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現象
黒髪を梳く人 風が結び目を解き 碧落はまばたきをして 瞳が足元に落ちる 薄布を重ねて覗く 端は眠たげにほぐれ 波紋は空に溶ける 乾いた掌 水面を歩く爪先 波と砂の音が肩に 縁取りのない産声 おくるみを撫でる無数の手 手形に埋もれた顔が楽しげに笑う 煮え立つ情に言葉を 歯車はきしみ 糸は体を編む 裸足のまま地を歩く 礫の削りあう音 谷底の水を飲み干し 若草のにおいが 空の碧を連れて がらんどうに命をはめ込む 焦点はにわかに結ばれ 境界を得た
現象 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1116.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-02-01
コメント日時 2019-02-15
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
瞳が足元に落ちたり、手形に埋もれた顔が楽し気に笑ったり、多分に現実離れした、あるいは比喩的な表現が多くてある意味詩を堪能出来ていると実感できるのですが、 「がらんどうに命をはめ込む 焦点はにわかに結ばれ 境界を得た」 この最終連は示唆的でした。何か無生物から生物が発生した様な。
0各連に布石をばらまいていて、時系列も特にないのですが視点の移動があります。 共通する要素から連が並行的につながってはいますが、後半四連は明確に関連します。 エイクピアさんの読みは秀逸です。 無生物から生物が発生すること。そのものが題になります。
0んー。心象と感じました。とても静的な感性を擽られる詩です。お勧めですね。
0古典的かつ現代的。
0言い切り型で本作は書きました。 心象であったり概念であったりするのですが、感情に歩み寄るのは個人性を高め過ぎるかと感じてしませんでした。それが静的に見えるのだと思います。最近は読み手への示唆を減らしています。
0漢語の熟語を多用しているせいか、静謐なのに格調が高い印象を受けます。 瞳、爪先、てのひら、肩・・・肉体が外界と接する先端部、外郭が意識され、そのことによって自らの輪郭を確かめていく行為と、過去の記憶を呼び起こす行為、自然の息吹を感受する体感とが融合していく過程をなぞっていこうという意識が表れた作品だと思いました。 進行を抑制しているからかもしれませんが、自らの輪郭を得る(充填する)行為への切実さ、内的衝迫のようなものが伝わってこないもどかしさもありました。 充填された内実が、外界、過去の時空とゆるやかに交感しあう肉体への、やわらかな望み・・・その表れとしての肉体。意識の方向性としては、難しいけれどもユニークな志向を示していると思いました。
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