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8月分の選考。stereotype2085がタイを取りスーツを捨てた。《選評》
どうも。新運営にして初めてのフルキュレーションにのぞみ、思いのほか「フル・キュレーション」をするのは大変だと思い知ったstereotype2085、「言葉にタイを*論評にスーツを」を指針にして8月の作品、全作品へのコメントへ挑んだstereotype2085です。ちなみにこの「言葉にタイを*論評にスーツを」というキャッチーな言葉。B reviewの一つの指針にしてはどうかと提案して、やはり撤回せざるを得なかったフレーズです。私が「運営からのお知らせ」等でモノを書かせていただく場合、時折散見出来ると思うので、大切にしてあげてください。このフレーズは寂しがってます。可愛がってやると喜びます。 さて、前置きはこれくらいにして早速選評。 僕が選評の基準としたのは以下の三つです。 ① 閲覧画面から来る波動・浮き立つものが美しい作品。 (これは別に耽美的なものでなくとももちろんよく、どんなに薄汚い語彙が使われていようが伝わる波動が美しい作品) ② エモロマンティック成分があること。 すみません。これも造語です。「エモい」という言葉にツイッターで、某女子大生が問題提起して以来、TLでは論争が巻き起こりましたが、僕自身はほぼ使わない単語、「エモ要素」が多分に含まれていることを評価基準の一つに据えました。 ③ 構築的な美しさ、計算された、狙いすましたかのような面白味があること。 これは、本人が「いや、俺は構築なんかしてねぇよ。詩を勝手に書いただけだ」と思われたならご容赦を。これはstereo自身の勝手な主観によるものです。構築美を一瞬でも感じたらポイントに加算させていただきました。では! 推挙作品発表 【大賞】 「ネット詩人の墓」 花緒元メンバーさん 8月26日掲載 何だよ! 先月は百均さんの「惑星メメシス」で今度は花緒さんかよ! 新運営と旧運営の間に忖度でもあんのかよ! とお怒りの方、少々お待ちいただきたい。僕は、慣れ合いとか忖度なんかで折角の全読みを無碍にするほど、勿体ないことはしない。それほどこの作品は素晴らしかった。この詩は花緒氏と、運営のチャット欄でのやり取りを巡り一悶着あった、数日後に掲載された作品で、僕の花緒氏へのスタンスはとてもニュートラルな状態だった。そこへこのエモロマンティック要素満載の作品。3000字近い(空白スペース除く)作品なのに、一気に読み込ませる。そして筆者の意図を推しはかるべく、謎解きのように読み進めてしまう不可思議さ。そして構成美。この三点において断トツであったように思う。実はこの作品を読んで以降、僕のコメ活動は停滞してしまった。入って来ないのだ。他の作品が頭に。加えて芳しくない評価しか、他作品を読んでも浮かんでこなくなった。それだけこの作品は良かったし、読んだ瞬間大賞候補だと感じた。これを「8・26墓ショック」でも呼んでおく。内輪ネタではないかなんていう危惧はどうでもいいくらい、描かれたネット詩人の心証が面白く、最後まで惹きつけるに足るものだった。最後は詩人が詩誌刊行のために資金を出してしまった、詩の定期的イベントに資金提供してしまった、でも別に良かったし、それでもこの詩は成立していたと思う。とにかくこの詩には内輪ネタがどうこうという批判は当てはまらないと感じる良さがあった。とにもかくにもだ! 誰かこの「8・26墓ショック」を解除してくださいっ! ってな気分である。 【優良】 「向日葵」 尾田和彦さん 8月10日掲載 実はこの詩が「8・26墓ショック」が起きるまでは僕の中で大賞候補だった。尾田和彦氏のビーレビューにおける初投稿ということでコメ欄が賑わっていたが、僕は尾田氏の作品に触れたのは、機会がこれまでになく初めてで、何の偏見もなく読むことが出来た。全体として粗暴なのに美しく、美しいのに粗暴という雰囲気、そして構成で、これも一気に滞りなく読ませることが出来ている作品だと思う。詩世界の住民の脳みそは時折、世間一般の方々と乖離したところに存在する場合があると僕は個人的には思っているので、スムーズに自分の詩世界へ引き込むこの能力と技術は大変なものだと思う。この詩はビーレビューという詩の合評サイトに突然戦車が殴りこんできたかのような印象であった。だが悲しくも「8・26墓ショック」の前には後退せざるを得ず、ある種の犠牲者とも言える作品かもしれない。 【優良】 「ウォシュレット」 survofさん 8月4日掲載。 もうこの作品の質の高さ、構成力の凄まじさについてはコメ欄で多くの方が言い及んでいるようなので短めに。