉え方。 各連の立ち上がりと次の連に飛ぶ前の引き締め方に工夫があって、表現の「自分らしさ」を探索しているところ(なおかつ実感として伝わってくるところ)が良かった。 他方、各連ごとのまとまりが良すぎるために、音楽で言えばぶちぶちと途切れた感じになってしまってはいないか・・・ 青すぎる夜、白い星々、流れ星、黒曜石・・・ 群青色のビー玉を喉に詰まらせたまま(言えないことも言えないまま)青臭さを抱えたまま、世の中に羽ばたいていく(それぞれの進路に別れていく)かつての自分達のような君たち、への憧憬と共感と切なさ、がテーマだと思うのだけれど。 言い換えの工夫をし過ぎて、かえってイメージが、拡散してしまっている気もする。 粘り強さ(全体を緩やかに繋ぐための、潤滑油のような、通奏低音のようなもの)があっても良かったかな・・・
0まりもさん、感想と批評ありがとうございます。 後から見ると、確かに場面が転換しすぎてますね。「これはオムニバス形式だ!」と言い張ってしまえばそれまででしょうが、それでは僕は「その形式しか書けない」とでも言っているようで、ちょっと情けない。ですから >粘り強さ(全体を緩やかに繋ぐための、潤滑油のような、通奏低音のようなもの) を持たせた詩もまた書こうと思います。 それにしても、この詩ではたしかに、根底にあるはずのモチーフは考えておらず、それをやすやすと見抜かれてしまいました感があります。 ありがとうございました。
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