別枠表示
詩人X chapter1
どれくらいの時間が経過したのだろう? パオロ・ミシオロスキーは目の前にあるカンバスを眺める 其処には青年の姿が描かれてあった タッチの具合から見て4、5時間程描き続けていたようだ 筆を置いてベランダから街並みを眺める 大聖堂へと続く道には多くの観光客で賑わっている パオロが見上げる空には黄金の雲が横たわっていたその黄金が太陽光線の一因かはよくわからなかったが、彼がカンバスの誰かを書き記した後は必ず空に黄金の雲が見てとれた アトリエのドアがノックされ女性が入ってくる 大丈夫?デッサンの合間にも声をかけたけどまるで返事が無かったから… … 随分と苦しんでいる感じだったので心配になって と妻のアリー どうかな?描いている間の記憶が曖昧だからね、もやのような中で詩篇を暗誦しているような、しかし今回は随分と時間がかかったのかも知らない 変なプレッシャーがあったのかも … …随分と若い子ね 東洋人?しかし知的な感じはするわね アリーがカンバスを眺めながら呟く 兄さんの雷公式にもよるが、もしかしたら数日内にまた、何処かに出向く事があるかもしれない、私のスケジュールは調整がきくが兄さんの場合は如何だろう? 大きなミサも予定されているし 今、ローマを離れる事が承認されるかどうか パウロの携帯が振動する 兄のミィティア・ミシオロスキーからだった アリー、兄さんからだ、席を外してくれ アリーは静かにアトリエのドアを閉めて下の階に戻っていく 兄さん探索は上手くいった? あぁ午前中に用事は済ませてさっきまで試していた、まぁまたかと言うべきか日本ではあるな、東京都内と言う事まではあたりはついた、後は現地に行ってからになりそうだ お前はどんな感じだ? さっき終わったよ 画像を転送するよ カンバスを撮影した画像を兄の携帯に転送する 東洋人男性... ... 学生かな? まぁそんな感じだね、手元に何か? 書籍のようなものが 類似検索をかけてみるよ これは… …詩集かな? お前が読み取るものは本人に強く関わるものが多い、本人の著書である可能性もあるな 数日ローマを離れることになるが予定は組めそうか? 大学の授業の変更は大丈夫そうだけど 何人かの生徒には個別の予定を組んであったので其れがちょっと難航しそうだね 今からでも調整を始めるよ 兄さんの方は? ミサが来週あったのでは? ホルダーの調査、この案件は枢機卿から最優先のとされているからね、ミサの件は彼らの中で代わりを用意するだろう 今回は全く感知していなかった人物なのでこちらに引き込める可能性も高い、 ウラエルス・メイフェアには何故かコチラの能力、目的そのものが漏れていたようだったが今回は野良のホルダーの可能性が高い、慎重にそして確実にとの言葉を頂いている。合同での万博への侵入に関してはなんとか妨害工作が成立するように動いてはいるみたいだが万一の事があるからな 手駒の確保は何よりも優先する事になっている、前回のような事は大目に見てもらえる雰囲気ではない感じだな ウラエルス・メイフェアに関してはイギリスと現在ではアメリカも関与しているらしい 後の調査で彼は、考案者プランのクレジットを有している可能性がある事がわかった 我々の手に負える人物ではなかったのかもしれない。 まあ、ボクらの手当たり次第のこの方式だとそんな格上を掴まされる事もあるだろうね ここは切りかえて僕らは僕らの能力に見合った仕事をするだけだね それはそうとvozlyublennyyは引き当てたの? 妨害工作とは別の交渉チャンネルでプラスとの協議の結果、2アカウントの所有権と言う事で綱引きしている感じだが、トークンそのものの能力の兼ね合いで聖ヨハネ騎士団との調整が難航している 2アカウントではうちのホルダーと騎士団との間で話し合いの折り合いがつかないようだ 3つ目を強硬に要求しているみたいだが 3つ目から更に額が跳ね上がってとても交渉ラインにのせられないらしい コレもプラスの狙いだとすればいい様にやられているな ナカモト氏の資金で動かせる傭兵が 国家単位になるからね 彼の持っている警備会社はいつの間にか世界最大規模に成長しているし 初動で10万人近い精鋭兵力を用意出来るのはまあこれは世界そのものが出し抜かれている、 頭の出来が違いすぎるよ まぁだから力任せの交渉は効かないし どうしても相手の土俵でやり取りする事になるから相手の術中に陥りやすいね 明後日… …いや、明日には調整を終えて日本に向かう事にしよう、我々の他に何名か連れていくが今回はあくまでも交渉という事で手荒な真似はしない様に統制を行う事とする 。が雷公式の結果が思ったよりも芳しく無い 羊男とカタナだけは連れていくか あくまでも守護のために 了解した 彼等を連れていけるのは 心強いな、なんとなく安心するよ 前回の轍を踏まないように用心深く、日本にはまだ良い思い出がないので今回は其れが叶うように。 心霊力そのものの力を得るには虹色の瞳を得なければならない、その為の悪意の絶対量が足りない今の状況でパビリオンへの接触は避けなければならない その行為が結果、悪意の出現の停止の引き金 となる可能性がある限りは。 1民間企業が大国を凌ぐ力を得ようとしている、それは阻止しなければならない ミィティアは呟くように喋る 通信を終えたパオロは再び外の景色を眺める バチカン市国に向かう人々、 空には雲は一つもなくなっていた 下の階でアリーが夕食の用意をはじめている 彼は、カンバスの右下に自分のサインを書き込んだ。書き込まれたサインは暫くはカンバスの隅で揺ら揺らしていたがやがてそこを離れローマの風にのって旅をはじめる カンバスには剥がれたサインの跡形がほんの少し光を発して明滅を繰り返している
詩人X chapter1 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 533.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-02-02
コメント日時 2024-02-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文