水鏡に満月が宿り、
しずやかな川面を見ると
凪の時を迎へてゐるのが解る。
ぽちゃっと魚が跳ね、
尚更、静寂が心に沁み
川中に立つ柳の木は
その葉葉を落とし、
そよ風には柳の葉のない枝が
さらりさらりと音を擦らせては、
川面の波紋が岸辺に届く。
ゆらりゆらりと世界が揺れる。
月下の中、夢ばかりが先立つ玄黄に
幻ばかりが釈尊の立像の如くに立ってゐるか。
光背に捲かれて盧舎那仏に変化し、
満月に負けぬ絶妙な光度の蒼き微光を放つ
存在になり果せてゐるか。
そんな夢の中で、
もうとっくに死んだ愛犬が
その死の時を待つやうに
東を向いて
局部を勃起させてはそこから零れる精液が
小さな野花のやうに固まってゐる。
蒼白くも黄みがかった月光は、
吾を透過し、
影はなし。
ゆらりゆらりと世界が揺れる。
さうして森羅万象は幻夢に惑ふ。
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 293.7
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-01
コメント日時 2025-01-07
#現代詩
#歌誌帆掲載応募
#縦書き
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:293.7
2025/01/18 16時41分59秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
森羅万象は幻夢に惑ふ いい詩句ですね。
0此の度は、歌誌「帆」自由詩掲載欄へとご投稿を賜りまして、允に有り難うございます。 此処で、重要なお報せなのでございますが、 第四号始動期間に大幅な変更がございます。然るに、皆様に於かれましてもご傾聴を賜りますと嬉しく存じ上げます。 第四号用草稿に附きましては、本年夏季-初秋季より始動、着手とのご意向へ遵いまして、募集をさせて頂きたく存じ上げます (つまり、当初予定より一箇年弱程猶予を置きましての募集と為ります)。 多くの皆様のご応募を賜りまして、允喜ばしく、感謝も頻りなのでございますが、投稿を為される地点にて、 上記の事情の斟酌の程を、何卒宜しくお願い申し上げます。 御作を、拝読させて頂きました。 先ず、一つの幻想的叙景にて前半は構成をなされていらっしゃる。成程に、其れだけでも一作品とは為り得ましょうが、 御作の秀逸なる箇所は半ばより、「死んだ愛犬」の描写が加わる処でございましょう。 之により、詩作品が単純なる幻想記述に留まらず、 或る種の実感性を伴いました複層性、及び時間軸上の非-直線性を意図的に表現していらっしゃる。 思わず、唸らされました次第でございます。他界と斯界の境界を越境し、往還し、混成なされる様な技巧は、 既に凡庸の水準より大きく跳躍を果していらっしゃると申しましても、過言ではないでしょう。 此の水準、或は其以上の次回作にも、甚だ期待を致して仕舞います次第でございます。 それでは、復のご挑戦をお待ち申し上げております。 此の度は、ご応募ご投稿を賜り、允に有り難うございました。
0「ぽちゃっ」「さらりさらり」「ゆらりゆらり」と擬音が効いてます。
0