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墮胎
あったかいな、腹の中 気持ちいいな、水の中 心地がいいな、夢の中 僕は今日も生きている。 僕は一人じゃ何も出来ないから 全部ママがやってくれる 今日もおやつが欲しいと言って お腹をボコンと蹴ったなら ママがすぐに食べさせた ここには何でもあるんだよ ご飯におやつに、おもちゃにお布団 ここには生きていられるだけの 物がたくさんあるんだよ だけどママは毎日言う "早く生まれておいで"って やあなこった!ここがいい! 僕が怒ってお腹を蹴ると ママは黙って泣いていた ある朝、僕は引きずり出された Tシャツを着た助産師さんが 数人がかりで掴みかかって 頭から無理矢理引っ張った。 産声挙げる暇もなく そのまま車に乗せられた。 バックミラーに映った赤子は ぶくぶく太って毛むくじゃら。 あぁ、僕はこんな姿をしていたんだ。
墮胎 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1169.4
お気に入り数: 1
投票数 : 4
ポイント数 : 15
作成日時 2024-03-11
コメント日時 2024-04-11
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 5 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 0 |
総合ポイント | 15 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 5 |
総合 | 15 | 15 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
一部不快に思わせてしまう方がいる、変な読み方かもしれませんが、面白い詩だと思ったので少しコメントしたく思います。 この詩のイメージから、無職で親に面倒を見てもらっている成人の大人像が連想させられました。偏見かもしれませんが、社会問題になっているのはこのような家庭かもしれない、と。親に我儘な要望をし、「お腹を蹴る」などの暴行を働く子供……。 終盤、無理やり引きずり出され、入院や検査をする暇もなく外(=社会)に連れていかれ、自分の姿を客観視させられる。強行突破ですね。普通なら「出産」でしょうが、この詩のタイトルは「堕胎」。双方の解釈が食い違っているようです。 始めの社会問題に戻りますが、何が良い解決策なんでしょうかね……。無理やり引きずり出す前に、そうなってしまう前の手打ちが必要なのかな、なんてぼんやり思いました。
1堕胎ということは、とても不幸なことですが、醜さを表すという意味があったのかもしれませんね。
1堕胎児の写真をむかしいくつか見たことがあった。森山大道の写真だとおもう。人間になる寸前で生きることを絶たれた存在についておもうのは反出生的で自己優越的な思弁でしかなかった。胎児の語りとして書かれる、この詩は”墮”胎としており、人間存在そのものへの恥ずかしさみたいなものを感じる。ただ語りの手法に見るなくがなく、内容にふさわしい文体を作者が獲得しているとはいいがたい。
1生まれて来れなかった赤子のことをブクブク太って毛むくじゃらとか、コレが穢れを表すような意味だとしても、わざと何もかも言葉足らずにすることによって解釈の幅を出そうとしてるのだろうけど、悪いけど深い意味があったとしても読み取りたいとも思えませんでした。まあ詩は、なにをどう書いてもいいと思うんだ、そう思ってる。だからコレは個人的不快感のはなしだ。
1コメントありがとうございますありm(_ _)m★ 着眼点が素晴らしいw(°o°)w! 仰るとおり、無職の子供とそれを養う親の関係をテーマにしてみました。 不適切に思われるかもしれませんが、部屋と胎内、母親が世話をする、将来への不安、父親は無関心気味などの引きこもり家庭と望まない妊娠に共通点がいくつか感じられ、試作の材料としました。 終盤あたりの表現が、ミハイ様のご指摘の通り、出産がイメージされがちですが、 ・子供が無職になった理由を知ろうとせず、心から向き合わないまま放置またはその子の言うがままにする、無理だと思えば手放してしまう親の無責任さ ・望まない妊娠のように、我が子が無職のまま自立しない状況を親が望んでいなかった といった意味を込めて敢えて「墮胎」というタイトルにしました。 際どい内容で、厳しい意見も多いですが、指示して頂けて嬉しいです。 ありがとうございました!
