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どうしようもなく、虚無僧になって
どうしようもなく、虚無僧になって 見て、たい (目を ことで、景色がかわってゆくけ ずらす ど、池袋駅の地下街、足早に、動いていく 人たちが、見ている景色を、その人たちの 目を借りて、見ている、デパートの甘い景 色や派手なドレスの景色や指と指が絡まっ た手元の景色や聞きなれない言葉の景色や 足や脚の形が一人一人違うという景色の中 で立ち上がってくる私の中の景色が 挿入される 昔の人と連絡を取って、ご飯を食べに行く 仲が悪かった人、 少しだけしか付き合いのなかった人、 ガラケーを使って、 しぶや、というまちに いたはずだった きみは、僕の部屋で、 母が、きみがねこだとごまかして、 布団の上にいるきみに 「数学なら教えられるよ 国語はダメだ あと、うん、ギターなら」と 歌うきみの声は、 美しかった。 (他の なにもかもが 無くなっても それをきいていたかった 何を、何を唱えれば、いいのだろう 目の位置を変えなければ 見えるものは変わらないはずなのに 人が、人が目の前を通り過ぎて わたしの目は、笠の中 祈りを、祈りを捧げたくて (きみの祈りを思い出す 生地は近いはずなのに きみは、島唄を歌っていた 「挿入せよ 原風景は、沖縄の海にあった 麩をちぎり、名も知らぬ小魚に分け与える 海は、見るものでも、浸かるものでもない 潜って、その風景を見るものだった 忌避されるナマコを持ち上げる父 素潜りしてウニを捕まえる兄 パラソルの下で家族を見守る母 私は、その景色のどこに 挿入されるべきだったのか 「挿入せよ 通り過ぎる人が投げ銭をしてくる 私は、私のために、祈っているのに その祈りを聞き入れたかのように 立ち止まる、あなたの顔は 笠の網目で見えなくて (挿入されなかったよ 私を俯瞰する目が、絶えず、動いている、そ の目を操れるようになったのは、ドローン が見せる景色を思い浮かべたからか、布団 の、私の布団の上で、横たわっていた、き みの、祈りを、この地下街に、広めたくて 私は、どうしようもなく、虚無僧になって 見て、いる 祈りを、唱えて、いる ようでいて、 待ち望んで、いたのだ きみの、祈りを あの、島唄を
どうしようもなく、虚無僧になって ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1118.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-08-31
コメント日時 2018-09-01
項目 | 全期間(2024/12/27現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
原風景と言うぐらいなので、沖縄が主題の中心なのでしょうが、当然タイトルの「虚無僧」や島唄も無視できない。繰り返される挿入と言う概念の動詞的活用。勿論前半部分は池袋、渋谷と東京の地名。東京沖縄間と言う主題でもなさそうだし、前半部分は昔の人や母。後半部分は私、父、母、兄。前半部分「わたし」表記も気に掛かります。前半部分のデパートの甘い景色、後半部分のドローンが見せる景色など、前後半分けてどうしても見て仕舞いますね。勿論後半部分は沖縄の海ですね。池袋の地下街と終りの方に出て来る「この地下街」など「あの島唄」も印象的でした。虚無僧的なタイトルから祈り、特にきみの祈りが焦点であるようにも思えました。
1仲程さん 大変ありがたく思います。 理由等は具体的ではないですが、やばかったかもしれないということは十二分に伝わりました。 書いたかいがありました。これからも精進します。 エイクピアさん 祈り、という言葉は、僕にとって常にキータームです。背景については語りません。 それを「虚無僧」という姿を借りたら、どうなるか、ある意味思考実験があったかもしれないですが、つい、自分にとって書きがちな大事なことへと繋がってしまいました。 寝る前やお風呂、ぼーっとしている時など、思考や記憶が夢のようにばらばらに思い出されながらも、時が経つと何も思い出せないことが誰しもにあるように思います。 そのような状態のように、ぼーっとしている時に、ばばばっと思い出される風景の様子を描いたのかと、今になって思いました。
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