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三浦果実7月作品フル選評―かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう―
7月投稿作品の中から以下の50作品を選んだ。基準は作者が己自身を伝えたがっている自分語りの強度によって勝手に三浦が選別した。大いなる勘違い野郎みうらのセンサーによる選択である。 先に申し上げておけば、ロックンロールな感性からすれば選ぶべきな北村灰色氏の作品、熱量大好き・聖域犯すぜべいべーみうらの感性からすれば選ぶであろう今田千代氏の作品、現代詩トレンド好き&大二廟センサーのみうらからすれば必ず選ぶであろうなかたつ氏の作品、これらの作品はあまりにもカッコよく完成度が高くて、外した。 なぜならば、今回の基準で選ぶ最終選基準は、 「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」 という昔々のジャックス早川義夫氏の言葉を再魔術化的に三浦が解釈する基準を持ち出したいからである。 つまりは、自分本位な冒険心がある(つもりの)選評です。 もうひとつ意図がある。 自分語りのポエムポエム、お花畑の人々と揶揄されることは本当にダメなのか? ダサいのか?現代詩トレンドコードを叩かないのか? レトリックも技法もないことはダメなの?詩ではないのか? と大層に問いたいのである。 ファッションポエマ―と、人々に苦笑いされてきた三浦果実の個人的復讐心。 桐ヶ谷忍 「輪廻」 徐々にでいいから 「隔てて」 Yuu 「今日を見つめる未来人」 田中恭平 「徒然草」 地球 「大阪のミャンマー」 黒髪 「長い間失くしていた心」 雨粒あめ子 「Hikou」 羽田恭 「友よ」 なないろ 「鳴り止まないカーテンコール」 仲程 「のっぺらぼうの町」 蛾兆ボルカ 「ビサイド」 ミナト蛍 「春の記憶」 渚鳥 「止痛薬」 タイジュ「カップラーメン150個分の」 survof 「カタルシス」 こうだたけみ 「よこしまなきみとさかしまなぼく」 二条千河 「命名」 斉藤木馬 「新宿ナード」 眠莉 「魔笛」 杜 琴乃 「エラーメール」 ふじりゅう 「ピルエット」 帆場蔵人 「花の墓」 蔀 県 「Y」 藤 一紀 「心ここにあらずな詩」 anko 「これから」 IHクッキングヒーター(2.5kW) 「足りない全て、一つの欠片と」 杜町 迅 「女性像/断片」 山本琴煢 「on A bed」 植草四郎 「イカす詩編①」 かるべまさひろ 「すいと」 所謂 「AM3:00」 馬宙 キヨス 「風の歌」 仮名吹(かなぶき) 「しめやかに」 窒化硫黄 「緯度一度」 蛭子子 「雨」 枕はるか 「夏日漣想」 雨之人斬(あめのひと) 「僕の客観的事実を構成する七十二のイデア」 唄彰伸砂漠 「人生―飲み」 周 「あめはきらいじゃない」 ヤエ 「夏の木陰」 mirrorinthedark 「私のゲノムは沈黙する。」 三木宗仁 「小本」 ゼンメツ 「無題」 やませ「頂上」 四畳半学生 「永遠の子ども」 なつめ 「50カラットの愛について」 新藤諒羣 「誰も知らない」 幼ヰるび 「わたしの風の又三郎」 佐原砂漠 「ただ、ありがとうね」 ヨシキリメジロ 「青」 この50作品からビーレビフルキュレーションのルールに則り、更に絞る。 先に申し上げた今回の選考基準からすれば、「選ばれたくない」という作者の方がいらっしゃるかもしれない。ごめんなさい。 ここで、絞る基準を示したい。それはずばり、作者のさらけ出し度で選ぶ。無論、語り手と作者は違う。詩にメッセージは無い。御指摘の通りで御座います。御教示有難う御座います。 が、しかし、ごめんなさい。三浦はメッセージが好きだし、作品に作者をみたいバカモノなんです。下品な読み方かもしれませんね。 常々「この作品は自分のために書いた作品じゃなかろうか」と勘違いしてしまうぐらい自己投影してしまうんです作品に。 上品な読み方が出来る程に理性が保たれてる時って、詩を読みたいなんて気持ちにはならない。 はい。では。 【推薦】 ・新藤諒羣 「誰も知らない」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2015 >僕が苦しいのは >君の優しさや淋しさに >溺れていたからなんだ こんなドストレートな語り、一周回って大胆不敵。レトリックも何も意図が感じられないところがいい。 ・黒髪 「長い間失くしていた心」 >僕が最も苦手な恋愛 >心の遊びだ >美の陶酔だ >欠損の絡み合いだ 「欠損の絡み合いだ」が恋愛にかかっているとすれば(私は恋愛のことを云っていると受け取った)、恋愛についての哲学的断言として、魂が宿り切っている。 