0コメントありがとうございます★ 醜さを表すというよりかは、望まない妊娠で中絶してしまうように、無職の子供を養えなくなった親が、世話を放棄するといった意味合いで「墮胎」とタイトルを設定してみました。
0これは惜しいですね。少し不評のようですが、続きがあれば感動的なものに変わる素地はあると思う。語りはよくある動物やモノたちからみた視点の寓話パターンで、それが生きることなく絶命して生まれて出てしまったという赤子。堕胎という悲しい結末を迎えるお話しの作りです。僕は独身なので実感としては不足していますが、出産という儀式はとても神聖なものですが、しかし実際は母親の生み苦しむ姿だったり、胎内から血塗れで出てくる赤ちゃんの姿は惨状と紙一重の緊張感を有している。ここで終わらせたらもったいないですよ。哀しみを誘う後書きのように、日の目を見ることのなかった赤ちゃんの声を少し書き加えるべきでしょう。
2返信、ありがとうございます。 恥ずかしながら、「惰胎」の「惰」の字には気づけませんでした。そこを含めて、やはり裏の意味を巧く隠しているなと思います。 表の意味にも今一度立ってみると最後の方は、堕胎された赤子が、本当なら歩んでいたはずの未来(車に乗せられて、親とドライブ)を天国で歩み出している……みたいにも解釈できるのかなと。又、赤子は、命を失うことになど気づかない。だから自分が産まれたと錯覚している。そんなポンポンと成長するわけないのに、時間感覚とかも育っていないから想像が時空を飛んでしまう。 みたいに、これには別解釈の余地もありそうですが、良い詩は表も裏も世界観が損なわれないものだなと、ちょっと褒めすぎですかね、私はそう思います。 メタ的(?)にも見ると、やはり不快感を覚える人、救いが欲しい人などもいらっしゃいますが、それらを見て、社会を映す鏡のような詩だなとも思いました。この詩を直視できる人、できない人、皆この問題意識について強く思うことがあるという証拠です。田代さん、そしてこの詩には当然何も罪のようなものはない。問題は現実にあるのです。 人には産まれる前も、産まれた後も、切り取ってみたらフラクタルな状況があった。その田代さんのような気づきが心を動かす束になって、社会は少しずつ動くのだと思います。 向かい風が思ったよりも吹いていたので、少し熱くなってしまいました。社会に訴える一つの芸術作品の在り方、誇っていいと思いました。
1コメントありがとうございます。 メルモ様のコメントを読んで、確かに少しでも続きを書き足したり、表現の仕方を変えたらまた違った物に変わったのかなと感じました。 ちなみにタイトルは「墮胎」ですが、無職の子供を養い続ける親との関係、限界を感じた親が子供を手放す様子をテーマにしています。 しかし、墮胎といった衝撃的なタイトルや無職の子供の語り口調がまるで胎内の赤ちゃんのようであることから、残酷だ不快だと思う人も多いのかなと感じました。 的確なアドバイスをありがとうございます★厳しい批判もある中、「墮胎」という作品に真剣に向き合って頂けているんだと感じ、嬉しく思います。
0返信ありがとうございます★ "表の意味にも今一度立ってみると最後の方は、堕胎された赤子が、本当なら歩んでいたはずの未来(車に乗せられて、親とドライブ)を天国で歩み出している……みたいにも解釈できるのかなと。又、赤子は、命を失うことになど気づかない。だから自分が産まれたと錯覚している。そんなポンポンと成長するわけないのに、時間感覚とかも育っていないから想像が時空を飛んでしまう。 みたいに、これには別解釈の余地もありそうですが、" なるほど、表の意味(胎児の語り等)のそのような解釈もあると思います!終盤あたりの車に乗せられるシーンが天国での話なら少し前向きに捉えられそうですね。 "メタ的(?)にも見ると、やはり不快感を覚える人、救いが欲しい人などもいらっしゃいますが、それらを見て、社会を映す鏡のような詩だなとも思いました。この詩を直視できる人、できない人、皆この問題意識について強く思うことがあるという証拠です。田代さん、そしてこの詩には当然何も罪のようなものはない。問題は現実にあるのです。" 作品に対するフォローとお褒めの言葉をありがとうございます! 熊倉様の素晴らしい着眼点とフォロー等で、こんな作品でも真剣に向き合って頂けていると感じ、嬉しく思います★
0コメントありがとうございます。 "人間になる寸前で生きることを絶たれた存在についておもうのは反出生的で自己優越的な思弁でしかなかった。" "この詩は”墮”胎としており、人間存在そのものへの恥ずかしさみたいなものを感じる。" 胎児や墮胎の「墮」の字にフォーカスを置いて解釈されたんですね。 墮=人間の存在の恥ずかしさ 独特な解釈の仕方だと思います。
