色合いが止まった冷たい朝には
やさしいきみとは何も話したくないから
わたしは枯葉の積もる公園のベンチで
手袋を脱いだ手のひらを空に向けて
この星から水がこぼれてしまわないように
くるみくらいのジャイロスコープを回してる
静けさに藍を溶かした昨日の部屋の暗がりの
輪郭になじまない記憶からの垂線をたどって
真夜中のコーヒーの雫がノートに落ちると
重さのないダウンコートのポケットのなかで
きみがくれた丸いチョコレートがゆがんでる
黄色い芝生に忘れられたテニスボール
使い古した左手のチープカシオの
簡単なデジタル数字のきまじめな点滅と
ヘッドホンからクリアに伝わるピアノの旋律が
この星を満たす水の表面で同心円に広がって
底に積もる細かい砂に曖昧な模様をえがいてる
わたしは小さなブランコに座って
座標から逃げて声を求めるベクトルと
曲がる空間を静かにめぐる矮星の光差を
紙に映した文字の反射で測りながら
乾いた枯葉にいつかからだを埋める
きみの素肌を守るボディクリームと
となりに供える鮮やかな花を探してる
青くならない空に残った弱い星の光
いまきみもあの星みたいに死に続けてる
分厚いニットを着込んだきみにそう話しても
時間はいつもわたしの方が少し遅れて進むから
せめて画質の高いディスプレイを右手でかかげて
透きとおるグラデーションの写真をわたしに送る
空の手前で枯木に残った一枚の葉が震える
鋭い鳥のなき声が内側から強く気持ちをなぞる
ビルの間の陽光が少しずつ傾きと濃度を変える
わたしは冬が終わるまでこの朝を繰り返し
動きを止めてオレンジ色の液体に浮かんでる
作品データ
コメント数 : 25
P V 数 : 2149.3
お気に入り数: 2
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-03
コメント日時 6 時間前
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:2149.3
2025/01/18 17時07分35秒現在
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繊細な人の気配がした。オレンジジュースはひだまりのような暖かさですね。
1あーあれですよねーポッケに入ってた丸いチョコレイツはお徳用サイズの丸いやつじゃねいですよねーいあいあ描写がひとつひとつ丁寧で丁寧で…ちょっとそのヘッドフォンよこしなさいな!って意地悪したくなりますわよっ!また読めて嬉しかったッス!
1湖湖さん、ありがとうございます。 オレンジジュースは繊細で酸っぱいです。
1湖湖さん、ありがとうございます。 オレンジジュースは繊細で酸っぱいです。
1三明十種さん、コメントありがとうございます。 いじわるしないでください笑 前作の「バランス」の書き直しです。だいぶ違う感じになりました。
0六つの連のどれか一つを抜き出してみても作品になるだろうという感じがあるのですが、しかし六つの連を束ねて読んだときの、それぞれの連が最終的にパズルのように組み合わさる一体感のような感覚が薄く、複数の連で作品が構成されるメリットや、そこから生み出されるシナジーが上手く得られていないようにも読めました。 文の終わりを“る”で統一する(意図性も感じます)、その行為が読むときのリズムであったり呼吸であったりを、逆に単調にしているように思います。これは詩に限らずだと思うのですが、ました、である、のだ、だった、だろう、だろうか、など(書き出せば終わりが見えてきません)、文の終わり方に適度な違いを設けることで、読むという行為にメリハリが生まれてくるのではないでしょうか。 佐々木さんの作品は(全てがそうではありませんが)、遠くから双眼鏡で物事を正確に見定めている感じがあって、ときどき対象に思いきり顔を近づけてみたり、その匂いを嗅いでみたり、洋服を萌黄色にして草原を転げまわったり、あるいは門限を破ったりするような自由さに、作品が覆い尽くされてもいいのかなと思っています。表現力は十分だと思いますので、あとは思い切った出力なのかなという気がします。
11.5Aさん、ありがとうございます。 ほんとにおっしゃるとおりで、読み返してみると文末表現の単調さが思って以上に気になりました。 これであれば横書きでつなげた方がよかったかなと思うのですが、縦書きで改行して書き直そうと思っていたので、そこは文末や連のつながりの推敲まで粘り切れなかったわたしの力不足としか言いようがないです…せめて現在形と現在進行形を書き分けるだけでも印象が変わってくると思いました。 >佐々木さんの作品は(全てがそうではありませんが)、遠くから双眼鏡で物事を正確に見定めている感じがあって、ときどき対象に思いきり顔を近づけてみたり、その匂いを嗅いでみたり、洋服を萌黄色にして草原を転げまわったり、あるいは門限を破ったりするような自由さに、作品が覆い尽くされてもいいのかなと思っています。 確か書き始めたばかりの「終戦前夜」でもそう仰っていただいたことを覚えています。 そこから一年近く書いてきて、おそらくわたし自身が「遠くから双眼鏡で物事を正確に見定めている感じ」を基調にしている人間なんだとも思うので、なかなか思い切れないのですが、そこは作品を書いている中での気付きでもあるので、対象にどうアプローチしていくのかを改めて意識して考えていきたいと思います。
