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発行禁止
呼ばれていく毎に呼ばれない者も増える 白い部屋で喉の渇きを押しつぶす 着けているマスクは湿って 手渡される飲み物に臭気が溶けていると言う者 互いに盗み目をし髪を逆立てている者 毛製のワンピースが貼りついて古い婦人紙を掴んでいる時には まだ 身繕いが出来るものなのか 食べ物の載る古紙を貪る男がいた 今では そこらに溢れてきたから 一箇所に閉じ込めたという その場所から発行された雑誌の断片は 無菌であることを主張する 害を加えないことを約束する 毛並みを気にするならば また 髪が逆立ってくる
発行禁止 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 924.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-03-19
コメント日時 2017-03-27
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
潔癖さが引き立ててしまう汚穢。 >着けているマスクは湿って 手渡される飲み物に臭気が溶けていると言う者 病院の待合室で長時間待たされているときのような、湿った不快感の表現、リアリティが見事です。 >その場所から発行された雑誌の断片は 無菌であることを主張する 害を加えないことを約束する タイトルの「発行禁止」と、無菌で無害な(抑圧された?)ものの発行は同義だということでしょうか。しかし、作品の持つ主張や表現の繊細さは素晴らしいのですが、一連目の感覚的な描写と、二連目のアフォリズム的な、理性的な描写との差に少々戸惑いを感じてしまいました。
0花緒さん コメントありがとうございます。ご挨拶が遅れましたが、登録させて頂きました。よろしくお願い致します。 社会批判という自覚は無かったのですが、改めて考えてみると、神経症的な事を言うとすぐに病名を付けたがる傾向について暗に言っていたのかもしれません。 そうすることで王道の社会自体は無菌であると押し付けているような…。 考える機会を頂けて良かったです。ありがとうございます。 繰原秀平さん コメントありがとうございます。 タイトルは、閉じ込められた〈異常〉の印を押された人々がその場所から出るには、自分は無害(無罪)の考えを持っていることを証明しなければならないという意味を含ませたつもりでした。 一連目と二連目の雰囲気の違いについて、読み直して初めて気が付きました…。言って頂いて良かったです!そういった所も考えながら書いてみたいと思います。
0一読して精神科病院に入院している人たちについて書かれたのだと考え、少ししてからブラッドベリの長編「華氏451度」や短編「シカゴ奈落へ」のように、自由を奪われた状況をも描いているのかも知れないと思い直した。 食べ物が載った雑誌は無菌であると信じて紙を貪り食う男などは、ネット上に溢れ散乱する情報に踊らされた挙げ句に冷静な判断力を失ってしまった人たちを皮肉っているようにも思える。彼らは自分が信じたい一点の情報に信仰レベルですがりつき、それ以外はすべて拒絶する。この詩に出てくる人々は、そういう意味で明日の私たち自身なのかも知れない。
0毛が逆立ってくる、という、ぞわぞわっとしてくるような緊張感と孤独感。 選ばれる者と選ばれない者、閉じ込められていく恐怖。 具体的に、現実に視た光景を描写しているような臨場感があるけれども、同時にメタファーとなっていて、今の世の中の閉塞感を暗示しているような、底深いオソロシサを感じました。婦人紙、は、婦人誌、かな・・・。古紙はこれでよいのでしょうけれど。ウールの、ではなく、毛製の、という手触り感のある言葉から、なんとなく濡れそぼったネズミのような、惨めな外見の女性をイメージしました。
0さらっとした作品、でもしっかりと最後の締めのイメージが面白く、それが発光禁止のイメージ綺麗に直結していく。細かい内容については、他のレッサーの皆さんと同意です。
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