ある意味で今回の選考基準でいえば優勝。 ・IHクッキングヒーター(2.5kW) 「足りない全て、一つの欠片と」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1952 「全て」「一つ」「足りない」3つのキーでジャグリング的に自問自答している。レトリックといえばレトリックだけれども、 最近ネット詩で流行りの「レトリックを沈めておいてのセンスみせびらかし系」とは明らかに違う素朴感が残っていて良い。 最終連がレトリックを打ち消そうとメタを置いた形跡としてみえて少し残念。でも、作者が透過でみえる感じともいえる。 ・四畳半学生 「永遠の子ども」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2007 >平成最後の夏 僕は子どものままでした >さようなら 平成 さようなら >僕は大人になれませんでした 先の新藤氏の「誰も知らない」とも同じ観点で被るが、おそらく作者はメタを込めてるつもりはない(私の主観な読みではあるが、メタ置きの意図はないだろう) 表層的な、ある種のライトノベル的でありながら内容が重たい。センスと技法に拘る作品群にあって、かっこ悪い。(逆説的にかっこいいということです) 【優良】 ・田中恭平 「徒然草」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2011 俺、俺、俺、のオンパレードである。自分語り以上でも以下でもない。田中恭平さんの作品。詩が降ってくるとよく云うが、 それって技法やらなんやら以前に、詩が書きたくなる自分がいるということで。恭平さんの「俺」はかっこいいし、自分語りはカッコ悪い。 つまり、かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう。 ・なつめ 「50カラットの愛について」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2013 世界観を詩に込めることが許されている者は、バーチャルな空間であるネット上においても、その語る世界観に一毛も偽りが無い者である。自分が思っているままに言葉にする者。 自分が本当に思っていることが何なのかも判らなくなるのが大人だし、やがては詩情から遠のく。レトリックだ、技法だ、感性だと言い訳をする。 本作にある「世界」という言葉が浮き上がっているし、それがとても羨ましい。だから、優良。 【大賞推挙作品】 ・幼ヰるび 「わたしの風の又三郎」https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2056 >言葉に嘘はない。わたしはいつだって、そう思うのだ。ただし、声にだした途端、その言葉が嘘に変換されてしまうことがある。だから、わたしにとって、すべての物語はノンフィクションなのである。 自分語りの作品にレトリックも技巧もないのかもしれない。ただ正直に。でも、その正直さ、正直に自分を語ることは困難だ。かっこよく装うほどに出来ない。 本作で語られる死。詩作品にはよくあるテーマだ。 でも肉体が宿っている死は少ない。僕には死は書けないし、もしかしたら生も書けない。 幼ヰるび氏が語る死は本当なんだ。だから怖い。でも羨ましい。だから、大賞。 最後に申し上げたい。みんな、ありがとう。
三浦果実7月作品フル選評―かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう― ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1437.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2018-08-13
コメント日時 2018-08-23
「7月投稿作品の中から以下の50作品を選んだ。」 この一行目でフフって笑ったんですけど、アーカイブを見にいったら、ビーレビがスタートした最初の月の投稿が丁度50作なことに気付き、一転、なんだか少しセンチな気持ちになりました。
0ゼンメツさん あなたが想像している以上に私はあなたのことが気になってわくわくしています。もちろん文学極道の方でのあなたの作品もあなたが付けているレスも全部。Twitterもみてます。その文体と作品のエッセンスをすくい出す感性がたまらないです。カオティクルさん以上に私はあなたのファンだし、きっと、ビーレビの参加者の多くがあなたに注目しています。なので、なので、もしも気が向いたらゼンメツさんの選評をみせてください。ゼンメツさんはもう気がつかれてると思いますが、ビーレビのフェアネスは最強です。ぽんこつですが。なので批判も大歓迎です。文学極道のアカデミアンボクシングによる自己満足は得られないかもしれませんが。ゼンメツさんのムーブメントがみたいです。あ、すみません、ネトスト体質なもので。 これからもよろしくです。
