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喪失
当面することが無い俺達は 頭の包帯を新しいものに替え 日当たりの良いベンチを探しながら 公園の中を首輪の無い犬の様に歩く 親父が一切の記憶を失った事と 俺がいざこざから職を失った事は 互いに関係が無いとは言え どちらも初冬の頃に起こった話だ 歩きながら俺は親父にせがまれて したくもない昔話を語って聞かせる せっかちな性分のせいか冷たい風のせいか 俺達はだんだんと早足になっていく 親父は盛んに頷きながら俺の話を聞いてはいるが 大部分が嘘だって事に薄々気付き始めている 俺達は互いの顔に冷たい息を吹きかけながら そう在りたかった俺達の昔話を繰り返す 冷たい季節が御似合いな俺達は 足早にベンチの横を通り過ぎて行く
喪失 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 861.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-01-10
コメント日時 2018-02-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
切ないです。でも、優しいと思いました。
0沙一さま、アルマ@封じられた語彙力さま、コメント頂きありがとうございました。 切るに切れない関係を書きたくて、こんな拙作ができました。
0切ないです。「せっかちな性分〜」ここの主語がないだけで、親子で似た性分なんだろうと推察できる。その後からくる「俺達」という主語の背景を想像するよう、きちんと誘導してある。 感情よりも行為を書き連ねていく、非常に「男性的な語り」だなぁと感じました。
0個人的に凄く心に来ますね・・・緑川さんの感想と被りますが、行為の部分ですね。僕は親父と仲悪いんですが、数ヶ月くらい時間を空けて一日くらい会うと凄く仲いいんですよ。でも二日目三日目から仲悪くなるんですよね。んで最近また会いまして銭湯行ったんですが風呂で、背中を互いに洗い流すみたいなのやったんですけどね。 個人的にものすごく、心に来てしまった。あんまり他の言葉にしたくないですね。失う事によって多分二人は同じ立場に立っているしだから成立するみたいな所が、どうしようもなく、僕と父親の関係に相似して見えてしまいます。いい詩だ。
0緑川七十七さま、百均さまコメント頂きありがとうございました。 父と息子が友達のような仲良し関係になっている状態が最近の風潮として感じられ、非常に違和感を持っていました。 もっとドロドロとした、切るに切れない肉親という存在が一周してから愛おしくなっていく過程が書きたかったのですが、上手いこと表現できていれば良いのですが……。
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