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嘘
切り刻んだ 親指 人差し指 気が散って小指 泣き叫ぶ男 張り裂けそうな腹に汁を垂らして 「許してくれ」という あったものをなかったことに 存在した時間を巻き戻せはしない 子供を売って欲情におぼれ ダルマを好み 余った肉を喰らった時間 「俺が悪かった」 指というものがすべて切り落とされ 電動ノコギリがうねりを上げ始める 切り刻んだ 舌 目 耳 鼻 気が散る声は薄れていく 血まみれ男の後ろには金貨の山 膨らみすぎた腹を裂けば子供たちは笑うだろうか ダルマを好んだ男 隠し通せると思っていた事実 船はもう出ている 電動ノコギリが肩の付け根に食い込む 港で布をまとった生き残りが泣いている 生き延びた時間 生きてきた時間 生き残した時間 幸運なのか地獄なのか 子供たちの未来は背後で待ち構えている 船はどんどん遠ざかる 嘘にまみれた事実を乗せて 嘘を喰らって生きた男を乗せて
嘘 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 963.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-10-12
コメント日時 2018-11-02
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
内容に反して静かな詩、だと感じました。 音の無い映像、あるいは文字の無いコミックのような感覚。 これはなぜかな、と考えてみたのですが、たぶん、主人公(というか、電動ノコギリを扱っているのだろう人物)が、 成している行為に反して静かに思えるから、というのが僕のなかでのとりあえずの答えになりました。 面白かったです。
0暴力描写や暴力をイメージさせるための言葉を意図して使われている作品ではないように僕には思える。それはぎりぎりだ。もう少し平たく言うと、切り刻みの言葉が張りぼてのようなうわっつらだけにはなっていないということ。それはなぜだろうかと考えた。で、それは本作にある怨念のようなものが執拗に男に向けられているからじゃなかろうか。切り刻みというリアリティが一見して無さそうな言葉を現実に繋ぎ止めている語り手が持つ本当に持っている怨念。それがあるように読めてしまう。
0田無いなる さん、コメントありがとうございます。 静かな詩。そうですね、そう言われてみると私の中でこの手のものは形を変え、内容を変え、視点を変え、書いてきたものなので、少しは書けるようになってきたのかな?とも思いました。 面白かったと思っていただき、嬉しいです。 読んでくださりありがとうございます!
0三浦天才詩人果実さん、コメントありがとうございます。 ぎりぎり という言葉にドキっとしました。 そうですね、ぎりぎりなんです。 そして、男に向けられた怨念。それが確実に明確にこの詩の中に流れていればいいなと思いながら書きました。 読み取っていただき、嬉しく思います。 これで、今月二作目終わりですので、他の方の作品をぽつぽつとみていけたらいいなぁと思っています。 読んでくださりありがとうございます!
0カタルシス、なのでしょうか。けれどラストはうら寂しく、空虚を感じました。物語があって、バランスがいい感じです。
0しょうこさん はじめまして!御作にコメントさせて頂きます。 読み始めはこわい、痛い、という感じがしましたが、残酷な描写が読み進めていくと、 強烈な恨みを抱えながら、これでも抑えているのでは?と感じられて。こども、という言葉から残酷は切り刻まれた人間の方にあると認識したから、視点が変わって、電動ノコギリを持っているのは主人公というより読み手ではないか、と少し考えすぎかと思いますが、それだけ強烈な恨みを感じました。
0拝読しました。異常性愛の男を始末したのちの子供の未来の向く先と、業にまみれた「船」の向く先との対比的(であってほしい)な様子が思い浮かびました。あと、お節介ではありますが、「電動ノコギリがうねりを上げ始める」の部分、正しくはうなり、かと思われます。そういう表現であるとしたら申し訳ありません。
011月になりましたね、こんにちは。 豆塚エリさん、夏生さん、じゅうさん、コメントありがとうございます。 なるほど!と思ったのは、じゅうさんのコメントにあった「うなり」です。 うねりって方言なのかなぁと少し思いながらとても参考になりました。 本来なら、おひとりおひとりにお返事するべきだと思いますが、まとめてしまいました。 作品を読んでくださりありがとうございます!
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