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「選評」 Clementine作「ちいさな傘を」
私がこの詩を推すのは、私個人が救われたからです。 コメント欄には この詩には宇宙がある……なあんて、書きました。 でもなぜ惹かれるのだろう。なぜ救われたと感じているんだろうと、語ろうとすると うっかり私自身の人生を語ってしまいそうになります。 ここは、ひとつ。そうではない方法で推してみます。 つまり 「なってった」んです。この詩に私という読者がオートマチックに同期してしまった。 同期スイッチは【っ】だと思います。 この詩のような【っ】で同機してしまう経験は、大昔に教科書で読んだ あの有名な詩以来です。 ≫汚れっちまった悲しみは ≫小雪のかかってちぢこまる ↑ この有名な詩を初めて読んだ日の私は、作者の人生も知らなかったですし、詩というものも あんまり読んだ経験もありませんでした。 「っちまった」なんて言いいかたを文字で書いちゃうんだあ。なんという捨て鉢な永遠だろう。と、いうことに 驚きました。どうやら、【っ】に 私にとって摩訶不思議な胸中へのスイッチが 組み込まれていたようです。 帰り途になってった…… んです。わたしが 春にとけゆく川になってった……んです。読者のわたしが 産ぶ声えが鳴ってった……については、鳴ってったという過去進行形。わたしの近親者にも過去の詠嘆になってった人が居るせいもあると思うのですが、私は救われたのです。(あ うっかり やっぱり私自身の人生を 語ってしまった。) ちいさな傘とは、ちいさな魂への たむけだとは 思います。しかし私には、思いを 手放すための渡し船のように思えました。 春の川に うけながしがたいことを、流すための舟みたいに思えたのです。 ありがとうございます。 しらずしらずのうちに固まって動きにくくなってしまっていた私の心が、詩を読んでもあんまり感応しなくなってた私の心が、おかげさまで動くようになりました。 ***本作品の後に出会ったり再読したりしたことで、私が良さを見出せるようになった作品群**** あえて敬称は省きます。作家には よくあることですよね。 ● タムラアスカ 【sodAXXXX】 言葉の筋肉の発汗が凄かった。強炭酸クラスのトビチリでした。 ● 笠木 【春蒙に寄せて】 春霞 が広がりました。 ●桐ヶ谷忍【風の花】 コメント欄に、おバカなことを書いてしまってますが、 わたしが どっか おかしかったんだと思いました。 ●田中恭平【haru】 好きな作品だったのに好きだと言えなかった。 ●百均【春寒の記憶】 しゅんかんのきおくかあ うぅむ。 ● クヮン・アイ・ユウ 【「、」も「。」も打てずにいるのに 】 矢印が内外に向いて、それぞれの痛みだけがあるのは、私も だった。 ※この詩を読もうと読むまいと、良いと感じた作品も多数です。ですが、この詩に出会ったことで他の詩の良さが感じられた気がしているので、わたしは Clementine「ちいさな傘を」 を推させていただきます。 ありがとうございました。
「選評」 Clementine作「ちいさな傘を」 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 927.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2018-04-04
コメント日時 2018-04-29
Clementine「ちいさな傘を」が読めて私もよかったと思います。知らなかったので詩の出会いが、この詩を知る事の出来た事がで良かったと思うのです。
0るりるらさん エイクピアさん かくいう私自身もこの詩に救われた、そして掬われた一人です。笑 救うこと、掬うこと。 したためた言葉が暖かくなったならこんなに嬉しいことはありません。ありがとうございます。
0お詫びと訂正:るるりらさん、ですね、たいへん失礼いたしました。
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