恋心のポケットの中で夢を見ていた
そこはうっとりと安全で甘い空気をしている
そのポケットの部屋は外の世界を忘れさせる
着られなかったウエディングドレスよ
私はポケットがいっぱい付いたドレスをいたずらにデザインしたことがあった
子供の頃の夢を持ったまま花嫁になりたかった
無数に付いた空のポケットは夢見た数だけある
その一つ一つに欲をかいて飴を入れるのも良かった
すると空耳する砲弾の音と銃撃だ
2024年5月現在、
ガザで三万五千人が殺された
その内四割が子供たちだ
悲鳴、恐怖、阿鼻叫喚と穴だらけの体、
乾いた地面に滴る血、
あなたたちのポケットいっぱいの夢は血にまみれて戦禍に燃えて消えた
大人に殺された子供たちよ
私は着られなかったウエディングドレスの無数のポケットに
殺された子供たちが蚕のように眠っている夢を見て明け方に目が覚めた
着られなかったウエディングドレスよ
墓石として、磔の十字架として、叶わなかった希い、
握りつぶされた未来よ
張り裂けるか、無念のポケットよ
沈黙の命に、皆、ひとりひとりの大切な名前があったのに
白無垢のドレスは白でいられないか
大人の罪よ
作品データ
コメント数 : 11
P V 数 : 1048.2
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-15
コメント日時 2024-05-31
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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2024/12/22 15時18分29秒現在
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こんばんは★ 作品読ませていただきました。 "私は着られなかったウエディングドレスの無数のポケットに 殺された子供たちが蚕のように眠っている夢を見て明け方に目が覚めた" この部分から願いが叶わなかった自分と生きられなかった子どもたちを重ね合わせているように感じられました。 また、全体的に読んでみてポケット=心にしまい込んだ願望ともイメージができました。 生きたいと願う子供達が少しでも報われるといいなと思います(泣)
0コメントありがとうございます。的確な感想をありがとうございます!戦争を個人が止める力をもてる未来を望みます。
1宗教詩かなと思いつつ読みました。人間の心には大人と子供の側面があって、どちらか一方に振り切れると悲劇が起きる。そんなことを思いました。
0そうかもしれませんね。童心を忘れない大人であっても稚拙な子供ではいけないですね。コメントありがとうございます!
0私の詩は何がダメなのか?親切な人、誰か教えてくれないかな?大味?古くさい?平凡?
0時事的な話題がしっかりとこの詩の屋台骨をしていて説得力のある詩だと思いました。勿論この詩は何か大言壮語な主張がしたいのではないと思います。ガザの子供たち。殺された人々。無数のポケット。空のポケット。着られなかったウェディングドレス。無念のポケットはいまだに哀窮の念を持っているのかもしれません。
0そうなんです、大言壮語ではなく、この重たい話題を書きたかったんです。自分の個人的悲しみと社会問題を重ねて混じりたかった。コメントありがとうございます!
