ややこしいとさんざん思っていたものたちが
いまは宝石のようになっていた
たとえば
どこかの商店街のなかにあった
わたしのこころなどは
失われてしまったのだけど
僕を連れて
わたしも連れていったその風は
いろんなところをまわって
一周してきたみたいだった
どこをまわってきたの?
と聞くと
たくさんの海とたくさんの日
と言って
またわたしの前から去った
春キャベツが売っていた
そこはホテルで象をモチーフにした
彫りがホテル名のプレートの下にあった
「これは象だね」
「そうかもしれない」
「かもしれないってどういうこと?」
「風なんだ」
野菜スープを食べる
コーンが入っている
キャベツが入っている
それだけで嫌な気分になってしまう
みずみずしい言葉たちが
かがやきさえ失う
ああ、やっぱり風だったんだ
そういうことだね
金色になった髪の毛はほとんど見えない
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 926.3
お気に入り数: 0
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-14
コメント日時 2024-09-18
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:926.3
2024/11/21 20時54分29秒現在
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すげー
0ハイデガーがいうような意味で、本当の詩だなと思いました。
0ふと風にあたった時、不意に「懐かしいなぁ~」と思うことがあります 私はその瞬間が寂しくて、でも大好きです 素敵な詩をありがとうございます!
1素敵な作品だと思いました。 なんというんでしょう、円熟味というのでしょうか。 わたしはあまりリアルな商店街というものの思いがないのですが、一箇所だけ「僕」が登場して、その声の幼さは思い出、回顧ということなんだろうと思いました。 (あるいは谷川俊太郎さんみたいな僕なのでしょうか)
0光栄です。
0不勉強でハイデガーがいう詩とはなにか知らなかったのですが、調べたらすごくよさげに書いてあったのでうれしいです。
0すごくその気持ちわかります。わたしにも、そんな気持ちになるときがあります。素敵だなんて、もったいないお言葉です。コメントありがとうございました。
1すこし前に書いたものだったので、わたしも「僕」をどんな意図で書いたのか覚えてないんです…。なんだかすみません。 素敵だと思ってもらえてうれしいです。コメントありがとうございました。
0短文の流れに余白がとても効いていると思う。 普通に書いてあるように見えて、 不思議な余韻を感じます。
0うれしいです。コメントありがとうございました。
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