1僕は割と書き方の変化に意識を置いていて、書き方が変わると、考え方というか、対象を見る目が変わってくると思うんです。それは自分の詩作に対する考え方をまるっきり変えるというよりも、新しい視点が頭のなかに植わるような感じです。 佐々木さんの作品を全部読ませて頂いていますが、『爛漫』でほぼ文体というか、文章のリズムが完成されているように思います。なので、それ以降の作品(全てではありませんが)は表現力や伝達力が上積みをされている印象で、既視感(文体)を捨て去るというところまでは踏み切られていないかなと僕は感じます。 横書き・縦書きというのは、表現の形や、読みにくさを回避する方法であって、それが作品の良し悪しを大きく左右するものではないと思います。本当に面白い作品は、何書きでも面白いと思いますので、そこをあまり気にされる必要はないかと思います。 現状でも十分力のある書き手の方なのですが、だからこそ既視感を捨て、違う視点を取り入れて、作品をもっと佐々木さんの表現で埋め尽くしてほしいです。 じゃあ、どうすれば?ということなのですが、練習に、好きな作品の文体を真似して書かれてみられるといいかもしれません。自分が持っていない言葉のリズムを、頭のなかに入れやすいと思います。色々書きました(この作品のことを書かずにごめんなさい)が、また作品で語りあえたらと思います。
1んーやっぱり読みづらい(*_*;まず居抜き言葉にすることでラフさをおいているのかもしれないけどいつも気になっていた。文末も硬質さも敢えてやることで、感情を隠しているのだろうけど、いつも同じ印象を与え続ける。 物体として視界に映し出し続ける文面に魅かれはするのだが、それがなにかココロに響き動かせるかどうか、この詩はリライトであるけど、その惹きつける引力が、ただ淡々と物体として通り過ぎていってしまう印象。 文体を考えずに、この作品の内側だけをみての感想を書くのが難しくある。まず終始とても静かな作品だとおもう。だから読み手がこの作品に入っていかなければ、なにも受け取ることが叶わないように思った。この作品は力というよりひかりを集めたような、そんなオレンジジュース自体のゆらぎ、暖色の透明のグラスに入った甘酸っぱさともよみとれる。コレだけを読んでしまえば、評価は高いようにおもう。だがやはり文体の硬さが好みではないので、佐々木さんのものに上手く潜っていけないんだよね、わたしは。自分でももったいないなと思ってこうして、食わず嫌いをどうにかしようと試みているwすまん! これはやはりリライトであるし、佐々木さんの作風を知っているので、終始またコレかーという印象を喰らってしまった。わたしはうるさい?のが好きなので、まあそうなります、あまり気にしないでくださいな ただコメント欄をみてみると、しずかなもので。元の作品とちがい、なにかを感じさせることが難しく思えたのは何故か。やはり謎を呼ぶ仕組み、なんだろうと覗かせる強さが、カットされてしまったことによるとおもう。きみとわたしという二人の人物像もわからず、オレンジシュースというtitleから思い浮かぶのはせいぜい、甘酸っぱさだろう。この詩から君と私のズレのようなものを感じ取ることは可能だが、ただ文字にかいてあることを物体として見せられている。それをなにかしらの感情に変換できないまま読ませられたかんじがある。 暗喩としてどこまでも紐づけることは可能だが、前作のバランスという一つの答えとはちがうところに、振ってきたのだなと、ひとえに感心した。そういう側面のひらき方、参考になりますw冒険してるなと感じました。 文体に関しては、佐々木さんなりのこだわりがあることは見ていてわかる。でも敢えて佐々木さんが硬質な淡々としたいまの形にこだわり続けるのであれば、それはそれでみたい。私も散々言われているけど曲げないのでねw ただ単純に青空文庫とか流行りの小説とか記事とか、段落程度の長さでもテキトウに選んで声出しながら書き写すだけでもだいぶ、ブレスの感じとか書き手の手癖、まあリズムですかね、表現方法として読み逃すことなく見えたりするので、面白いかなと。変えようと思わずに自然とたのしく身につくのかなと思いますがどうでしょうーか
