無・関心、傍観者のままじゃいられない、この時代では、
誰かがおかした間違い、過ちなのに、僕らは縛りつけられ、
昨日のニュースでは、虫が入ったパスタが話題になったけど、
僕らは、それよりも大切な距離を縮めようとしている、二人で。
色・だけがすべてじゃないと知った大人なのに、
恋・だけじゃ進めちゃならないその関係なのに、
曇り、空。遠のいては妙に罪深い、様相。
無邪気なままじゃいられないから、
いっそ飛び降りてみようか。
それなら少しは楽になれるかと空を疑ってる、真夜中、昇るエレベーター。
甘い言葉だけではどうしようもなく、ただ触れていたいだけで、
触れるだけでは足りないワガママを、互いににぶつけて困らせたくて、多分。
降りしきる外の雨を、呆然と見るだけで部屋も出ずに、
また狂おしい明日が来ると諦めて、うなだれているだけなら、
誰も傷つかずに幸せだったのかもしれない、夜明けが来ても、あの日。
異、端のアイドルが笑わせて歌ってくれるだけならば、ずっと、
今日という日も、仕事帰りの月夜も普通でいれたのに。
飼われた狼が、矛盾だらけの毎日に気が狂って、
夜が来るのを見計らって、逃げ出したみたいな嫌な夢を見てる、かがり火の下。
もう一人で歩けないのならいっそ飛び降りてみようか。
強くもなく弱くもない麻痺した心を抱えたまま。
夕ぐれに母の姿なんてなくて、やけに殺伐としたままの、
ゴミ捨て場に転がるのは、理不尽な大人と自分の言い分だけ。
興、味もないと素知らぬ顔でスルーした誰かのpostも、
実は今の二人を堕とすきっかけの一つで、
何かが何かにつながり連鎖する、この世界で見えたのは、
孤立した記号としての男と女で、それがただ悲しくて、だから。
優しい素振りだけでは意味がなくて、ただキスをしたくて、今日も。
蕩けるように消えていくひと時を、ずっと手放したくなくて。
でも、ルーレットみたいに賭ける何かも残っていなくて、二人には、
昨日の素直さを取り返せる確率さえ低くて、やけに切ない。
アルコールでさえ麻痺した心を溶かすには、余りに無力すぎて、
無、常観。なんて冗談にもならないよ、キツイ。
このままベッドの上の電灯に、大きな蛾がはりついて、
二人の口を塞ぐためだけに、舞い降りてくるのならば、
止めるオーディエンスなんていないし、飛び降りてみようか、いっそ。
とても丁寧に書かれていると思います。一気に書いたのではなく、書いては消しを繰り返し、音楽も何もきかずに、自分と向き合って何日かかけて書いたのではないかと思わせる作品だと思いました。
0とても、虚しい。
0これは「メッセージ」ですね。 夜中に発光しているブラウザで読むとなかなかイイ感じです。 欲をかくと「飛びおりてしまえ」でさっさとサゲるのではなく、 この文体のまま小説なり、ステロタイプさんの日常なりを、 書いてほしいという気もしてくる。 それこそ私小説みたいに。 十分、資質はもっている方だと思います。
0つつみさん、コメントありがとうございます。この詩は書いていて、「飛び降りる」というフレーズが出てきた時、それを軸にしようとシフトしたのですが、つつみさんは気に入ってくれるだろうなとぼんやりイメージしながらも、仕上げました。流麗でそれでいて無理のない描写。この詩を書いた時には、こういうのが書きたかった。かなりナーバスな詩ですが悪くない、と思います。
0野良さん、コメントありがとうございます。虚しい。確かに虚しい。色恋、情に溺れて、しにたい気分になってる話者の詩なんて、確かに虚しい。読んでいてそんな気分にもなるでしょう。だがこの詩は悪くない、なかなかの出来栄え。僕はそう思っています。
0おまるたろうさん、コメントありがとうございます。おまるたろうさんのコメント楽しみなんですよ。もらえましたね、今回も。そう、確かにこの筆致で、小説やら僕の日常やらを書いたら、書けたら、僕の大きな飛躍のきっかけになるでしょう。ただこの時は、この詩で精一杯だった。充分だった。おまるたろうさんのコメは示唆に富んでいて、今後の僕の活動にいい影響を与えるでしょう。
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