推敲含めてわずか3、40分で、このある種の物語を書き連ね、仕上げた筆力の高さにまず驚く。よほどこの作品のモチーフについての考え、感慨が作者の中で募り募っていたのかもしれない。丸煙管男爵なる人物の「ウォシュレット」事件なるものが全編を通して描かれているが、この虚実ない交ぜの世界観。個人的には大好きです。何がどう面白いのかと言えば、事実を換骨奪胎して再構成した、「迸るような疾走感」がこの詩にはあるのです。読んでいて気持ちよかった。一気に書きあげる筆者の姿が目に浮かぶ。これ以上書くと、ダラダラと書いてしまいそうなので、ではここで切り上げます。 【優良】 「こころ はんぶん/ブルーノ/そらの」 仲程さん 8月1日掲載 コメ欄にて「よくまだ読み取れていない」というそこそこ間の抜けた趣旨の一文を入れてしまったが、この詩に秘められた、ある種のロマンティシズムを僕は意図的に、抽出的に抜き取って、勝手に楽しんでいる。「グルーオン」であったり「ガリレオ相対性」であったり一見しただけでは、何を比喩しているのか分からない詩の中に(後者は何となく分かるが)、散りばめられた大切な人や、大切な価値観への想いがとても美しい。僕はそれが詩の解釈として間違っていたとしても、この詩をそういうアプローチで読んで楽しんでいるし、好印象を持っています。とにかくブルーノ、とかグルーオンとかの単語で一面カムフラージュされているが、隠された素朴な情感がとにかく綺麗なのです。ということで優良に推します。 【推薦】(と一言) 「もうなにもかも知らないし何も知らなかった」 ゼンメツさん 8月13日掲載 サイコーです。サイコーキオンを記録した日に読んだのかまでは覚えてないですがサイコーです。あとゼンメツさんのうねるような承認願望とか、ツイッター。大好きです。 「朱肉の空」 桐ケ谷忍さん 8月17日掲載 残酷なんですよ。実際この詩の全体像を把握すると。でもなぜか美しくて情があるんです。理由はこの作中人物のちょっとした猟奇性に潜む慈悲かと。 「晴れた日の唄(および唄に関するメモ)」 藤一紀さん 8月24日掲載 コメ欄にて「書いた本人の私としては珍しいくらい、どんなことを目指していたかが明快だった」とありますが、その明快さゆえに、筆者の心に入り込めるような感覚がしました。それが心地よくてたまらなかった、と一言。 「未必の故意」 地(
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作品データ
P V 数 : 1100.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2018-09-01
コメント日時 2018-09-29
取り上げてくださってありがとうございます!一気に書きあげたのは確かで、その間ものすごく時間が短く感じられたので本当は30-40分ではなく、推敲をいれると1-2時間だったかもしれません(書き終えたあとすぐ投稿したわけではなく、何回か読み返したり、別のことをしたりで投稿したのは書き始めから2Hくらいたっていました)。そのあたりちょっと曖昧ですみません。楽しんで読んでいただけたのが何よりとても嬉しいです。今回の作品は普段考えていることがものすごく反映されていると思うので選評でのご指摘もとても嬉しいです。
0名前を出してくださってありがとうございました とても嬉しかったです
0「ホントは推薦したかった作品」に「フィラデルフィアの夜に Ⅶ」が! ジャンルでいうと物語詩というビーレビではやや珍しい形態ですが。 楽しんでいただけたようで幸いです。
0ありがとうございます!! まさかぼくにサイコーの残暑見舞いをいただけるとは! まだまだ欲望の塊でいたいです! でもツイッターははずかしいですね。。
0言葉のタイではなく、開襟シャツ、かっちりスーツではなく、ニットジャージ(でも、上質)のカジュアルジャケット、そんなムードの文体ですね。 でも、最初に選者の観点、視点を明確に出している所が、とても読みやすかったし、納得がいく選評になっていると思いました。
0survofさん、タムラアスカさん、蔀 県さん、羽田恭さん、ゼンメツさん、そしてまりもさん、僕の選評にコメントを残してくれてありがとうございました! 残念ながら大賞に推薦した花緒氏の「ネット詩人の墓」は、大賞とはなりませんでしたが、初めてのフルキュレーションによる選評、楽しかったです。これからも上記6名のご活躍を、そして名前を挙げさせていただいた詩人さんの活躍を祈願しております!
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