1久しぶりにこちらのサイトを覗いてみました。佐々木春さんの作品。「オレンジジュース」佐々木春さんの作品って単純な名詞だけの作品が多い印象がしますね。それだけに内容は複雑に込み入っていて、タイトルとの遠近感の面白さを含ませているのかな。と思いきや、逆にそのかけ離れ方に、なんだかな、とって付けたような、またか、という思い込みもしたりして、その遠隔操作には疑念を浮かべたりもしてしまうのですが、これはあの映画のシュールなタイトル「時計仕掛けのオレンジ」とは違い、タイトルにこころを奪われてしまうことはないのです。~動きを止めてオレンジ色の液体に浮かんでる。と終わりに動きとしての躰が描写されてますね。つまり同じような意味合いの邦画タイトル「水のないプール」とは正反対にオレンジジュースの上に語り手のカラダは浮かんでいるわけです。もちろんあたまの中に描くカラダとしての動きですね。はじめからそう読んでいくとこれは反転しながら世界観を眺めている。あるいは、見たい。という語り手の希求が動きによって表現されています。二度三度読んでそんな印象を掴みました。さすがですね。※画面がバグって仕方ないので焦りながら書き込んでます。誤字脱字があるやもしれません。ご容赦を。
1書きそびれましたが、ここで作者が主題として置きたかったのはオレンジジュースでもなくて空なんです。青い空とレンズのように見上げる丸い地球。そして青い空とは補色関係にあるオレンジ色。つまり絵日記にみるノスタルジーかな、と思います。
1「時計仕掛けのオレンジ」&「水のないプール」を持ち出したのかといえば、あのタイトルに置かれたような内面的に屈折した世界観ではないということ。屈折し反転しカラダを逸らして眺めみる世界は、あくまでも純真さに溢れた甘酸っぱい思い出だということでしょう。
1それぞれのコメントを読み込んで、考え直しました。ただの自己満足ですが書き込みます。たそがれをこぼれないようにオレンジジュースにして、自分をしずまないように浮かしているのか。(勝手に夜に向かうイメージを重ねてたから違和感だったアホです。)ノスタルジーではなく。きのうのキミに対して、うまく受け取れない、話者の年下の感情みたいなものを感じられる。そうするとこの繊細な揺れをオレンジジュースとして置くと、嵌まる気がする。だいぶ難しいけどそのぶん、底が深い、ンやっぱりこの形がいいんだ、変える必要がない、文体も個性になってるとおもうなあ。以上です。 佐々木さんアレルギーなくなってきたかも、オモロイことしてると思えるようになった(*^^)vヤッタネ
1各行が少しずつ、スライドしている感覚、を覚えるのですが、それは確かに5連目に書かれていように、グラデーションのように、微妙に浸透している(明確に分離しているわけではない)けれど、スマートに感覚(色彩や質感)を、伝えているように思います。
1やったー! AOIさんにそんな風に読んでもらえたー! と喜んでいます、本気で。 そして、この作品、書き直す前の「バランス」がわかりずらかったから書き直したのに、さらにわかりづらくなってしまうという…でも、丁寧に読んでいただいてありがとうございます。 みなさんの厳しい受け止めにどうコメントをお返ししようか考えていた(すべてその通りだと思うのでなおさら)のですが、いただいたコメントしっかりお返ししようと前向きになれました笑 ネタバレというわけではないのですが、全体的にAOIさんに読んでいただいたような感覚を持ちながらリライトしていました。少しだけ付け加えれば、ここの「きみ」は恋愛相手というよりは、「わたし」が誰かに(何かに)ゆっくり置いていかれているような感覚の裏返しとして、(物わかりが良くてやさしいんだけど、でもわかってくれない)「きみ」を置いています。 わたしはそれでもその速さについていくのではなくて、いつも(比喩として)遅れながら、でも感覚(すべての人がこの瞬間に少しずつ死に近づいて行っていることの感覚)を保つように力を抜いて液体に浮かんでる。そして「きみ」がいつか死んだとしてもそれを送り出す覚悟をしている、そんな感じでしょうか。 でも、そんなこと、この作品から感じるのはムリだな(そもそもだいぶややこしい感覚でもあるので)…とみなさんのコメントを読んで反省していました。というところで、AOIさんがコメントのように読んでいただいた(しかも何回か読んでいただけた)のでとてもありがたかったです。 とは言え、やはりわかりにくいものはわかりにくく、自分でも「なんだかな」と思うところもあります。そこらへんは計算問題みたいに地道に取り組んでいきたいと思っています。 ありがとうございます。
