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内ポケット
中途半端な道 ここは 吊革の音すら響く 人跡未踏の車中 一角うって はらって うって 伸ばして その 掠れ具合までに 閉じ込めた 狂気の手紙が今は己の たったひとつの シャボン玉 空気中に生き着くウィルスを掻き分け 曲がったネクタイで ひとしきり ごめんなさい 雨水を啜って ひと齧りして捨てるパンみたいな辞表を 内ポケに捻じ隠したままの営業まわりは ヤニクラの勢いでぶっ倒れ ゴキブリのように這う布団虫と同じだ 誰にか分からないけど 電話をかけようか 何処に自分が居るか、もう分かってないのだから まだ赤いビー玉の跡が転がっている 血眼の色滲むATMの中の数字が エアコンで コタツで テレビで 証明で AV視聴で 冷蔵庫で 充電で 日に日に じっくりと溶かして 溶けてゆく 雨漏りは 4合炊きの炊飯器くらい 胃袋で膨れ上がっている 台風で空気が揺れていて、 ウィルスとウィルスの間に新しい土煙が割り込む 失礼します 経済の濁流へバタン 室内に入るだけで失礼にあたる我々の扱いを疑っている ゲロまみれになるほど 服の内側から 胸全体にかけてが こんがらがって 体全体から溢れる叫び声に 押し殺されながら ねじっ ねじと 布団虫へ退化した もう限界だった ぁ
内ポケット ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1016.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2019-03-10
コメント日時 2019-03-12
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ふじりゅうさん、作品拝読しました。 妙な迫力が感じ取れますね。最初読んだときにはサラリーマンの嘆き節かと思ったのですが、どうも違う。 会社や社会の非人間性を訴えているのかと思うとそうではないようです。 >まだ赤いビー玉の跡が転がっている 血眼の色滲むATMの中の数字が エアコンで コタツで テレビで 証明で AV視聴で 冷蔵庫で 充電で 日に日に じっくりと溶かして 溶けてゆく 雨漏りは 4合炊きの炊飯器くらい 胃袋で膨れ上がっている ここの部分の、モノとモノ、単語と単語とが力任せに繋がっていくところこそ詩ではないでしょうか? 熱気が作中人物の体温として伝わります。言葉の中の「人物」が言葉としての「肉身」を持つように思えました。
0右肩さん、コメントありがとうございます! 勿論リーマンの嘆き節も入っていますが、嘆き節なんてものではないジメジメした雰囲気を作中に捻じ入れたくて作りました。 力任せに繋がっていく、とのお言葉、その通りだなと。 熱気が、体温として伝わるとのお言葉、非常に嬉しく思いました。好意的な評をありがとうございます。がんばります。
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