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99頁、なくしたのはたぶん
2月末、透明な朝に僕は右手を失い、左手を色濃くした。 3月末、「黎明する明日」はそれとなく意味の通らない一文。 4月末、革命的なキスに彼は何となく意味を見いだせない。 ……XXXX,Er,Eg,Eq ――英単辞書の続きは狂いそうな夢の醒めた後、閉ざされたページ、閉ざしたカーテンを焦がす朝日による月曜日だった。焦げるトーストは現実の中、ヘイストは架空の画面の中。僕の母は悲鳴を上げるが、1チャン、3ch、2の999スレッドは何時も通りにいつもの透き通る白桃を切り刻んでいた。 そう、君が無抵抗の熟れた胡瓜或いは無垢だ! 無垢だ無垢だ無垢だ! いや何時も顔がむくむ白昼夢明けを3cm毎に毎日刻むように。 さて、焦げたトースト、彼のヘイトスピーチはややもすれば八十八ヶ所巡りの巡礼者の挫折苦節春節解説を求めるも、現実的な事を気取ってしか書けない哀れな左脳型透析機にとって、今の季節は視えもしない10℃前後じゃないと納得できないらしい。 例えば生焼けのTVの画面グルメ番組で唐突に殺人が行われれば、死体は透明化するか? 例えば生放送の半裸が全裸のRHCPにすり変われば、例え生半可なアナウンサーが一拍ずれても微妙に曖昧に概念的完璧主義の私からすればその一時間の曲はお終いだ。 そしてなおも焦げるトースト、かつてのS県ペットショップの熱帯魚のような風貌のオーナーは身体を透明にすればいいと冷たくのたまうが、果たして小麦粉・添加物・その他諸々が粉もどき儚い時として意味も無く崩れ舞い散る朝に、それらを完璧にクリアに出来るかと言えばどうだろうか。 セックス 紅葉が絡み狂う現実 纏う衣 交ざる百舌鳥 唐揚げみたいな動物性比喩 揚げ油の凝固に夫婦愛を確かめな 君はずっと笑っていた 僕はそっと快速に「 」 やがて、不可能を可能に化膿する膝を気障にカールすれば赤い世界が視えるとエレベーター五階で乗り込んできた君は嗤いながら嘯く。それでも、焦げたパンは未だに、そう30分も経ってパパが茹でたパスタが狭間で湯切りか首きりかはっきりしないかと思う内にもあぁ〆切に〆サバの消費期限、八兵衛すらうっかり10分カップ麺、ついにアクリル板に落下した食パンの30secondsには流石の丹下の眼帯もはらりと落ちる。 燃え尽きたのはジョー、眼先の白髪になったおめえではなく、この俺の、見えないが多分残り少ない頭髪だと。
99頁、なくしたのはたぶん ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1098.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-06
コメント日時 2018-09-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
語と語の繋がり方が好きです。
0〈いや何時も顔がむくむ白昼夢明けを3cm毎に毎日刻むように。〉 〈現実的な事を気取ってしか書けない哀れな左脳型透析機にとって、今の季節は視えもしない10℃前後じゃないと納得できないらしい。 例えば生焼けのTVの画面グルメ番組で唐突に殺人が行われれば、死体は透明化するか?〉 インパクトのあるフレーズ。 イメージは右脳主体というけれど・・・詩も音楽も右脳型思考回路から生まれるのかもしれません。 ※実際の右脳/左脳ということではなく(脳梁で繋がれているし)型、という便宜上の表現です
0かるべさん コメントありがとうございます。 リズムというか流れをいつもの作品以上に意識した作品なので、その点を気に入って頂けたのかなと思いました。
0まりもさん コメントありがとうございます。 私が創作や楽器演奏を行う際、かなり高い比率で右脳的、感覚というか本能でやっている(不意に極端な左脳型の表現や演奏を意図して突っ込んだりはしますが)ので、そうした面がこの作品には顕著に表れている気がします。
0「終われない世界観」だと北村灰色作品をずっと評してきた。https://www.breview.org/keijiban/?id=771 で最近、灰色さんのツィキャス放送で初めて灰色さんの即興詩を聴いた。それはめちゃくちゃ上手かった。で、わかったんだけれども、北村灰色さんの作品に必ず憑いているもの、それは言葉を使う器用さだと思う。その器用さはテクニカルな枝葉なレベルにとどまらず文体・スタイルにまで昇華されていて。言葉を使う器用さって、作者が受け手に対して、イメージ通りにイメージを百発百中で言葉にして伝えられるということ。料理は完成していて読んでいる私はそれをそのまんまに美味しく食べてしまう。逆に言うと読者に想像の余地が無いのかもしれないし、世界を終われない強制力を持ってして読者を誘うもの、つまり読者は共犯者になっていく。なくした100項目にはたぶん、読んだ人間が書いた終われない世界が書かれている。
0三浦さん コメントありがとうございます。以前から評していただいた「終われない世界観」というのは、確かに私の作品に纏わりついているモノであり、それが色でもあると思っていますが、その点以上に即興性や言葉を使う器用さというのが、私の表現のポイントであるのかなと何となく思いました。
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