2ちなみに、オレンジジュースって意外と強い味がするんですよね。個人的に甘酸っぱくてからだにやさしいのは実はリンゴジュース(風邪のときに飲む)、色はまろやかだけどからだを巡るように強い刺激があるのがオレンジジュース(風邪のときに飲む気がしない)かなと思っています。成人男性があまり飲む機会はないかもしれませんが、どこかで見かけたらよろしければどうぞ笑
1すべて読んでいただいているんですね、ありがとうございます。そして、とても勉強になります、ありがとうございます。この作品でもわかるように自分の自由に書くとこのようなかたちになってしまいます。それがある意味で不自由ということかもしれません。 書き始めたばかりのころは本当に何をしてよいのかわからずに書いていましたが、だんだん自分のリズムに慣れてきてしまったのかもしれません。 >書き方が変わると、考え方というか、対象を見る目が変わってくると思うんです。それは自分の詩作に対する考え方をまるっきり変えるというよりも、新しい視点が頭のなかに植わるような感じです。 >じゃあ、どうすれば?ということなのですが、練習に、好きな作品の文体を真似して書かれてみられるといいかもしれません。自分が持っていない言葉のリズムを、頭のなかに入れやすいと思います。 今回、自分の作品をリライトする中で、あえて少し変えてみないと変わらないことはあるのだろうと強く思いました。ですので、少し練習をしていきたいなと思っています。好きな文体っていうものがあまりないので難点ではあるのですが…
1ちょっと文章が一本気すぎる気がしますが……。コメントでのオレンジジュースの味の描き方、 素敵です。こんな繊細な感性を持っておられるのなら、詩にも同様の資質が期待されます。 感じたところを書く、つまり抒情詩を期待します。
1もう、なんというか...手合い違いの実力すぎて、かわいた笑いが出た。 格が違うんですよね。
2メルモさん、お久しぶりです。ありがとうございます。 恥ずかしながら「時計仕掛けのオレンジ」も「水のないプール」も見たことがないので、コメントを正確に理解できているか自信はないのですが、 >オレンジジュースの上に語り手のカラダは浮かんでいるわけです。もちろんあたまの中に描くカラダとしての動きですね。はじめからそう読んでいくとこれは反転しながら世界観を眺めている。あるいは、見たい。という語り手の希求が動きによって表現されています。 というのはおっしゃるとおりだと思います。 浮かんでいるか浮かびたいと思っているかどっちかですね。 そして、 >ここで作者が主題として置きたかったのはオレンジジュースでもなくて空なんです。青い空とレンズのように見上げる丸い地球。そして青い空とは補色関係にあるオレンジ色。 というのもコメントを読んで確かにそのとおりだなと思いました。わたしも空のことを考えながら書いていました。そこまで読めてしまうのがすごいです。さすがです。 最後のコメントの >屈折し反転しカラダを逸らして眺めみる世界は、あくまでも純真さに溢れた甘酸っぱい思い出だということでしょう。 ここについては、ひとえにわたしの力不足、そして、読まれる方の受けとり方なのだと思いますが、AOIさんへの返信に書いたように、「わたし」の他者(きみ)からの「遅れ」、そしてすべての人がいまこの瞬間もみんな死に近づいているみたいな当たり前だけど考えたくないことの受け入れから「オレンジジュース」という題名にしました。(もちろん「なんで?」という疑問があれば具体的に答えられるわけではないのですが…) あと、「屈折し、反転し」というところは、たぶんこの「わたし」自身が公園の枯れた芝生に寝っ転がってるのかもしれないなと思いました。 丁寧にコメントいただきありがとうございます。
0そうですね。希求と書き込んでいながらにノスタルジーとは少し時間にズレがある。AOIさんのおっしゃるとおりでしょう。遠い追憶というよりも近しい記憶の思いからでしょうね。映画おもしろいですよ。是非観てみてください。
1ありがとうございます。映画自体そんなに見たことないので、見てみようと思います!
0ryinxさん、ありがとうございます。 わたしの感覚もあまりリニアではないので、一行一行少しずつずらしながら書いてる気がしています。 なので、 > 各行が少しずつ、スライドしている感覚、を覚えるのですが、それは確かに5連目に書かれていように、グラデーションのように、微妙に浸透している(明確に分離しているわけではない) というコメント、それを受け取っていただいて静かにとてもうれしいです!
1黒髪さん、コメントありがとうございます。 確かに単調になってしまったなと思っています… 地道にがんばります。
0おまるたろうさん いえいえ、そんなことないです… これからもよろしくお願いします。
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