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きみが、そらにだけみちているから
キューカス、 キューカス僕は いつだって、 浮かれたような顔をして (すぐにでも掬ってほしい、と そらをだけ、みているんだ いつだって、 蒸発していく水分を追っては、 物欲しげに瞼をかぶせて (とどかない、とどかない、と こぼし続けているんだ そうやって、 うわずんだ言葉の表面で浚われ続けている、 なんてものばかり (あがいて わからないままくっつきあい そのまま一緒にわんわんめそめそ 泣いて、やりたいんだ いつだって、 わからないままで そんなはなしを繰り返ししていたのは、 (今日の いつだっけ、 きみは少しづつ霞んで 僕の視界が遠くへ届かなくなって、 だから、 そらをだけみているんだ ほんとうは 覚えている限りの大切なはなしを、 すべて白色にして、浮かせてやりたいから あのひよりすこしだけでも長く 窓際に座って、薄いつきを 噛みながら そらをだけ、 キューカス いつ、いつだったか 僕がうそぶき編みあげたまほうの意図で、 針をおくらせられやしないかって ばかになって試みていた、そのとき、 きみは、黒い布に刺繍とビーズを散らし たったそれだけで、 そらを表現していた ねえきみのそらってのはいったい どんなところなんだい 布を破って、その先には何もないのかい そう、聞いたら 一周分の瞬きと、 大気圏までの呼吸をおいて 「裏地があるのよ、必要な場所だから」 なんて答えたもんだから、 僕は、解った振りをして 離陸した キューカス僕は (そらをだけみていたから 案外、近いよ
きみが、そらにだけみちているから ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1522.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-23
コメント日時 2018-10-15
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
5年前に書いたもの。 最近、朗読してもらって好きになれたから。
0言葉を連ね、崩しながらも共感に誘ってしまえる技は優しくて切ない書き手の感情が裏打ちしているからなのだろうと思う。僕にとってのゼンメツさんの魅力は憎悪を書きそうで書かない、書かれていない、というのがある。 空を表現する君に対して、空はどんなところだと訊く。それは皮肉と嫌味にも読める。でも最後には優しく僕は離陸する。憎悪をみせようとしながらも自分を抑えこんで、じゃあね、とする優しさ。これをみうらくんが大好きになって共鳴するのは知ってる人はわかると思う。ナイーブでシャイとはそういうものなんだ。本作「きみが、そらにだけみちているから」の後、5年間の変遷を知らないけれども、ゼンメツさんの先を知りたくなる一作です。
0>三浦 さん ありがとうございます! >憎悪を書きそうで書かない あーーたしかにそうかも。こういうの教えてもらうのいいですね。僕もこの詩好き。実は自分の昔書いた作品で好きなものってあんましないんだけど、朗読してもらってから昔書いた作品のなかで一番好き。 僕、6年前から2年ちょいくらいのあいだ書いて、そのあと5年ほど、ほぼなんも書いてない時期を経て最近また書き始めたんで、わりとなんもないんです! これでも前よりメンタルがダメになりにくくなりました! ダメになる振りはいまでもよくします!
0素朴な印象がして、「僕」の心情がすんなりと入ってくる。これまで拝見したゼンメツさんの作品とは異なり、喜びや悲しみがシンプルに言い表されており、技巧で隠されていない「ナマ」のゼンメツさんを見た思いがしました。朝方から心地よかったです。
0>すてれお さん ありがとうございます! しょーじき昔書いてた詩のいくつかは、いま読むともう何書いてあんのか悩むようなものも多いんですけど、こんだけ時が経ったことで、自分の作品なのに純粋な「読者」になれちゃうような気がして、僕もちょっと心地いーです。
0ゼンメツさんの詩はいつもながら、違和感なく染み入ります。 『いつ、いつだったか 僕がうそぶき編みあげたまほうの意図で、 針をおくらせられやしないかって ばかになって試みていた、そのとき、 きみは、黒い布に刺繍とビーズを散らし たったそれだけで、 そらを表現していた』 この辺りはもう言葉にならない。言葉にして評さなければと思うのに、詩に呑み込まれています。印刷して読めば、何か書けるかもしれない。また感想を述べたいと思います。
0すごく素敵でした。「キューカス、キューカス僕は、」でもう心掴まれました。「キューカス」っていいですね。そらだけをではなくて、「そらをだけ」という表現も心に引っかかりすごいと思いました。世界が美しいです。
