気づけばボロい地下の駅
かつて志を共にした
友らは綺麗に着飾って
私には目もくれず、
ある行き先へ歩みだす
黄金電車が停車して
重い扉がゆっくり開き
友らを優雅に歓迎する
"私も一緒に連れて行って!"
モスキート音は凪に変わり
招かれざる客を追い払っていく
追いかけても追いつかない
いくら叫んでも届かない
それでも走る、とにかく走る
扉の前まであと一歩、踏み出せば乗れる距離
"カケコミジョウシャハキケンデス"
と、アナウンスが頭部をブチ抜いた
扉はバタンと固く閉じ
電車は彼方へ走り去っていく……
次の電車は待てども来ない
残されたのはみずぼらしい私
もう、誰も振り返らない
誰も私を見てくれない
私が忘れ去られていった
その瞬間が見えたんだ
汚いホームのど真ん中
開き直った私は裸足のままで
きらびやかな地下街をのし歩いた
マダムが好む高級志向、庶民が入る隙間はない
だけど私は貴婦人を真似て
高いお菓子や服を貪り
宝石を身につけ、そそくさ逃げる
お金なんて無いくせに
どうせバレることもない
誰の記憶にも私は残らない
広告パネルは名画のように
夢想の時を映し出す
ブロンドの髪の乱れ具合は
あの日眺めた黄金花火
芽を出す夢を見る花たちは
雄牛の喘ぎと快楽のために
無数のコインを賭けていく
踊り狂う筋肉の要塞
乱れ咲く桃の花
百合の痛みと薔薇の官能
豆を震わす痺れまでも
綯い交ぜに、あやふやに
膨れる欲を萎ませる
わざと忘れた靴のことは
最早、脳髄の隅にも置かれていない
そうこうするうちに電車が来た
疲れ切ったグリーン車
ゾンビの乗客、目は虚ろ
私も所詮その一人、キセルを吸って堂々と
ー終点は夢の果てー
アラームが鳴る、意識が戻る
あぁあ、今日は月曜日
作品データ
コメント数 : 20
P V 数 : 841.6
お気に入り数: 0
投票数 : 5
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-02
コメント日時 2024-09-08
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:841.6
2024/12/04 02時23分43秒現在
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ただただ、共感しかないです。 私も同じ境遇。
1競争社会の過酷のなかで皆が感じていることを代弁しているような親近感を覚えた。されど、詩を書く価値は競争社会の過酷の原理にたいして垂直にたって花を咲かせていて、落ちこぼれと勝者に人を二分しないと私は信じています。例えもお上手で詩としての可読性が高くするする読めて良かった。
1……なんか、ここ最近の田代さん、本当に作風を変えようとしてるなあ。 「ブチ抜いた」、なんていう表現も恐ろしくて使えなかったような人に思っていたけれど。
1コメントありがとうございます★ 共感できる点が多いとのことで嬉しいです♡ 周りが成功していく中で一人不安と孤独に押しつぶされて自堕落になっていく様を表現してみました。
1私も同じですよ。 血だるまになりながら必死に這いあがろうとしています。
1コメントありがとうございます★ 作品の中から一番伝えたい事が伝わって嬉しいです♡ 最近私の周りで友人達が成功していっていいなぁって思う気持ちと自分はつまらん人生送ってていいのかなと思う気持ちを走り去った黄金列車やボロボロのグリーン車に例えて表現してみました(*´ω`*) ちなみにグリーン車にした理由は緑の色に嫉妬という意味があり、成功していく友を羨ましがる気持ちが強い主人公の心理を表現したいと思ったからです。
1コメントありがとうございます★ 作風ですねぇ……( ・ั﹏・ั) 最近、色んな書き方や表現の仕方をしてみたいと思いまして、色々実験している最中です。 いつかまた綺麗な詩が書けるよう頑張ります★乞うご期待!
0短編小説のようなスピード感と絢爛な詩情が、なんら矛盾なく同居している、もっと言えば高め合っているようなところ、凄いと思いました。 物哀しい話なのに、不謹慎ながら、まさしく夢の中を駆け抜けるような流麗な文体に、瑞々しい質感で胸は一杯になってしまいました(笑)
1コメントありがとうございます★ "短編小説のようなスピード感と絢爛な詩情が、なんら矛盾なく同居している、もっと言えば高め合っているようなところ、凄いと思いました。" ↑本当ですか!?ありがとうございます★ 成功者と落ちぶれた自分の対比を強調したく、豪奢な表現とみずぼらしい表現を入れてみました(◍•ᴗ•◍)
1「誰にも必要とされてない」感を、ふと覚えてしまうのは誰しも同じでしょう。 「百合の痛みと薔薇の官能」というところが個人的には好きです。
1ボクは「豆を震わす痺れまでも」が好きです 表題のゴールデン・✕✕✕って、 地下鉄(メトロ)というよりはなんとなく【レトロ】っすね‥‥ ソニア・リキエルの服とか着たオバサマたち、 高級すし店のカウンターにずらりと並んだオバサマたち、 そーゆー素敵なオバサマたちが、 今、入居に1憶円とか支払って介護付き有料老人ホームにいる かと思えば、 エレベーターのない団地の4階で独り暮らしている‥‥ なんだかなあ、、
1コメントありがとうございます★ 素晴らしい着眼点!アッパレです!(≧▽≦)b 自分の周りで成功していく友人たちに置いてけぼりにされいつしか忘れ去られていく、そんな不安感や物悲しさを作品のテーマにしてみました★
0また、お気に入りのフレーズが見つかったとのことで、嬉しいです♡
0コメントありがとうございます★ " ソニア・リキエルの服とか着たオバサマたち、 高級すし店のカウンターにずらりと並んだオバサマたち、 そーゆー素敵なオバサマたちが、 今、入居に1憶円とか支払って介護付き有料老人ホームにいる かと思えば、 エレベーターのない団地の4階で独り暮らしている‥‥" ↑なるほど!読み手によっては、そのような解釈も出来そうですね( ꈍᴗꈍ)私自身も読み返してみて新発見です★ 作品から色んな解釈やお気に入りのフレーズが見つかったとのことで嬉しいです(*´ω`*)
0ゴールデン・メトロという題がいいですね。言葉の使い方が自由で、話者、主人公が、 地下鉄に乗り遅れて、「不思議の国のアリス」的な世界が続いて行くのが、面白いです。
1コメントありがとうございます★ ネーミングや構成、言葉選びは結構こだわっているので、楽しく読んでいただけたとのことで嬉しいです(*´ω`*)
1勢いのある作風で、颯爽とした雰囲気を感じました。 私も着飾って無理していた時もありましたが、最近は背伸びしないでのんびりと過ごしています。
1コメントありがとうございます★ 今回の作品では、一緒の道を歩んでいた友人達が次々に成功していき、自分が周りから置いていかれる不安を地下鉄に乗り遅れる様子で表現してみました★ やっぱり無理して着飾るよりも自分らしくゆったり生きるほうが楽しいのかなと私も最近感じます(笑)
1共感というのとは少し違いますが、カジュアルな表現で赤裸々にストレートに語っていて、よかったです! すごい世界ですね。
1コメントありがとうございます★ 今作も楽しく読んでいただき、光栄です(≧▽≦) 世界観がよかったとのことで嬉しいです♡
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