0コメントありがとうございます。 仰るとおり、一歩間違えれば不快に思う表現だったと後々になって反省しました。 詩作にあたって言葉の選び方や表現の仕方で読み手から反感を買ってしまう事があるため、その部分を気をつけるべきだと考えました。 詩作って難しいですね。
0こんばんは♪ 詩を拝見しました! 甘やかされた部屋(子宮)に籠る胎児のような大人になった子どもとどうしたら良いのか分からず涙を流す母 幻想の中で生きる狂気を感じさせる子どもの無邪気さはどこか恐ろしく感じました。 最終的に自室(子宮)から引きずり出されて 子供はようやく自分の現実をバックミラーを見て直視出来たんだなと気づけて良かったねと思いながらもどこか物悲しく感じました。 もっと早くにこの子と母が幼い時に誰かに見てもらえていたならば母と良好な関係を築けていたかと思うと何とも言えない気分になりました。 考えさせられる詩をありがとうございます。
0コメントありがとうございます★ 素晴らしい着眼点ですw(°o°)w!! その通り、この詩は無職の子供と養う親の関係をテーマにしています。 "幻想の中で生きる狂気を感じさせる子どもの無邪気さはどこか恐ろしく感じました。" ご感想ありがとうございます。 体はとっくに大人なのに精神は幼いまんまで止まっている事を強調するために、小さな子供の語り口調で表現してみました。 "最終的に自室(子宮)から引きずり出されて 子供はようやく自分の現実をバックミラーを見て直視出来たんだなと気づけて良かったねと思いながらもどこか物悲しく感じました。" そうですねぇ。私も書いてみて結末をハッピーエンドにするべきだったかなぁと後々反省点が見つかりました(泣) 最後まで読んて頂き、ありがとうございました★
1田代ひなの様、こんばんは。 お返事と着眼点をほめてくださり ありがとうございます♪ 反省点を見つけて次の作品に活かそうとする姿勢は素晴らしく尊敬します。 個人的な意見ではありますが、ハッピーエンドではないからこそ考えさせられる詩になったのではないかなと思いました。 私としては芸術とは必ずしも美しいものである、答えがある必要もなく、多くの人に問題を示して皆が答えのない解を探して考えるきっかけになることも詩の力の一つかなと。 だから、私は個人的に後味は何ともいえませんが、人の心を揺さぶるこの作品が好きですよ。 この詩を生み出してくれて ありがとうございます。
1こんばんは。 コメント失礼いたします。 詩の構想がとてもうまいなと感じました。 最初はおなかの中にいる赤ん坊だと思っていたのですが、だんだんと雲行きが怪しくなっていき最後の文章で 「あ、なるほど、やられた笑」 と思いました笑 かなり考えさせられる詩でした。 人生というものに最適解な生き方はないけれど、この堕胎のようにまわりの人間に迷惑をかけて生きるような生き方でいいのかと問いかけられているような、そんな感じがしました。 良作をありがとうございました<(_ _)>
1こんばんは★ コメントありがとうございます(. ❛ ᴗ ❛.) "詩の構想がとてもうまいなと感じました。" 本当ですか?ありがとうございます(・∀・)!! 引きこもり家庭の親子と望まない妊娠に何か共通点のようなものを感じ、テーマにしてみました。 作品に興味を持って頂けて嬉しい限りです( ◜‿◝ )♡
1仏教的表現をキリスト教的信念で包んだような詩ですね。 生まれることを仏教では苦しみと捉えますが、キリスト教では喜びと捉えます。 どちらも一片の真理はあるでしょう。 「墮胎」という言葉を穿つことで 喝破した果に完成した作品だと感じました。
1こんにちは★ コメントありがとうございます★ 宗教観念から読んでみたんですねw(°o°)w! 面白い解釈だなぁと思いました(. ❛ ᴗ ❛.)!
1胎児から赤子へ。出産の場面は省略されていますが、羊水の中の胎児。そして生まれてから。赤子は既に髪の毛が映えているのですね。「毛むくじゃら」と言う言い方におやと思いましたが、髪の毛の事だと思いました。
1こんにちは★ コメントありがとうございます。 成人しても無職で社会に出たがらない子どもと暴力に耐えながら世話をする母親の関係、お腹の中で胎児を育てる母親に共通点を感じ、このような表現にしてみました。 毛むくじゃら=引きこもり生活の中で髭も髪の毛も伸び放題というイメージで表現しています。
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