0う、上手い。僕みたいなヤツをその気にさせる的確なツボをいま決め打ちされている。これだから詩人ってやつは嘘が上手い。ただステキな嘘に乗るのも上手くありたい。
0三浦様 この度は本当にありがとうございますm(*_ _)m貴音様のコメント欄の方で言いたい事全て打ってしまったので、どうしましょう…とりあえず、「世界」がはっきりと見えるうちにたくさん詩を書きたいです。この「世界」、内面的な、私だけしか知らない場所からいつかは飛び出さねばならないでしょう。めげずに書き続けることですね!!本当にありがとうございます! あと、ゼンメツ様、私もファンです。文力なくてコメントできないだけなのです。二作品ともこっそり楽しく読ませていただきました。別サイトの方でも、名前を見かけて、コメント欄で白熱しているのをかっこいいなぁ、と思ってました。圧倒的語彙力と技量、これからも楽しみにしています(o^-^o)
0なつめさん 世界がはっきりと見えているうちに最果ての更に先にあるてっぺんにいっちゃってください。そして眺めの良きことを有名になっても掲示板に投稿して教えてくださいね。
0>なつめさん まさかそんな姿まで、て、て、照れりるます。 >三浦さん 上手く乗せられていま選評書いてます。書けば書くほど胃が痛いです。ほんと大変でしたね。てか「その人のいったいどっちを」ってのもめちゃくちゃ難しいですね。
0ゼンメツさん ゲンダイシボーイがワイヤードロジックのレイヤーの片隅で壁打ちを!素晴らしいです。なんてJKっちっくなんだろうか!ゼンメツさん、最後はアンフェアです。フェアなものなんて世界には一つもない。アンフェアにはアンフェアを。ゲンダイシにはゲンダイシを。
0ゲンダイシにはゲンダイシを。思わず笑顔をもたらされました。いい言葉です。
0最初の50作に名前を挙げていただきありがとうございます。 三浦さんはそっちを選んだのねーって思いました。それがわかっただけでもうれしいです。
0かるべさん カタカナ書きはもちろんゼンメツさんの影響です。私、すぐ真似したくなるタチでした。です。である。
0こうだたけみさん こんばんは。サウンドクラウドにこうだたけみさんのラップみたいな朗読音源があることも知っています。こんどツィキャス隊に入隊お願いします。コードネームはゴルコンダ。うん。
0「友よ」の方を選ぶとは。 ”自分本位な冒険心”、マリオと阿含経を元にしているので、まさにそうかも。 自分以外混ぜないものを作品にしているので、そこを評価していただけたのかなと。
0【推薦】にあげてくださりありがとうございます。 「永遠の子供」のキャッチーな重さが評価されたのかなとか思う次第です。嬉しいです。
0羽田恭さん そうでした。自立する個としての自分語りは羽田さんが最強であることを思い出しました。また羽田さんが都合が良い時に羽田恭最強について、ツィキャスやりましょう。このコメントレスが優勝の証です。
0四畳半学生さん 自分を語るナルシズムの文体にキャッチーさを仕込む作業は技巧よりも、恥ずかしさを超越するメンタルの方が大事かもしれません。是非、これからもかっこうつけてるけどかっこう悪いかもしれない、キャッチーかもしれないけど一周回ってポエジーみたいなもの、作品投稿よろしくお願い申し上げます。
0三浦さんへ はい、survofさんにお経読みと言わしめたあれですね。お耳汚し失礼いたしました。 えーと、私なんぞがゴルコンダを名乗るなんて畏れ多いので、別のコードネームを希望します。(入る気満々かよ)
0第一次選考(?)通過に驚いています。ありがとうございます! 何というかもっとこう「自由なけものみたいに走ろうぜ」的な雰囲気を出さないとセンサーに引っ掛からないものだと思っていました。選出される作品ではなく、選出する基準のほうが自由なけものみたいで、とても面白く拝読しました。
0二条千河さん う、上手い。二条さんのコメントのメタファーを理解出来る人は私と同じく、くっくっくっと笑顔になったと思います。いんじゃんじょうにはお互い気をつけなければなりません。
0>自立する個としての自分語りは羽田さんが最強であることを思い出しました。 予想外の事を言われてる……。 それでは都合のいい日をまた連絡しますね。
0推薦に選んでいただきまして、嬉しいです。初めてのことなので、本当に。
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