きみのオデコはとがっている、おやすみと言うたびに、やだやだされて、それはちょうど夏の虫だったから、掛け違えたボタンが蝉のように、ポックリ病だ、ぼくはきみを目覚まし時計と間違えていた。
縞模様のパジャマだった、水墨画のようにきみをおもい描けば、薄くひかれた瞼が、ヒダリ耳までのび、そのまま赤道と交差して、光を帯びた、旅客機のかたちで、光のさきに、旅仕度はいらないけど、先ずは皺くちゃになった星空に手を伸ばす。きみの足をポークビッツだとばかりおもっていた、ぼくはかに座です。
海岸堤防の階段‐蹴込みの両隅は黒ずみ‐時々白く濁る‐ぐんぐん駆け登ると‐まだ誰も走ったことのない‐空まで続く巨大なハイウェイが現れる‐振り返ると‐せり上がった家並みに浮かぶ‐エンジンの搭載されていない‐六畳一間の小船の船底で‐大波に遭難したきみは眠っている‐今夜も夜通し救難信号を送っていた‐ぼくはひるがえり‐波打際まで一気に降りる‐砂のひとつも色を帯びずに‐でも、今はハイウェイを横切る玩具の漁船が‐どこかの釣り人に釣り上げられ‐岬の手前からふいっときえた‐しらみはじめた空で解体された‐星座群がその後を追う‐夜が溶け、墨汁のような海原に‐ぼくは飛び込んだ。
ずぶ濡れで帰る、未亡人の大家さんに見つかる、ぼくはブリーフ一枚、指先にひっかけたハイカットから点々と海岸まで続く海のにおい、きみのポークビッツをかじるイメージで、大家さん、おはよう、歯ざわりのよさに、振り返っていた、きみのオデコと息き絶えたボタンに触れる、EDWINと砂のついたTシャツを流し台にほうり込んだ、どこにも飛び立たない旅客機は疲れきっている、小船に溢れた七月に、息もできないかにが泡をふいて、船底をうろついていた。
作品データ
コメント数 : 11
P V 数 : 616.5
お気に入り数: 0
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作成日時 2024-11-08
コメント日時 2024-11-14
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 20時57分29秒現在
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い い ね す ん な 。
0逆から読んでも 。なんすねいい コメントをありがとうございました。
0鍵穴こじ開けるよ。名前を伏せつつnoteでさんざんネタにするよ。なもんだから今のうちから重畳に重畳に #震え上がっておきなさいよ
0妄想から妄想へと巡り更にその妄想が結局どうなるのでしょうか? 妄想によって様々な単語が書き廻らされるのは下の受賞作品「わたくしはそこよりうえにある」とおなじような動機の位置づけだとは思うのですが、違いをひとつ挙げれば、最後まで話者としての現実感に乏しい。という処ではないでしょうか。実際目覚まし時計が鳴らなかったことでどうなるのでしょう? その辺りの語り手が表現されていない、みえてこない。ということだと思います。
0何言ってんのかわかんねぇ ごめんなさい でもありがとうございます。
0読むことも書くことも辛くて苦しい。 目をさまさない卑怯な人の卑劣な作品です。 良いこともあるさとそんな風に投稿しています。 新貝さんコメントをありがとうございました。
0↑ ごめんね。漢字にすれば洗う貝なので、洗貝。新じゃない。まあ、どっちでもいい。.アントニオ.ミカエル.メルモsアラガイsなので、
0この詩、12年前に文極で拝見しました。懐かしい。
0その時もコメントをいただきましたね。6262さんからこうしてコメントをいただけるのは嬉しいです。ありがとうございました。
1おお、12年前の詩の再掲なのですね。すごい。 なんとなく立ち止まってしばらく読みふけりたくなる感じがしました。 お互いの星座について話すのって、恋愛感情の告白なんだよなぁ とゲームでふと知らされたことも書いておきます。
0どこから引っ張り出してきたの⁈って感じで私自身もびっくりしてます。書くというより話すということの方が詩に近づけるのかもしれないと羊飼いさんのコメントから思いました。訳もわからず書いてまた話せるときがきたらいいなって。こういうのもたまにはいいじゃんって。コメントをありがとうございました。
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