0「私の詩は何がダメなのか?」 とコメント欄の静かな叫びが見えたので、人のことをあまり言えた立場ではありませんが、少々その点を……。 ガザについての詩、多くの方が今書かれていますよね。現代詩手帖で情勢や、それに関する詩など少しながらですが見てきました。 戦争への反抗、その拳を突き上げる運動は重要だと私も思います。しかし、戦争詩に関して二つ思うことがあります。 一つは、これ、戦争詩っぽいなと前半で分かってしまう詩が多いことです。これはまだ自分の中で腑に落ちない現象で感覚なのですが、中盤で「あれ?この詩様子がおかしいぞ?」と思って、すぐ詩の最後を見ると「ガザ」という言葉があった、というのが体感8,9割です。まず、その形式(最後に戦争詩だと明かされる)が多い印象があります。この詩も同じ形ですが、ビーレビューにこのテーマを持ってくる方がいるとは思っていなかったので、予想はできなかったです。 そこがこの詩の一つの個性だと思います。ウエディングドレスという言葉が戦争に結び付くとは思いません。「恋心」という冒頭などからも……。強引さはありますが、「ポケットがいっぱいついたドレス」という不思議なモチーフが上手く誘惑してくる詩なので、バランスが良いとは思いました。 要は一つ目は、その形式と展開ですね。戦争についての詩を書こうとする時、なぜその順に物事を書くのか、そこに展開の強引さが現れてしまっていないか、という点です。ただ、これは湖湖さんのこの詩には当てはまらない(形式は同じですが。強引さは中和されている)と思いました。 二つ目は、「ガザ」という単語ですね。 現代詩を書くのか、詩を書くのかという問題です。私は、「戦争」の問題については未来永劫と続くと思っています。なので、後世に誤解なく伝わるかどうか、と考える時、固有名詞を扱うのに難しさを感じます。少し悪い言い方ですが、たとえば三百年後に生きる人たちが「ガザ」詩を読んだ時、「ガザってまずどういう状況だったの? 他の戦争と何が違うの?」と言われかねない場合があります。 知識不足なら申し訳ありません。本当はこのウェディングドレスやその他微細な表現が、「ガザ」の状況などを比喩しているという詩だったら、上に当てはまりません。ですが、「他の戦争詩(たとえば第二次世界大戦)」と何が違うのか、「なぜガザなのか(NOWの問題だから、というそれ以外の理由は何か)」の熟考が必要だと私は考えています。 そのため、私もこの情勢に影響されて戦争詩を書きましたが、「ガザ」という言葉を使わず、幾時代をまたぐ戦争への思いを乗せました。「ガザ」から大きな物語を作るのか、それとも「ガザ」に焦点を絞る必要がある、として書くのか。この詩からは、その「ガザ」の深層調査が無いまま書かれた印象を受けました。 「ガザ」という言葉を他の紛争地の名前と置き換えられてしまっても、そして何百年後に読まれても、「いやこれガザについての詩じゃん」と分かる詩が優れているんじゃないかなと、思っています。だからこそ固有名詞を扱うのは難しい。湖湖さんの挑戦には敬意を払います。少し厳しく指摘しまったかもしれません。のちのち、私も先ほどの戦争詩を公開する時は、ぜひ切実に批評ください。
0上記の熊倉さんの意見に被りますが、血に染まるウエディングドレス。血に染まらなくとも砲弾が飛び交う中で結婚式を執り行うカップルや参加者たちの勇気には感動しますね。 ~あなたたちのポケットいっぱいの夢は、血にまみれて戦禍に燃えて消えた。~大人の罪よ。 べつに戦争がモチーフでなくともリアルな出来事を詩として姿を変えて表現するのは怖いですね。気をつけなければならない点がたくさん含まれる。まだメッセージとして直に訴えたほうがいいのです。それは直接当事者の方たち、または同じく外部から眺めている人たちからすれば、当事者でないおまえに何がわかる? この一点を追及されただけでも私の口は閉ざしてしまうからです。
0丁寧に問題点を指摘してくださりよくわかりました。批評コメントありがとうございます。思い付くままに思考の流れでさらっと書く習慣がいけないのかもしれません。自分の日常から戦争のニュースで蹴破られる感じを出したつもりなのですが、唐突に見えるのですね。死んでしまった子供たちが笑っていた、生きていたときの映像を見て、なんてひどい、安く見える死にかたなんだと、それに憤慨してせめて命の価値を鼓舞したくて、子供が好きなポケットに私のポケットを分け合う内容を書いたのですが、本当は子供たちの名前が必要だったと思っています。私は浅学で他の戦争詩を知らないので闇雲に書いています。詩を感情のツールとして表現をしていますが詳しいかたに批評頂き感謝です。またこちらこそよろしくお願いいたします。
1私は当事者ではなくとも僭越さのリスクは有っても戦争を詩にすることに意義はあるのではないかと感じています。それはデモでもいいし、詩を発表するのでも、箝口令や遠い世界の他人事にならないために、微力でも反戦するということの価値を信じるからです。私は病身で社会の窓口はここだけですが、社会的でいい人間でありたいと思っています。 コメントありがとうございます!
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