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メッリイ/チリシテマス
ゴンドラからの景色は全てが美しかった。そして今日この瞬間の連続も総じて輝かしい。 ある12月サムい19時半。目に突き刺さって来るilluminationは彼女の顔を照らす間接照明ですらなくて、普段のラブホテルとしての効力を一切持っていなかった。 何も上手くいかないということは素晴らしい。今まで積み上げて来たものや用意した、そしてそのコンマ数秒前までの夢想を破壊してくれる。この根源的なデストラクションは実に私に心地よい絶望を与えてくれるし、新感覚派の作家になった気分だ。周りのニンゲンで影響された私は時の流れに身をまかせ自らをドラマトゥルギーに修辞する。何もできない自分を卑下していることを一つメタの視点で自己肯定することで簡単に感傷的な物語が成立しうるではないか。川端康成の小説みたいなことをして果たして私は何が得られるのだろうか。ただ彼女にイヤな目で見られてせっかくのイルミネーションがただのスポットライトだ。傍から見たら目立ちたがり屋で、こちらからも目が痛い。 三時間程自らを砂時計に見立ててから銀河鉄道に乗った。私の牛乳は家に届いていないし、お母さんはいない。俺こそ最初から存在しなかった。周りの関係が狭めた最小単位が私そのものだ。銀河鉄道の乗り心地は劣悪だったが、見えた光景は何よりも美麗で綺麗で麗しかった。 別れ際のあいさつは今までにない小さな声でバイバイと呟いた。夜の電車にその独り言は運ばれていった。
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メッリイ/チリシテマス ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 303.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-26
コメント日時 2025-01-14
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩なんか誰も読まない かもしれない。 夜の電車は言葉をのせて どこへいくのだろうか? そうおもうだけでも おもしろいというのにね。
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