道化唄 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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道化唄    

降る雨に枝幹はなお黒く、艶めく。 葉に雫。濡れた土。湿った草また草。 立ちこめる匂い。 一帯をひたす、うす靄。 * 灰の雲、退き 飴色の縁。 晴れ間。穿たれた青い穴。 露わな傷を風が洗っている。 指さして飛び、種撒く鳥たち。 眼下に子ら、走る。  交々。 * ひきしぼった弦から放たれる矢。 馬を駆る男。また、球に乗る男。 影をも明るみに晒す。 所謂、曲芸師。 向日葵が咲く頃には彼に焦がれて 緑の塔を這い上がる姿も見られよう、 背に星を負った者の。 * 錠剤三錠、カプセル一錠。 とんだ惨状。否、浄罪? それ一条の光。 なんつって突っ伏したとて どうなることか。 諸行無常ノ鐘ガ鳴ル アゝ 無情 * 鉄橋の下、土手の斜面に 菜の花の黄色い群生。 眼裏で数知れぬ青い火に変換される。 波のように遠くから押し寄せる、 あれらはなんであったか。 飛沫があたると人の顔で透きとおってゆく。 揺れまどう黒い浮標は悔恨に相似する。 そうとも、おれは 季節を梱包して投げ捨てたことがある。 * 春。 開店を知らせる派手なアドバルーン。 華やかさ満載で気をひくのは鼻につく。 (色はにほへど……色はにほへど……) 鶯が空虚を諳んじる。 おお ここかしこ みちみちる気だるさだ。


道化唄 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1054.0
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2018-05-03
コメント日時 2018-06-05
項目全期間(2025/04/12現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
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閲覧指数:1054.0
2025/04/12 00時34分29秒現在
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    作品に書かれた推薦文

道化唄 コメントセクション

コメント数(4)
かるべまさひろ
(2018-05-13)

いろいろな景色に飛ばされて、それはまさに道化に魅せられているのかな、とも思わせられました。 リズム感があって、「唄」というのも納得でした。

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藤 一紀
(2018-05-30)

かるべまさひろ様 コメント、ありがとうございます。遅くなってしまいました。 言葉の音とか、音のつながりや切れから生じるリズムとか、好きなんです。日本語は母音と子音を一語で表せるから、母音同士を絡ませたり、子音同士を絡ませたりが英文よりも少ない文字数でできるから楽しいです。擬音やモジリもあって。 かなりめちゃくちゃなことをやっていた時期もありますが、だいぶんと落ち着いてきたなあ笑 コメント、改めて感謝します。

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吉岡繁樹
(2018-05-31)

こんばんは。〈選評〉は、6月に書いたほうがいいみたいなので、明日また何か書きます。

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まりも
(2018-06-04)

春、の叙景から始まりますが、地面への視点から始まり・・・空へと目が向けられても、「晴れ間。穿たれた青い穴。 露わな傷を風が洗っている。」として受け止める、ここが印象に残りました。 やがて訪れる夏、「向日葵が咲く頃には彼に焦がれて 緑の塔を這い上がる姿も見られよう、 背に星を負った者の。」なんらかの宿命を負った者の・・・向日葵のような憧れの対象に向かって這い上っていく姿を予感しているようなフレーズもよいですね。 「錠剤三錠、カプセル一錠。」この連は、自らにツッコミを入れるというのか、諧謔を意図した、小休止的な連でしょうか。 「飛沫があたると人の顔で透きとおってゆく。」 「季節を梱包して投げ捨てたことがある。」 このフレーズもインパクトがありますが・・・若干、抽象性へ振り過ぎている感もあります。 最終連、締めの一連、ということなのでしょうけれど・・・この連を省略してもよかったかもしれません。

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投稿作品数: 1