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問い
「産まれてこなければよかったか?」 牛に聞いてみた 耳をそばだて じっと見つめてきて 近づいてきた でも答えない 濃厚飼料で肥え太った もうすぐ出荷される牛たちは 代わりに “うしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうし” と効果音を出して集まって来る 耳をすませば 牛舎中 牧場中 そんな効果音で溢れに溢れている 問いは 暴力的なまでに消え去った 今生きているのだから 死ぬまでこの効果音は止まらない 止めようがない “うしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうし” 好奇心全力で 鼻を近づけて 頭突きして 大小便を落としていく 気が付けば 牛が周囲を取り囲む 効果音で合唱する 牛たちが舐め回してくる なあ 俺からもそんな効果音は 聞こえるか?
問い ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 860.0
お気に入り数: 3
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-21
コメント日時 2024-05-26
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
すごい詩です。一気に牧場の中に、張り詰めた雰囲気の現実に戻されました。
0ここまでの評価をくださるとは! 職場が肉牛を育てる牧場なのですが、牛舎の一つに出荷されるために大きくされた肥育牛がいます。 その牛の様子と、最近読み返している反出生主義について書かれた「生まれてこないほうが良かったのか?」(筑摩選書)としばしば目にする産まれてきた事の苦悩を書いた詩への自分なりの違和感が結実して書いた作品になります。 あと”うし”というのをかなり繰り返したのが特徴になりますが、たまに自分がやる表現になります。 牛は好奇心が臆病な反面かなり強く、牛の集団の中に入ると大体物凄い興味深そうな目で牛に取り囲まれます。 その様を表したらこうなりました。 張り詰めた空気でも、牛は効果音を生きる限り出し続けています。
0人間である作中の人は牛舎で生きる牛と自分を重ねて見ているのでしょうか? 問いに答えない牛でも舐めてくれるのは好奇心ばかりではなく、いつも側にいる人への愛情表現かもしれないと思いました。
0>“うしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうしうし” 「モーぉ」じゃないのですね。言語判定。 反出生主義いってるやつは牛舎にいけばいい、って素敵な回答ですよね。平和的解決。
0衆生六道皆仏滅、仏非非仏死皆万有(適当ですので、漢文としても意味が通らないとは思われますが)。 皆命あるもの、命なきものとて平等に脆く逞しく、尊い。と仰られていらっしゃる様でして。 「神變」など到底出来ようもない私等にも等しく、佳いなあ、と思われました次第でございます。 それと。 蛇足だぜ。 おまるたろう君よ、 なかなか懸命に良い批評をしてるじゃねえか。 後は頼むぜ。
0"ひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひと" 聞こえてきました!羽田恭さんの詩を読んだらすぐに。
0牛は初対面の人間に対しても警戒しつつ好奇心まかせに近づいて舐め回してきます。 愛情はあまり関係がない気はします。 生きているという点では牛も人も同じなので、この作品はできた面はありますね。
1どうも反出生主義は古代ギリシャ哲学や古代インド思想から存在しているものらしく、原始仏教はもう二度と生まれ変わらないのを最終目標にしていた面がありそのために出家というシステムを組んでいたという説があります。 となると牧場で牛をかわいがるだけでは解決しえないでしょう。 それでも全力で生きている牛はかわいいのですが。 好奇心任せで近づいてくる牛ってモーとは鳴かないんです。 いつの間にか近づいてきて取り囲んでいる牛たちを見ていると、効果音を感じたのでそのまま書いてみました。
0>皆命あるもの、命なきものとて平等に脆く逞しく、尊い。と仰られていらっしゃる様でして。 それはありますね。 とりあえず牛はなんであれかわいいです。
0>"ひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひとひと" 書いてみればこれはこれで面白いですね! ゲシュタルト崩壊しながらも、なんかリズミカルですし。
0ちょうどタイムリーに、このまえ友達と飲んでいて、 反出生主義の話題になったのです。 そいつ曰く(反出生主義いってる奴)全員集めて、 地雷原を全力疾走させたら治ると。 そんなことがあったので、 羽田恭さんの作品で目が覚めるような想いだったですね。 古代社会は殺人と破壊が蔓延してました。 そのころに反出生主義が台頭したというのは、 直感的にも「そうだろうな」という気がします。 現代社会で反出生主義が再び盛り上がっているのは、 殺しは減ったが、その代わり、 競争が過度になっているからだと思うのですよね。
1なるほど。競争が過度だから反出生主義が盛り上がっている。 そういう面はありそうですね。 なら少しだけそういう思考があるという程度の人であれば、牧場でそんな思考は消えるかもしれないですね。 効果音が聞こえるまで牛を世話したり可愛がったりし続ければ、変わるかもです。 なお、牧場は基本人手不足なので、やる気があれば歓迎いたします。 競争はあんまりありません。
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