もう動かなくてもいいと言われて
時間が自由を手に入れる
僕は君を気にし始めてる
はっきりと
理解まで
し始めている
「行かなくていいのか?」
いやまだ引力が残ってる
カメラ窓から逃げた
こっそりと今、逃げてった
美術館に行こう
昨日より数ミリ伸びた前髪
その声を頼りに歩き出そう
ストライプのシャツで
色も幅もたちまちお揃いで
相談なら相手になるよ
雑音を除いた部屋で吐息と
微かな衣擦れと、靴の音
それだけ持って森の奥
美術館に行こう
宇宙が孤独と言うのなら
僕は誰かの孤独の中にいる
君を夢中にさせるものを隠したままで
もっと夢中にさせるものを探しに行く
美術館に行こう、風の裏も見よう
翻るスカートが燃えて
木漏れ日は病魔を増やす
間接キスの証拠を出来るだけ集めよう
美術館に行こう、病院はやめて
知らない誰かの肖像画を見よう
そして薄暗いアトリエで過ごした彼の
思い出話を聞いてあげよう
カメラやっぱり窓から逃げた
追われるように逃げてった
下世話なニュースも一緒に連れて
後ろ姿を見送りながら僕は
しばらく遊んでおいでと言ったんだ
これから始まる長い無言劇
君の出番はいつだかわからない
驚いてばかりの僕は背景だ
一本の樹を演じ切れるんだろうか
美術館に、行こう
そう言った君の声が
もう明日の僕の髪になる
また数ミリ伸びる
バスを降りたら口笛吹いて
庭園を横切り手を振って
歩いて行こう
そこで晴れやかに
二人になろう
作品データ
コメント数 : 16
P V 数 : 991.7
お気に入り数: 1
投票数 : 6
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-03
コメント日時 2025-01-14
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:991.7
2025/01/18 16時56分07秒現在
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(S)さわやか(F)ふしぎ のSFですかねーうんもう脳がシューシュー湯気出てます(出てないけどね)最終連だけ何かふっきれたような感じを受けましたよー感じですけどねーありがとうございました。
1>もう動かなくてもいいと言われて >時間が自由を手に入れる ものすごい吸引力のある導入。 お好きじゃなかったら申し訳ないんですが谷川俊太郎さんの作品を読んでいるような錯覚がありました。(私は谷川作品すごく好き♡)ソフトで心地良いのに強度のあるフレーズの連なり…美味すぎる。
1ありがとうございます。人生さわやかに生きた方が勝ちです。毎日コカコーラを飲んで80年代のようにスカッとしましょう。ちなみに私はS(スーパー)F(フール)です。
0ありがとうございます。谷川俊太郎は実はあまりよく知らなくて、昔近所に住んでたんですが、まだ私が詩を書き出す前の時代で、今だったら押しかけに行くのになー、惜しいことをしました。 高校生の頃マザーグースに夢中になって、その翻訳が谷川俊太郎さんでした。アルバムも買った。接点はそれぐらいで、今度ちゃんと読んでみます。好きになるかもしれない。
1快活。髪の長さの話が出てくるところも含めて、一時期の吉田拓郎さんを思わせる小洒落たフォークソングの世界です。作品によってGSっぽかったり、ニューミュージック以前の邦楽を思わせる言葉感覚。そこには音楽の持ってるリズム感や言葉の響きの影響がある。今もこういう風景はあり、撮影するカメラが違うため、少し風景がレトロになる。そんな印象。ストライプシャツはビーチボーイズを思わせますね。昔も今もデートに行く内容は変わらない。素敵なものを二人で見る。そのロマンティックに乾杯!