0拝見しました。 これは… 主人公の迷いがざーっと書かれていますが、一切客観的に自己を見ることなく主観的な視点で、利己的な視点で終わっている内容は痺れますね。「きみのそら」を知りたがりながら、聞いたところで分からないので「解った」振りをして離陸する様に、主人公の「きみ」への特別な執着心を感じます。 ただ、どうも気になるのは主人公の状態です。どこか正常ではない感じ。「きみは少しづつ霞んで/僕の視界が遠くへ届かなくなって」は比喩のようにも見えますが、何か不穏な雰囲気と言いますか、つまり病人、のような、もしくは精神疾患、のような何かで正常ではない状態のように感じます。でなくとも、やはりさらりと書かれた内容から滲み出る不穏な雰囲気を出せる技術に圧倒されるばかりでありました。
0>帆場蔵人 さん ありがとうございます! 「いつもながら」なんて言われちゃったり、言葉にならないとか言われちゃったり。普段そんな言葉もらえることないのでモゾモゾするくらいは嬉しいです。 >ももいろ さん ありがとうございます! 世界が美しいなんてドキドキしちゃいます。こんな言葉をいただけるならまたこういう作品も書こうかなって思っちゃいますね。われながら単純です。 >ふじりゅう さん ありがとうございます! 実のところいま僕がこの作品を自分で読みといた内容が、当時のソレと同じかどうかと聞かれるとさっぱり自信がないので、そうやって解釈を書いていただけるととってもフラットにおーーなるほどーーってなります。なんかもう僕の隣に別の僕があと2人くらい欲しいですね。そいつらと語り合いたいです。
0>蔀 県 さん ありがとうございます! これを書いていた頃、僕は毎月毎月、作品を現代詩手帖に投稿するためだけに書いていたんですけど、もうほんと何を書いても佳作続きで、じゃあ次こそはいつもと違う感じのを書いて打開してやろうと思って、勇気を持ってできるだけガワはピーキーに見えるように見えるようにと。ですので実際ポストに投函するまで、蔀 県さんのくれた感想「音に寄った作品」つまるところ上っ面だけのチープなポエムチックに受け取られるんじゃないかなーー。って、かなりドキドキしっぱなしだったことを今でも覚えております。まあ結果やっぱり佳作だったんで(詩手帖の佳作は批評がつかないので)うやむやになったんですけど、こうやって5年越しに僕が危惧していた通りの感想を頂けて、いやほんとうに全然悪い意味でなく、とってもとっても感慨深いです。そのあとは苦い思い出の作品として僕自身も忘れていたんですけど、それをこのあいだ5年越しに朗読してもらったら、メロメロになっちゃいました。 あと僕的には僕のこの感性は、いつまでもいつまでもこのままであったらいいなって思ってます!
0なかなか上手に表現できないのですが、強く思ったところだけ失礼します。 タイトルがとてもいいと思います。きみが、そらだけをみているからでも良かったはずですが、そらにだけみちているとされていますね。見るという動詞にせず満ちるという動詞を使うことによって、きみの関心が僕に向かないことが存分に伝わってきました。タイトルが素敵だと何度も止まって読んでしまいます。パワータイトルですね。
0”)”がないからか、詩の内容の、なんというか、限界高度の淡さが際立っていて… 目で読んでもすごく素敵です。朗読も聞いてみたいです。
0>ヤエ さん ありがとうございます! タイトルは気を使うようにしているのでとても嬉しいです。読解のキーにすることも多いし、なによりやっぱり記憶に残ってほしいですね。もちろんちゃんとタイトルに負けないような本文を書き続けていきたいです。 >社町 迅 さん ありがとうございます! カッコ閉じを使わずになにやら境界を曖昧にする感じの書き方は、行分け詩を書いていたときは多用していました。 >目で読んでもすごく素敵です。 当時の自分にその言葉を聞かせてあげたいです。かなり目で読むことにこだわって書いていたので、そしてそう書いた詩をいま、朗読してもらって好きになれた。ということがまた特別なんです。
0>仲程 さん ありがとうございます! 普段こんなにコメン頂けることがないので素直にめちゃくちゃ嬉しいです。僕もいつか僕の知らないキューカスを見てみたいですね。そしたら先輩のクラムボンさんにも挨拶に行きたいと思います。
0こんばんは。「呼びかけ」のある作品は苦手です。もう、それでもっていかれてしまう。語り手に同化しやすくなるのかな、なんて振り返ったりします。(余談ですが、菅原克己の『マクシム』だったか、あれもヤバかった) 作品のリズムの使い方、これがやはり絶妙ですね。
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