1まだ声が錯綜していて、詩が明快なイメージを結びませんでした。文字で書く詩として、 一貫性を持った意識が話す詩の方を、僕は好みます。
1ありがとうございます。古き良き時代の歌謡曲のテイストにはこだわりたいと思っていて、吉田拓郎も今聴くと凄いですね。めっちゃシャウトしてて。井上陽水とかも、現代詩として読んでもいいんじゃないかってくらい。なんというかあの時代のものってまだ十分語り尽くせてない部分があると思ってて探っていきたいと思ってるんですよね。
1ありがとうございます。おそらく錯綜してる状態こそが詩として正常な状態のような気がしてます。はっきりとイメージが結ばれてしまったらそれは眠りに入ってる状態なので、私は叩き起こしてしまうかもしれませんね。
1第一連は、「作品」と「鑑賞者」の関係のように見えますが、第四連、「作品」側の目線だと思うのですが、カップルの姿が浮かび上がってきます。「いつの間に」、と驚きました。 第三連で、徐々にシフトされています。美術館に、一人ではなく二人で行くことが増えてくる。「作品」の前から、こっそりと逃げていた「鑑賞者」は、他に夢中なもの(=恋人)ができてしまって、「やっぱり」逃げる。「追われるように」逃げる(本当は恋人を追っているのに)。 だからこそ、「作品」としてではなく、「一本の樹」としてその二人の背景になろうとする。作品は君たちだろと言わんばかりに。 ここで、私はなるほど、と思いました。「作品」は、「作品」としても鑑賞でき、かつ、「背景」にもなってくれるのが理想なのかな、と。 私も美術館に行きたくなってきました。良い詩です。
1芸術というものは内的でありつつも外的でもあるという摩訶不思議な分野だと思っています。 「宇宙が孤独と言うのなら 僕は誰かの孤独の中にいる」 つまり美術館はまさにこの一言に尽きるのではないかと。孤独を共有しつつも、それをエネルギーとして日々を進めてゆく。負の要素すら友達にして走ってゆく。まるで、額縁から飛び出したモチーフのような詩だなと感じました。大好きです。
1ありがとうございます。美術館は私も好きな場所で、特別な時間が流れている気がします。この詩は「カメラ窓から逃げた」のワンフレーズがまず先に浮かびまして、そこから前後へと展開を広げて行きました。恋が確信に変わった途端にカメラがこっそりと逃げてゆくというイメージが気に入りまして、筋立ての部分はどうとでも解釈していただいて結構です。あって無いようなものですから。 美術館に行きたくなる、それこそまさに私がこの詩を書いた一番の理由です。
1ありがとうございます。誰と一緒に行ったとしても美術館の中では作品と自分、一対一の対話になりますね。私はそうです。孤独で良かったと思える場所であり、途端に誰かを恋しく思える場所でもある、ような気がします。 大好きと言っていただいて嬉しいです。
1カメラは真実を写すか?スマホ以前の頃は写すのがカメラのアート性で優秀さだったが、現代はカメラも虚飾を写す事のほうが増えてしまった、そういう意味でのカメラ逃げたなのかな。雑音の無い部屋や無言劇の例えも音や視覚を苛まれる現代にマッチしてちゃんときときとの現代詩してらっしゃる。ストライプのシャツも暗喩めいて良いし、全体的に端的でまとまりが良く、恋や孤独や病が並走しているのが詩の巾を広くしていて良いです。
1ありがとうございます。若い頃は私も特に理由もないのにカメラを持ち歩いては気になるものがあればパシャパシャと撮っていました。作品という意識は特になかったのですが、なんとなくそういうことしてる自分が好きで、ただかっこつけたかっただけなのかもしれないのですが、今となってはその時の感覚が、被写体である対象物との距離感や関係性を調整するのに役立っていると感じます。 きときとの現代詩という表現はちょっと新鮮な響きですね。
1タイトルは美術館に行こうですから美術館は重要なワードだと思うのですが、矢張り私が注目したのはこれから始まる長い無言劇でした。無言劇の意味とは。燃える翻るスカートとは。「君の出番」とは無言劇におけるそれでしょうが、無言劇の出演者、君の存在を考えるとこの詩は輝き出すような気がしました。
1ありがとうございます。コメントを読んで昔、といっても80年代、転形劇場という劇団の水の駅という無言劇を見に行ったことを思い出しました。台詞の一言も無いお芝居なんですが登場人物は泣いたり怒ったり叫んだり全て無音でした。静かに息を吐く音だけが聞こえてくる、美術館はそんな無言劇に似ていると思いました。
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